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【Special】早川光由に訊く、オンライントレーニング─03─「日本の柔術をガラパゴス化したくなかった」

Triforce【写真】早川光由とトライフォース、その過去と現在、そして未来を繋ぐオンライントレーニング (C)MMAPLANET

オンライン・インストラクションとは何なのか──を切り口に探るトライフォース柔術の早川光由の柔術観。

インタビュー最終回はブラジリアン柔術の技の名称の統一化を図る理由やオンライントレーニングとこれからのトライフォース柔術について尋ねた。その結果、早川氏の技術の蓄積、集大成ともいえるオンライン・インストラクション、そして技の名称の統一化こそが、トライフォースの将来を具現化していることが分かった。

<早川光由インタビューPart.02はコチラから>


──そうなると、後回しになると言っていた部分も本当に残してほしいです。例えばクインテットの人気が出てきたり、EBIが北米には存在し、そこで使われている技術を早川さんがオンラインで指導するとか、考えただけでもニヤリとしてしまいます。

「サドル・ロックに関して、2000年にブラジルに行った時にはもう存在していました」

──えぇ!! そうなのですか!!

「私にサドル・ロックを最初に教えてくれたのは、アレッシャンドリ・パイヴァ先生だったんです」

──アレッシャンドリ・パイヴァ!! ホッヂブラッチ!!

「えぇ、HotBloodです(笑)。サドル・ロックという言葉はなかったですけど、パイヴァ先生は普通に使っていました。パッと見では普通のリバース・ハーフガードに類似しているポジションで、あまり理解できなかったと思います。なので私も誰からも指摘されることなく、人知れず使っていましたね。それが数年前から脚光を浴びるようになって」

──そのサドル・ロックにしても、騒がれたなと思ったのも束の間、EBIでももうそのポジションを作れない状態になっているのが驚きです。

「技術は回るということですよね。ただ、そういうEBIやノーギグラップリングで今、隆盛にあるテクニックや護身という部分はやっても良いのですが、私……トライフォースの仕事でなくても良いかなという気持ちが強いです。

あくまでも私達の自信のある分野だけで、これからも勝負していきたい。そういう技を習いたい人は、その技が学べるオンラインに入れば良いと思いますし。私が今やっているモノは、世界的に見ても私が絶対に優っていると自信があるモノで構成されているので」

──なるほど。技の蓄積や広がりも非常に多いブラジリアン柔術という競技において、早川さんはポジション、テクニックともに固有名詞を使用しています。そこも驚きなのです。

「あれがワールド・スタンダード、私はグローバル・ネーミングというモノを推奨、提唱しています。俗称が氾濫し、日本にも伝わってきているモノがあります。そういう技の名前に対し、恐らくは世界的にみて一般的に呼ばれているだろうモノを採用しています。

その成果というのか、エルボー・エスケープだとか、オーバーアンダー・パスだとか、日本でもかなり使っている人が増えたように思います。

そこを発信するようになったのは、やはり日本の柔術をガラパゴス化したくなかったからなんです。例えば私の弟子が海外に修行に行った時に、日本独自の技の名前では通じないことがあるかもしれない。そういう事態に弟子たちが陥ることを恐れていました。

加えてトライフォース内で共通言語があれば、それは指導でもしっかりと生きますしね。私が芝本や澤田とテクニック議論になった時も、技や名称が一貫していると話が通じるのが早いです」

──エディ・ブラボーは世界標準ではなく、10tPlanet内の共通言語という部分では同じですね。

「共通言語としては同じですが、私はエディ・ブラボーとは違って完全なる固有名詞でなく体の部位を用いた名前にしています」

──ロンドン、ハニーホールではないと(笑)。

「完全なる固有名詞はなるべく用いないです(笑)。デラヒーバぐらい認知度のあるモノでしたら採用していますが、なるべくは使わないようにしています」

──シャオリンだとかはないというわけですね。

「そういうことですね(笑)。今の人達には、何のことかと思われますからね。10年後、20年後も残っているだろう名称にしたいという部分には拘っています」

──オンライン・インストラクションを将来的に違う言語で配信することは考えていますか。

「それは考えてないです。私の強味は日本語を話すことです。サブタイトルをつけて、編集してくれるのであれば……そこまでお膳立てしてくれるのであれば考えます(笑)。そうですね、中国語や韓国語なら可能性はあるかもしれないです」

──では最後にオンライントレーニングの発展と、トライフォースの発展。どのようにリンクさせていこうと思っていますか。

「そこもそんなに考えていません。テクニックがトライフォースの屋台骨であることは間違いないです。そして3つのカリキュラムを収録し、アップし終えました。そこに会員さんがアクセスできる状況が整ったことで、トライフォースの発展に寄与していくと思います。

ここからはテクニック・ライブラリーがメインのコンテンツになっていくでしょうし、新しいテクニックを紹介し、会員さんがより満足できるトライフォースでありたいと思っています」

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