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【ONE110 No Surrender III】非タイ人ラジャ王者、ファビオ・ピンカがMMAデビュー「MMAに集中」

【写真】ついにファビオ・ピンカの雄姿をMMAで視ることができる (C)Zuffa/UFC

21日(金・現地時間)に中継されるONE110「No Surrender III」。先週に続きタイはバンコクのインパクトアリーナで収録された6試合中2試合がMMAで、ついにファビオ・ピンカがMMAデビューを迎える。

タイ人以外で7人目のラジャダムナンの頂点に立ち、WBCムエタイでウェルター級とスーパーライト級で世界王座獲得、ISKAでは世界ウェルター級王座、米国のLion Fight、ユーラシアのKombat Leagueと世界中で結果を残してきた最強・仏製ナックモエに、MMA初戦=シャノン・ウィチャイ戦に向けての心境を語ってもらった。


──MMA初戦でウィラチャイと戦います。今の気持ちを教えてください。

「良い感じだよ。この試合のためにハードなトレーニングをしてきたし、MMAデビューを彼と戦えて嬉しい」

──この試合に向けて、どこでMMAの練習をしてきたのでしょうか。

「半年間、タイガームエタイでトレーニングをしてきた。2月にタイにやってきて、COVID19のパンデミックが起きてからもずっとプーケットに留まっていた。だから、このタイミングで試合をすることができたんだ」

──母国フランスは一時期大変な状況でした。

「僕の家族は大丈夫だけど、ロックダウンにより経済的な影響は皆が受けている。まぁ、僕は大丈夫だけど」

──ところで欧州で最高のムエタイファイターのファビオが、なぜMMA転向を決めたのでしょうか。

「もうムエタイは20年もやってきた。ファイトを続けるモチベーションを保つためには、新しいチャレンジをする時がきたんだ。知らない技術を習得したかったし、MMAのトレーニングは本当に楽しいよ」

──いつ頃、MMAの転向を本格的に決意したのですか。

「もう3、4年ぐらい前だよ。スネーク・ジムでMMAの練習を開始し、2年前からはMMAに専念してきた」

──寝技があるのは当然ですが、間合いなどスタンドでもムエタイとMMAは別物だと思います。

「そうだね、打撃をキックボクシングに近づける必要があった。ムエタイは相手の正面に立って、足を使って動くということはそれほどないからね。キックボクシング的な動きを採り入れることは難しいことではなかったよ。頭を切り替えれば、動きもアジャストできる」

──ムエタイのトップファイターがMMAに挑戦するときには、常に首相撲がどれだけMMAで使えるのかが興味深いです。

「MMAファイターは首相撲を使いこなせていないから、そこは僕の武器になるね。まだMMA選手のヒジやヒザはムエタイほど完成されていない。タイ・クリンチは僕にとっても大きな武器になる」

──去年の12月にユン・チャンミンと戦う予定でしたが、負傷して戦えなかったです。

「凄く残念だった。でもケガはこの仕事の一部だ。ケガをしてしまったら家に戻って少しでも早く治すこと、より強くなるためにね」

──ところでONE Super Seriesは世界トップクラスのムエタイ選手と契約しています。ファビオ自身もSuper Seriesの立ち上げとなった1昨年4月のマニラ大会でノンオー・ガイヤーンハーダオと戦っています。今後、ムエタイとMMAを並行して戦っていくことは?

「今は本当にMMAに集中している。そうだね……世界タイトルに挑戦できるなら、ムエタイも戦うよ。それは確かだ。でも今は一歩ずつMMAで強くなりたいと思っている。そしてONEでフェザー級王者になりたいんだ」

──アンディ・サワーやサゲッダーオらがMMAにトライし、キックやムエタイ時代のような華々しい成果を挙げることはできていません。その理由はどこにあると考えていますか。

「他の選手のことは分からないよ。ただし、100パーセント集中していればMMAでもやっていけるはずだ。そうだね……この件に関しては、まず僕の試合を見てもらいたい。口で話してもしょうがない。僕の戦いを見てもらってから、話そう(笑)」

──了解しました。寝技で戦う準備はできていますか。

「100パーセントできているよ。立ち技も寝技も自信があると断言する」

──対戦相手のウィラチャイは既にMMAで15戦しており、青木真也選手などトップファイターとも戦っています。

「彼のMMAの経験値は、僕よりも上だよ。でもファイトゲーム全体で見ると、僕は120戦以上戦ってきた。MMAデビュー戦といえども、これまでの戦いが僕を助けてくれることは間違いない」

──この試合はリングで行われます。打撃とグラップリングのミックス度合いを考えると、ケージとは違ってくることが予想できます。

「僕はケージで戦ったことがないからね(笑)。MMAだからケージで戦いたかったよ」

──では小さなMMAグローブで戦うことで、何か注意すべき点はありますか。

「MMAグローブはワンショットでKOできる。ムエタイだとワンパンチでダウンを奪っても、相手は立ち上がってくる。MMAでは、それで終わりだ」

──ファビオ、今日はありがとうございました。日本のMMAファン、そしてムエタイファンもファビオのMMA初戦を視ることを楽しみにしていると思います。彼らへメッセージをお願いできますか。

「皆に僕の技術を見て欲しい。最高の試合になるよう全力を尽くすよ。MMAでムエタイの強さを証明するためにね」

■ONE110「No Surrender III」対戦カード

<ムエタイ・バンタム級T準決勝/3分3R>
センマニー・クロンスアンプルリゾート(タイ)
クラップタム・ソーチョーピャッウータイ(タイ)

<ムエタイ・フライ級/3分3R>
モンコルペット・ペッティンディーアカデミー(タイ)
ソク・ティー(カンボジア)

<フェザー級(※70.3キロ)/5分3R>
シャノン・ウィラチャイ(タイ)
ファビオ・ピンカ(フランス)

<ムエタイ・女子ストロー級/3分3R>
ワンダーガール・フェアテックス(タイ)
ブルック・ファレル(豪州)

<ムエタイ・女子アトム級/3分3R>
マリー・ルーメット(エストニア)
Little Tiger(日本)

<フェザー級(※70.3キロ)/5分3R>
ベン・ロイル(英国)
クインティン・トーマス(米国)

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