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【EJJC2020】ライト級──全日本王者=毛利部慎佑いかに戦いけり in ヨーロピアン

1月21日(現地時間・火曜)から26日(同・日曜)にかけてポルトガル、リスボンにあるパヴィラォン・ムルチウソス・ジ・オジヴェラスにてIBJJF(国際柔術連盟)主催のヨーロピアンオープン柔術選手権が開催された。

レビュー第6回はライト級で欧州にチャレンジした毛利部慎佑の戦いをレポートしたい。


<ライト級1回戦/10分1R>
グチエリー・バルボーザ(ブラジル)
Def. by 2-2 アドバンテージ4-0
毛利部慎佑(日本)

昨年、クレベル・コイケに競り勝って全日本王座に輝いた毛利部の1回戦の相手は、2019年のヨーロピアン大会とパン大会の両方の茶帯の部を制した21際の新黒帯、バルボーザだ。Fight 2 Winでもマーシオ・アンドレをも下している若手の有望株と毛利部の一戦は両者引き込みから始まり、バルボーザがすぐにベリンボロを仕掛ける。

毛利部が背中を付けて守ろうとするところで、バルボーザはすかさず回転の方向を変えて毛利部の背中とマットの間に潜り込んで、シングルバックを奪取。さらに毛利部を仰向けにさせて両足フックを狙いにゆくが、両者の体が場外に出てブレイクに。バルボーザにアドバンテージが2つ与えられてスタンド再開となった。先制を許した毛利部だが、ポイントを失わずに仕切り直しとなったのは幸運だった。

再開後、毛利部が前に出るとバルボーザが引き込む。バルボーザは毛利部の左足にデラヒーバで絡むが、毛利部は立った状態で、その絡んでくる右足を押し下げて対処する。ならばとバルボーザは左足を毛利部の股間に入れ、外掛けのように絡めながら右足を捕獲。そのまま後転したバルボーザは、毛利部のバランスを前に崩してスイープを決めて2点先制した。

上になったバルボーザは、毛利部のズボンを掴んで捌きにかかるが、毛利部は長い足を利かせてスパイダー&デラヒーバを作る。これに手を焼き気味のバルボーザは、一旦後ろに寝てダブルガードとなり、足を使ってグリップを調整してから立ち上がると、左にパスを仕掛ける。毛利部は両腕のフレームを用いて体勢を戻したが。バルボーザがアドバンテージを追加した。

さらに左にパスを狙ったバルボーザは、再び後ろに寝て足を使ってから体を起こす。残り3分。毛利部はシッティングから仕掛けようと試みるが、バルボーザは毛利部のズボンを掴んで腰を引いた体勢で攻撃を許さない。やがてバルボーザは毛利部の足を捌いて左に動いてのトレアナ・パスへ。何とか対処した毛利部だが、またもやバルボーザがアドバンテージを追加した。

その後も毛利部のズボンを掴んで足を捌いてのパスを狙うバルボーザと、長い足を用いて守る毛利部の攻防が続く。後のない毛利部はシッティングから仕掛けようとするが、すると巧みに腰を引いて距離を取るバルボーザ。毛利部がスパイダーのグリップを作ると、バルボーザは後に寝転んで対処する。

残り50秒、バルボーザが左足を絡めあう50/50のポジションへ。毛利部はシットアップしてポイントを2-2としたものの、アドバンテージは4つ負けている。結局、そのまま足の絡みを解除できないまま試合は終了した。

バルボーザに終始試合のペースを握られたまま、試合終了を迎えてしまった毛利部。将来世界のトップに食い込む可能性の高い有望株相手に、下から足を効かせて一度もパスを許さなかったのは特筆に値する。が、その下からの仕掛けのことごとくを、バルボーザにしっかりと対処されてしまったことも否めない。この経験を得た毛利部が、今後も小野瀬龍也譲りのガードゲームにさらに磨きをかけ、世界に一太刀浴びせる場面を待望したい。

ちなみに毛利部を倒したバルボーザは、次戦でかつて一階級上のミドル級で世界準優勝の実績を持つヴィトー・オリヴェイラと対戦。上半身を固められてのパスからマウントを奪われ、最後はチョークで完敗を喫した。

そのオリヴェイラも準決勝は勝ち上がったものの、決勝でジョナタス・グレイシーにレフェリー判定で惜敗。世界の頂の高さがまざまざと分かるヨーロピアンのライト級だった。

■リザルト・ライト級
優勝 ジョナタス・グレイシー(ブラジル)
準優勝 ヴィトー・オリヴェイラ(ブラジル)
3位 ルアン・カルバーリョ(ブラジル)、ペドロ・ヴェラス(ブラジル)

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