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【RIZIN LANDMARK12】秋元強真戦へ、TRIBE在住・萩原京平「この壁は絶対に超えられる」

【写真】しっかりと秋元の強さを認めている萩原だった (C)TAKUMI NAKAMURA

11月3日(月・祝)に神戸市中央区のジーライオンアリーナ神戸で開催されるRIZIN LANDMARK12にて、萩原京平秋元強真と対戦する。
Text by Takumi Nakamura

超RIZIN04で赤田功輝に一本勝ちした秋元がマイクで萩原の名前を出し、萩原もリングインして舌戦を展開。カード発表会見でも両者はトラッシュトークを繰り広げ、この一戦は因縁の対戦として注目を集めている。MMAPLANETではTRIBE TOKYO MMAに移籍して日々成長を続けているMMAファイターとしての萩原にフォーカスしてインタビューを行った。新たな練習環境に身を置いたことで萩原のMMA観はどう変化したのか。


疎かにしていた部分が埋まってきた

――今回のRIZIN神戸大会で秋元強真戦が決まった萩原選手です。昨年夏からTRIBE TOKYO MMA所属となりましたが、TRIBEでの練習も慣れてきましたか。

「TRIBEに来て1年ちょっとなんですけど、練習にもどんどん慣れてきて、身体的にも絶好調になってますね。組みの攻防、スクランブルで上を取る技術、テイクダウンされてから立ち上がる技術……そういう技術は今まで教わったことがなくて、それを長南(亮)さんに教えてもらうことで、自分がMMAでどうやって戦えばいいのかがどんどんハマってきています。

今は寝かされても立てるようになったから、打撃で思いっきりプレッシャーをかけて前に行けるようになりましたし、テイクダウンに対する組みのカウンターでも自分の得意なパターンが出来てきていますね」

――当然今までも組みの練習はやっていたと思うのですが、感覚的にやってしまっていた部分があったのでしょうか。

「そうですね。何となく、になっていたところはあったと思います。もちろんTRIBEに来る前に教えてもらっていたこともたくさんあるんですけど、TRIBEで教えてもらう技術は今まで教えてもらっていた技術とは違うというか。なんて言ったらいいんやろう…大阪で教えてもらっていた組み技は寝てからどうするかみたいな技術なんですよ」

――いわゆるグラップリング的な技術ということでしょうか。

「そんな感じですね。ざっくり言うとTRIBEで教えてもらっているのはストライカーが打撃で戦うための技術で、それはグラップリングの攻防とは違うじゃないですか?」

――分かります。

「実際MMAは際の技術がすごく大事で、長南さんはその際の攻防をものすごく重視しています。自分が立って戦いたいんやったら、こういう技術が絶対に必要だというのを教えてもらって、今まで自分に足りてなかった技術がそこやったんやなというのが改めて分かりました。しかも組みだけじゃなくて、打撃の引き出しもすごく増えたんですよ。

映像では分かりにくいんですけど、僕は細かいフェイント、目線や体のフェイントもよく使うんです。そのレパートリーもめちゃくちゃ増えていて、それが打撃のコンビネーションにも活きていますね。TRIBEに来てMMAファイターとしての全体的なレベルが上がっています」

――萩原選手のなかでバラバラだった技術が長南さんの指導でつながっていくイメージですか。

「そうですね。だからTRIBEで練習していると、逆に大阪で寝技を教えてもらっていた時に覚えた技術が活きてくる場面が出てくるんですよ。ここで使えるんやみたいな。だから決して大阪で教えてもらっていたことは無駄じゃないし、その技術の使い方や順番を自分が間違ってただけやったんやなと思いました」

――以前、長南さんを取材した時に「基本を知らないのに応用的な技術を知っていたりするので、まずは基本を覚えてもらっている」と言っていました。

「ホンマにその通りですね。結構自分は色んなところ、米国にも行ったりして、そういう人たちが使う技術を教えてもらったんですよ。ただその技術を使うまでの組手だったり、その技術を使ったあとのつなぎだったり、そういう部分を疎かにしたままだったんです。今はその疎かにしていた部分が埋まってきた感じですね。しかもTRIBEは色んなタイプのファイターがいてるんで、色んなタイプと肌を合わせることで自分の技術の上達を感じます」

