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【ACB】ACBへ。田中路教が嶋田裕太との練習開始─02─「必要な点は全て矯正してもらえます」(嶋田)

Nori & Darshima【写真】下になってはいけないMMAだが、下からの仕掛けを知る必要は絶対的にある。そして、そこを知ることができる環境が日本のMMAには少ない (C)MMAPLANET

ACBと契約した田中路教が、嶋田裕太と初めて肌を合わせた。現在発売中のFight & Life64号に掲載されたインタビューでラブコールを送った田中に、嶋田が応えてスパーリングが実現した。

そして5分×5Rのスパーの後、田中の嶋田への質問攻めが始まった。田中×嶋田対談はなぜノーギ柔術だったのか。そして世に知れることがなかった嶋田の能力を田中が知ることになる。

<田中路教×嶋田裕太の対談Part01はコチラから>


──MMAのグラップリングは田中選手も各ジムで行っていて。そこでの命題は下にならないこと。下になってからの技術を持っている選手も、下にならない練習をする。そういうなかで下を選択する嶋田選手とのノーギ柔術のスパーリング、あるいは技術を求めたのはどういうことなのでしょうか。

田中 やはり5月に米国から帰国して、自分の技術が不足していることは明白でした。だから柔術の技術を持っている人と交流したいという気持ちでいたんです。今日のスパーリングでも自分のバリエーションの無さを痛感しています。

──実は田中選手が指導を受けたいと思っている嶋田選手に対し、スパーではフィジカルで圧倒してしまうこともあり得るという気持ちでいました。特に田中選手が自分より小さな選手を相手にポジションを奪われるというシーンは練習でも見たことがなかったので。

田中 自分より小さな人との練習では、まぁなかったんです。だから僕は嶋田選手とトレーニングがしたかった。フィジカルで嶋田選手の技術を凌駕できるなんて、僕自身は考えてもいなかったです。

MMAグラップリングだと、下にならない。僕より多くて強い人がいて、下からひっくり返すことができても、そういうスパーにはならないです。だからこそ、ノーギ柔術のスパーリングが必要でした。下からの仕掛けを知っておく必要が絶対的にあります。

全てのポジションにおいて──技術的な知識はあればあるほどが良いです。自分が不利なところも、自分が優位なポジションでも。

──その通りですね。嶋田選手に伺いたいのですが。

嶋田 ハイ。

──田中選手はバックを取らせて、上を取り返すという動きが得意です。今日のスパーリングでも嶋田選手はバックを取ってから、体を入れ替えられたシーンがありました。やはりバックキープは難しいのでしょうか。

01嶋田 え~と……、正直な話をするとバックキープに拘るとできたと思います。そこから絞めを取りにいったので入れ替えられたと思います。そこに重点を置いていると5分のスパーリングで、2分や3分はキープできたとかと……。

田中 ハイ、今日は合わせてもらっていました。テイクダウンの攻防とかも。凄く勉強させてもらいました。あのう……柔術家はたくさんいます。でも、僕のなかでは嶋田選手だったんです。なんか記事を読んだり、SNSで流れて来る情報で。

嶋田 いやっ、光栄です。

田中 同じ匂いがするというか……直感的に、嶋田選手は僕に似ているなって感じて。だから、正直なことをいうと嶋田選手以外の柔術の人は全然知らないです。

──幾何かの付き合いをさせて頂いて、2人とも凄く頑固だというのは共通点ですね(笑)。そして、とにかく果てしない頂を越えることに真剣です。

嶋田 頑固なつもりはないのですが……時間がなくて焦っています。

田中 そう。そこが同じなんです。もう27歳ですよ、俺!!

