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【Special】早川光由に訊く、オンライン・インストラクション─02─「ベリンボロ? 下手でないと思います」

Mitsuyoshi Hayakawa【写真】取材中などは非常に堅い感じの早川氏だが、普段の会話はすっとぼけた面白みを持っている。このすっとぼけ振りは知る限りにおいて、格闘技界では日沖発と双璧かもしれない (C)MMAPLANET

オンライン・インストラクションとは何なのか。トライフォース柔術の早川光由氏に尋ねるインタビュー第2弾。

今回はベーシック、アドバンスト、そしてマスターという3つのカリキュラム以外の教則カテゴリーについて尋ね、その指導や技術の習得に関して話を進めることで、早川光由という柔術家の実像に迫りたい。

<早川光由インタビューPart.01はコチラから>


──残りの2つのコンテンツはどのようなモノになっているのでしょうか。

「1つはテクニック・ライブラリーで、これは週に2度ほどのペースでアップしています。今8名いるトライフォースのインストラクターが、それぞれの得意技や好きな技を実演し公開している形ですね。

ベーシック、アドバンスト、マスターに入り切らない技も多くあるのでアドバンストとマスターのつなぎの技だとか、マスターで出て来た技のディフェンス方法なども確認できます。そういう技を指導したり、全く関係ないモダン的な技術もあり、何を実演するかは各インストラクターに任せています。

このカテゴリーは今後も動画がアップされ続けます。アーカイブされていくので、検索してもらって参考にして欲しいと思っています」

──最後の1つはどのようなモノになりますか。

「パッケージ作品ですね。これは別料金の教則動画になります。澤田伸大が創った『サワダバー』が2700円で視聴できるようになるなど。もちろん、知りたい技を提供させていただいていますが、インストラクターの報酬になればという考えもあります」

──さきほどテクニック・ライブラリーのなかで、カリキュラムに関係ないモダンのような動きという言葉がありましたが、早川さんが伝えている技術はIBJJFの競技柔術に則しているモノなのでしょうか。

「トライフォース・オンラインに関しては、IBJJFルールに則したモノばかりです。護身術に関しても触れていないですし。そこは完全に切り分けて考えています。それはブラジリアン柔術教則本を創った時に決断しました。ここでパンチがあればというモノを加えてしまうと、収集がつかなくなってしまうので。ただし、護身術という一つのコンテンツとして成立させるという方法論はあるかと思っています。

それに私も昔世代の人間なので、ヒールもあればスラムもある。そういった技術も伝えていきたい。ソレも柔術だと私も思っているので。ただ、現状としてそれらの技術を一般クラスで教えることはなく、オンラインにしてもそれほど需要はないかと(笑)。だから後回しになってしまいますね。ただ私の頭の中には残っているので、そのうちにはと考えています(笑)」

──いやぁ、そこも楽しみです。IBJJFルールには則しているのですが、やはり早川さんがベリンボロを掛ける姿などは想像できないです。

「アハハハ」

──早川さんにモダンにイメージはない。ただし、柔術の技術は変化しています。その点について、早川さんはどのように捉えているのでしょうか。

「技術が変わった、変わっていないということを深く考えることはなく……そうですね、ベリンボロを練習でも使うかといえば、そんなに使わないです。その攻防に余りならないので」

──そんなにということは、使えないということではないと?

「そうですね、全然下手ではないと思いますよ」

──モダン系の技も勉強して習得をしているのですね。

「う~ん、勉強しているというほどではないですね(笑)。まぁ、何となく見て。そうすればできてしまうような。アハハハハ。あんまりこういうことは、言いたくないのですが」

──出たぁ。技のおもちゃ箱(笑)。もうかなり以前の話になりますが、早川さんにファイト&ライフのMMAの技術ページで、柔術的な動きの解説をしてもらうと、動画を一度見るとほぼ完璧にその技を再現していたことを思い出しました。『こういうことだと思います』と軽い口調で。

「ガッツリ張り付いて勉強をすることはないですけど、まぁそういうことになりますね(笑)」

──もう一つ、早川さんの指導は動きを言葉にできる。そこが非常に有難いです。擬音語を使わないので。

「そこはきっと昔からの癖というか……自分たちの世代は、キャリアの初期から人に指導する機会があったからだと思います。下手をすれば白帯の時からしていたので。これは『指導者あるある』なんですけど、自分ができていたことをいざ人に指導するとなると何を言って良いか分からなくなる。

誰もが必ずこの壁にぶち当たります。明日、しっかりとクラスを遂行するには今、自分がやっているテクニックを言語化できないといけない。もちろん、全てを言語化できるわけではないのですが、予備知識のない人に指導するにはどうすれば良いのかを考えていると、可能な限り言葉にする癖がついてくるはずです。そして、そのことが自分の柔術に役に立ってくるんです」

──言葉で説明できるようになると、メカニズムが自分のなかで消化できたということになるのですか。

「そうですね。動きと指導は、良循環になるので才能のある若手にはかなり早い段階から指導の機会を与えた方が良いと思います。それが競技力を向上させることになるので。人様に指導するということは、責任感を伴うことになりますからね」

──ここまでのオンライン・インストラクションが出来上がっているわけですが、早川さんがご自身の柔術を映像で残しておきたかったという気持ちがありましたか。

「それもあります、もちろん。せっかく覚えて来たことなので、死ぬまでに記録しておく。この記録しておくという部分に関しては、かなり以前から気にしてきたんです。古くは日本のパケタと言われた岡本さんという方がいまして、白帯の頃から私のスパーリングや指導を撮りためてくれていたので。

岡本さんは撮ったモノを毎月、ビデオテープで渡してくれて。また地方でセミナーをすれば、若き日の浜島邦明JBJJF事務局長が全て録画してくれていました。岡本さんや浜島君が撮影してくれた映像は、どの柔術の教本や試合のビデオより、ずっと多く見返してきました。

なので自分のスパーやインストラクションを見て、研究しているということはありましたね。『なぜ記録するのか?』と言われると、柔術界の将来のためとまでは言わないですが、自分が学んできたモノを残していきたいという気持ちはあります。幸い、そういったツールが今は揃っているので」

<この項、続く

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