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【Special】月刊、青木真也のこの一番:1月─その弐─セフード✖ディラショー─02─ストーリーライン

UFN143【写真】フライ級のディラショーは、バンタム級の試合とは全く違っていた…… (C)Zuffa LLC/Getty Images

過去1カ月に行われたMMAの試合から青木真也が気になった試合をピックアップして語る当企画。

背景、技術、格闘技観──青木のMMA論で深く、そして広くMMAを愉しみたい。そんな青木が選んだ2019年1月の一番、第2弾=UFC世界フライ級選手権試合=ヘンリー・セフード✖TJ・ディラショーの一戦の一戦を語らう──後編。

過酷な減量が辿り着いた終着点、そこから階級制度をとるMMAのストーリーラインに青木が言及する。

<青木真也のヘンリー・セフード✖TJ・ディラショー論Part.01はコチラから>


──TJ・ディラショーはパンチが後頭部に当たったから、それが効いたという発言をしていました。

「もう、それ以前の話でしょう。既にイカレていましたからね(笑)。本来だったら、あの独特なサークリングとステップで相手にプレッシャーを掛けてきた選手なのに、まるでプレッシャーが掛らなくて。セフードに真っ直ぐ詰められていたじゃないですか。アハハハ」

──接近戦で押し倒された場面もありました。

「もうまるで圧力がなかったですよね。セフードの圧力が優ったというか。決して上手くないパンチですが、ドヤドヤドヤと前に出て当てた。ひょっとすると、あれだけ体重を落としているとディラショーのパンチは効かないという確信が、セフードにはあったのかもしれないですね。もらっても平気だってことで、あの前進ができたのかも」

──減量をし過ぎると、頭の中まで水分がなくなって倒れやすくなるというコトを言われたこともあります。医学的根拠があるのか、分からないのですが。

「言われますよね、ソレ。でも、簡単に実際に倒れていたし、態勢を整えることもできずにバコバコ殴られて終わって。アレはもうセフードの圧勝で、バンタム級でタイトルを狙っている選手からすると堪らないですよね。

だってバンタム級のTJ・ディラショーはドミニク・クルーズ以外、誰も触れなかったのに。体重を下げて、あんな風に負けてしまうなんて」

──ハイ。懸命にタイトル挑戦権を獲得するために勝ち残っているのに、次はセフードがバンタム級に体重を上げて王座挑戦だっていう流れになると……。ハファエル・アスンソンとマルロン・モラエスは、自分たちの試合の1週間前に何てコトをしてくれたんだってなりますよね。

「あの良いカードで勝ち残っても、挑戦できないかもしれない。バンタム級のストーリーラインが、ディラショーがフライ級に挑戦したことで崩れる可能性があるわけですよね。

これはUFCだけでなく、ONEやBellatorもそうで。チャンピオンが2階級同時制覇を狙うと、どこも階級ごとのストーリーラインが壊れる」

──KSWもそうですね。元々の階級制が立ち行かなくなってしまう。

「スーパーファイト的なモノばかりで、持続するストーリーでなくて、盛り上がりが瞬間になる。分かります、その危機感は。だいたい、今回の世界戦なんてセフードが階級を上げて、ディラショーに挑戦するのかと思っていたら、逆でしたからね」

──実は私も暫く気付いていなかったです。なぜディラショーの減量が話題になるのかなって(苦笑)。

「それでもUFCがスゲェのが、アスンソンとモラエスもそうですが、ウェルター級のチャンピオンシップでタイロン・ウッドリーにカマル・ウスマンが挑戦するとか……毎大会凄いカードを組んできますよね。

超渋いカードで、2階級同時制覇と対極にあるような試合を組んで(笑)。ウッドリーとウスマンって、これは久し振りに僕は来たんですよねぇ」

──2階級同時制覇で数字稼がないといけない一方で、この世界を組む!!

「お互いがスーパーレスラーで、勝負になった時にどんな試合になるのか。これは楽しみですよ。どういう戦略をとって、どういう理屈があるのか。そういう部分で想像がつくから面白い」

──それこそが地味と受け取られても、見続けている人間にとってはストーリーラインがあるということになるのですね。

「ホントはこっちで数字が取れれば良いけど、そこは甘くない。だから階級の違うチャンピオン対決も必要だということになる。そういうことですかね……。これもボクシングの後追いかなっていう気はしますけどね」

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