嶋田 僕も今年で26歳になってしまいます。

田中 嶋田選手も米国で練習しているじゃないですか。柔術やグラップリングに関しても、環境は向こうの方が良いのですか。

嶋田 向うの方が良いです。歯が立たない練習相手がたくさんいます。

田中 えっ、同じ体格でもですか。

嶋田 10代の紫帯で階級が1つぐらい上の子にボコボコにされることもあります。色んなことをやっている人間もいますし(苦笑)。ただ、短期で行っているから良い練習ができるだけで、移り住むとなるとどうやって生活をするのかという問題に直面するので、向こうに居続けることはできないです。

そうですね……生活環境でなく、練習環境だけを考えるとマルセロ・ガウッシアのNYの道場は理想的な場所でした。

田中 その良い環境を知っているのに、日本で練習している。日本で強くなれるという考えに軸はあるのですか。

嶋田 僕は最初は茨城の道場に所属していて、青帯の時に初めてアジア選手権に出ることになりました。あの時から練習時間の少なさは痛感していました。だからこそ、人一倍考えようと思うようになり、今日まで来たと思います。

歩いていても、飯を食っていても柔術のことを考えている。24時間という限られた時間で、NYのようにハードな練習を1日に2コマもできることはない。指導もあります。だからこそ、時間を無駄にしないよう柔術のことを考え続けています。ノートとかも1日に1ページ書くようにして。

田中 うわぁ……マジっすか……。嶋田選手の柔術との向き合い方を聞くと、僕は漠然と焦っていただけで……、余計に焦ってきました。でも、本当に今日こうやって嶋田選手と触れ合うことができて良かったです。

頭の中で、自分はこういう感じなるのだろうと思っていたことが、実際にスパーリングで起こりました。やられるだろうと感じているのと、やられるのは違います。

自分に知識がないことは自覚していたのに、そこを解決できていなかった。教わる場所がなかったのもありますし、嶋田選手の話を聞いていると、自分を成長させるためにまだまだやるべきことがあることに気付かせてもらいました。

他の人の練習を見て、自分の知識にする。そういう視点すら僕にはなかったですから。

嶋田 ホント、そんな風に言って貰えると……。今日は有名人と会うような気持ちでグランドスラムさんに寄せさせてもらっていたので。宇野(薫)さんとかと毎週のように会うようになったので、最近はそういう感覚がなくなってきていたのですが、今日は田中選手だから緊張していました。雑誌で見ていた人だって。

ボコボコにやられるんじゃないかという気持ちもあったし、ちゃんと練習相手になれるようにと準備してきました。

──それで5分間のスパーリングを始めると、田中選手の特徴が分かって来るものなのですね。

田中 1本目が終わった時点で、バレてきているのは分かりました(苦笑)。だから5本もやれば、もう……。僕に必要なことを言葉にして伝えてもらえるというのは、本当に有難いことなんです。

技術は足りていない。でも、MMAの練習だと優ってしまう……。そうすると、僕にアドバイスをしてくれる人がいなくなってしまう。

──コーチが少ないJ-MMAの特徴ですね。

田中 練習仲間同士だから、実際には僕の穴を分かっていても、スパー後にはなかなか口にしてもらえない。僕は直していきたいけど、僕には僕の考えがあってやっていると思われている節があります。

米国だったら、僕より弱い連中でもドンドン注意してきますからね(笑)。それをどう受け取るかは僕次第ですけど。それが日本に帰って来てからはなかった。

嶋田 向うの人はセミナーを一緒に受講しているのに、パートナーになった人が色々と指導してきますからね(笑)。

田中 ホント、一般クラスに出ている普通の人から注意されますよ(笑)。日本はそういうのはないですよね。だから、これからちゃんと嶋田選手の都合に合う時に、定期的に指導を受けさせてもらいたいと思います。

──嶋田選手、そういうことですが。

初スパーの翌週から、田中は高橋遼伍とともに嶋田のプライベートを受けるようになっている

初スパーの翌週から、田中は高橋遼伍とともに嶋田のプライベートを受けるようになっている

嶋田 僕で力になれるなら、ぜひとも宜しくお願いします。

──今日、指摘していた田中選手の矯正すべき点など、その解決法は嶋田選手のなかに存在し指導できるのでしょうか。

嶋田 ハイ、あります。僕はこれまでフィジカルが武器になったことがない人間です。身体的特徴で他人より秀でたことがない。跳躍力も瞬発力も、スタミナも全て平均値です。

もちろん、フィジカルもトレーニングを積んで伸ばそうとしていますが、感覚や体力任せで柔術を習得してきたわけでないので、全て言葉にして説明できます。なので田中選手に必要な点は、全て矯正してもらえます。

<この項、続く>

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