――昨年9月の高木凌戦がTRIBE所属として最初の試合でしたが、当時はまだ練習を始めて間もない時期ですよね。

「あの時は練習環境を変えたばかりで、練習についていけなかったし、首を痛めたりして、練習そのものがしっかり出来ていなかったんですよ。言い訳になっちゃうんですけど。ただそういうことがあったので、100パーセント自信を持ててなかったというか。不安要素しかない中での試合でした。それでああいう結果(一本負け)になってしまったんですけど、トビー・ミセッチ戦と西谷大成戦はしっかり準備に全力を注げたので、今はそこがすごい自信になっていますね」

――では今年に入って3月、5月と連戦したこともプラスに作用しているようですね。

「結構良い感覚のまま連戦できましたし、ホンマは9月もやりたかったくらいです。ただ試合が空いた期間に覚えた技術もあるので、打撃でも組み技でも技の引き出しが全体的に増えたなと思います」

――ちなみに練習そのものはすべてTRIBEで完結しているのですか。

「そうですね。大阪に帰った時にSMOKER GYMで打撃の打ち込みだけやったりはしますけど、基本はTRIBEでずっとやっています」

――こうしてお話を聞いているとTRIBEの教えが萩原選手にばっちりとハマっているようですね。

「僕は元々TRIBEに行くまでは長南さんの現役時代の活躍とか知らなかったんですよ。どちらかというとTRIBE=(若松)佑弥君のイメージで、佑弥くんみたいに組みを切って打撃で勝負するスタイルの選手がいるということは、そういう選手を育てるのが上手いんやろうなと思っていました。あとは大阪時代に金太郎くんから『TRIBEの練習はホンマにキツい』と聞いていて、それやったらTRIBEに行ってみようかなという軽い感じでTRIBEに行ったんですよ。今はその直感が当たっていたんやなと思います」

――長南さんの指導やTRIBEの選手はストライカーでも組みを切り続けるだけでなく、しっかりと組みもやって打撃でプレッシャーかけるスタイルじゃないですか。それを覚えることで萩原選手のファイトスタイルそのものも変化しますよね。

「組みに徹底的に付き合わないのではなく、組みでもいい組手を取ったら自分から仕掛けるし、その攻防で生まれたチャンスを活かして打撃を当てる。長南さんからはそういうスタイルでいいと言われています。現役時代の長南さんがそういうスタイルやったし、佑弥君もそうですよね」

――アドリアーノ・モライシュと若松選手の試合は若松選手が上手く組みと打撃をミックスさせた試合だったと思います。

「だからそういう部分でも自分のファイトスタイルを改めて考えさせられたというか。僕がやっているのはMMAなんで、打撃をやるにしてもMMAとしていかに有利に戦うかが大事なんやなということを思ったりもします」

――以前萩原選手をインタビューした時と比べると、ものすごくMMAの視野が広がった印象です。

「ほんまに180度変わりましたね。例えば武田(光司)君と練習することで組みに対する考えも変わったし、武田君に教えてもらったことを意識してスパーリングすると、自分がゲームを作っていけるというか。これをもっと洗練させていけば強くなれるというものが見えていますね」

これからどんどん伸びていく選手やと思うんで、今叩けるのは自分にとってもすごく運がいい

――秋元選手に対しては色んな感情もあると思いますが、今取り組んでいることを出すという意味では次の試合が楽しみですか。

「単純に楽しみですね。今は出来ることが増えてるし、打撃だけじゃなくて組みでも全然勝負できると思っています」

――今ここで秋元選手に勝てば周囲の萩原選手に対する見方や評価も変わると思いますし、MMAファイターとしても「萩原、こんなこともできるんだ!」と思わせる試合を見せたいですか。

「見せたいですね。今回は何が何でも勝ちたいし。正直ここで負けているようじゃ、自分が挌闘家としてトップに行くのは難しいと思っています。でも練習環境を変えて1年ちょっとやってきて、今の自分にすごく自信があるし、この壁は絶対に超えられると思っています。自分の気持ちに負けず、試合までのファイトキャンプを妥協せずに終えることができたら、絶対に良い結果が待っていると思っています」

――そう考えるとここで秋元選手と戦うのは萩原選手にとってもベストタイミングかもしれませんね。

「ホンマにそう思います。秋元選手もこれからどんどん伸びていく選手やと思うんで、今叩けるのは自分にとってもすごく運がいいなと思ってますね。11月3日、見とってください」


■視聴方法(予定)
11月3日(月・祝)
午前11時30分~ ABEMA、U-NEXT、RIZIN LIVE、RIZIN100CLUB、スカパー!

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