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【Special】10th Planet柔術にハマった柔術家、杉本孝─01─「道着もノーギも、両方やった方が面白い」

【写真】10th Planetの技術ではラバーガードが好きだという杉本(C)MMAPLANET

現在発売中のGONG格闘技#310で寒河江寿泰を受け手に、10 th Planetメソッドのデッドオーチャードの技術解説をしてくれた杉本孝。

柔術歴8年の杉本が10th Planetになぜハマったのは2年前。ATOS修行を行う柔術家にとってエディ・ブラボー系の技術はどのような意味を持つのかを尋ねた。


──デッドオーチャードの技術解説、ありがとうございました。10th Planetにハマった杉本選手ですが、柔術はもともとどちらの道場で始めたのでしょうか。

「パラエストラTBですね。元々は鶴屋(浩)先生のお弟子さんの廣瀬(貴行)さんが葛西で創られた道場です。柔術を始めてからは8年になります」

──そして10th PLANETの技術に目覚めたのは、いつからですか。

「一昨年ですね。2年前に柔術の出稽古のために柔術アカデミーの多いサンディエゴを訪れました。言ってみるとATOSに行きたくて。何度か行っていたのですが、一昨年はたまたまノーギもやってみようかと思って、10th PLANETサンディエゴに行ってみたんです。

あの頃は別に10th PLANETに詳しいわけでもなかったのですが、そこリッチー・マルチネスがいて」

──ブギーマンですね。

「ハイ。そして練習をさせてもらうことになり、初日がコンペティション・クラスで……衝撃を受けました。レベルの高さと人数の多さ、そしてノーギの楽しさに。

その時に黒帯が何人かいて、日本だとノーギでも道着でも有名どころとスパーをさせてもらっても、勝てはしないのですが、そこまでやられるほどではなかったです。それがスパーリング一本で3回、4回と足関、ダース、ギロチンで極められました。とにかく技術力が高くて、そこで目覚めました。ノーギをやろうと」

──IBJJF柔術とは全く別物だと思いますが、技術的にどのようにすみ分けるようになったのですか。

「確かに全くの別物です。道着とノーギは近いとか似ているという人もいますが、僕は全然違うと思います。ガードワークにしても、感覚が全く別モノだと僕は捉えています。ノーポイント&オンリー・サブはポジションを取らずに、一気に極めに行く。それは10th PLANETだけでなくグラップリング全てに言えると思います。

柔術だとポイント、ポジションを取って勝つというスタイルだったので、全然違う考え方の組み技があって新たに勉強ができたので喜びじゃないですけど、そこからですね──ハマっていったのは」

──今、10th Planetへ行くとIBJJFスタイルの柔術を全くしていない人がいますが、エディ・ブラボー自身はジャンジャック・マチャドの黒帯でいわばオールドスクールのブラジリアン柔術を身につけている人じゃないですか。ノーギ・グラップラーとしては、IBJJF柔術の練習は必要ないのでしょうか。

「僕は両方やっている方が良いと思っています。自分がグラップラーといえるほどではないですが、柔術をずっとやってきて今はグラップリングの比重が増えた者として、柔術の良さもあるし、グラップリングの技術の凄さもある。なので両方を知っている方が楽しいし、両方をやった方が絶対に面白いと思います」

──さすがATOSと10th PLANETを行き来できる杉本選手です。

「アハハハハ。日本はグラップリングをやらない人って多いじゃないですか。でも米国って、そんな人は絶対にいない。絶対に両方出ています。だから柔術のトップの人たち、嶋田裕太選手や橋本知之選手のような姿勢が当たり前です。日本のシーンも、そういう風になった方が楽しいなって思います」

──私が初めてブラジリアン柔術の稽古を見たのが、1994年なのですが──トーランスのグレイシー・アカデミーは女性の護身クラスで見学させてもらえなくて(笑)。マチャド柔術ではいわゆる道着の稽古を見させてもらいました。そしてサンパウロに行ってベーリンギ柔術で上は裸、下は道着という格好でスパーリングをしているのを目撃したんです。

「凄いですね!!」

──で、なぜ道着を着ないのって聞いたら、マルセーロ・ベーリンギが『暑いからだよ』って(笑)。

「アハハハハ。発想がブラジルっぽいですね。それで発展してきて」

──そして別物になった。エディ・ブラボーという人はMMAで柔術の技を極めたい人だと思うんです。でも今や寝技で攻め合おうという意識が合致しないと寝技の攻防にはMMAはおろか、グラップリングもならない。そのなかでエディがコンバット柔術を始めた。MMAで戦おうと思っていないグラップラーが、掌底有りのコンバット柔術を戦うことをどう思いますか。

「全然ありだと思います。MMAはやらないけど、新たな技術的な発見があると思います。今成さんがコンバット柔術に出場する前に練習をさせてもらった時に、掌底があるだけで技術が全然違いました。叩かれるだけでポジションが変わります。頭の位置が変わるので。MMAはできないけど、ちょっとチャレンジできるというルールで戦うと、またグラップリングの裾野が広がると思います。技術も広がりを見せるでしょうし」

──今日はデッドオーチャードの技術解説をしていただいたのですが、杉本選手は10th PLANETの技術だとどの技術が一番のお気に入りなのですか。

「ラバーガードが楽しいです。展開が多いし、自分は柔術家なのでオモプラッタや三角絞めがフィニッシュする技としては好きで。オモプラッタや三角はRNCとかフットロックと違って、組み技だと柔術にしかない技じゃないですか。そういう技にシンパシーを感じていて、そこと融合できるラバーガードが好きですね。フィニッシュに繋がるポジションなので」

<この項、続く>

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