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【ACB】ACBへ。田中路教が嶋田裕太との練習開始─01─「感覚で動くのではない?」(田中)

Nori & Shimada【写真】MMAと柔術、世界を目指す者同士が初遭遇を果たした (C)MMAPLANET

19日(金・現地時間)、ACBが田中路教と契約したことを発表した。昨年10月のGlandslam06におけるホジェリオ・ボントリン戦後から、UFCへ戻るプロセスとして口にしていたプランが現実のモノとなった。

ACBの発表の2日前──「契約書が送られてきてサインをしました」という状況下の田中は、横浜のグランドスラムでブラジリアン柔術の黒帯である嶋田裕太と5分×5Rに及ぶスパーリングを行っていた。

現在発売中のFight & Life64号に掲載されたインタビューで、田中は「試合に出て、今も強くなろうとしている人に稽古をつけてほしい」と嶋田にラブコールを送っており、それが実現した形だ。

田中に最も必要なグラップリングは、下にならないスクランブルだ。そして上になればパンチがある。そのなかで下から返してくる嶋田との稽古を望んだ田中は、取材の開始を待ちきれずに自らの課題を嶋田に問うた。


田中 僕の動きで一番気になったところ、教えてもらえないでしょうか。

嶋田 足を無視して上半身を抑えることですかね。ギロチンで固めてくるときも。ポジションを取ることを目的としているのであれば、足をコントロールしてから上半身を抑える必要があるかと思いました。

田中 ハイ。

02嶋田 僕が終盤に足を取ることができたのもそうだし、外側から手を巻き付けて奥足を掴めたように、上半身だけ抑えようとしていたので、下半身を操作しやすかったです。

田中 あぁ、なるほどぉ!!

嶋田 上半身の取り方もギロチン、頭を巻いて固めて来ることが多いので、あの形を続けると田中選手はワキが空きやすいです。

田中 あっ!!

01嶋田 だからギロチンだけでなく、ワキを差したり違ったコントロールを織り交ぜた方が、ギロチンでのコントロールもしやすくなるかと思いました。

田中選手がワキを差しに行くと、相手はワキを閉めます。そうなるとギロチンのチャンスは広がります。

田中 ギロチンだけでなく、ワキを差すのとコンビネーションで使えば良いのですね。

嶋田 ハイ、そうすると相乗効果で逆にワキを差してコントロールもしやすくなるはずです。僕も頭を抱えてコントロールするのが好きなんですけど、相手の手が首の傍にある時はワキを差しにいきます。

田中 上半身の前に下半身をコントロールするには、どうすれば良いのですか。

嶋田 そうですね、相手の足は当然2本あります。そして、田中選手が向かって左側に回り込んで抑えたいなら、相手の右足をどかせて抑えにいく。

同時に下になっている身からすると、田中選手が足を掴むけど、捌かずに回ってきた場合、どちらの足を掴んでいるかで回って来る方向が分かって対処しやすくなります。だからこそ、しっかりとどかせて僕が対処しづらくなるようにコントロールする必要があるかと思います。

田中 僕が掴んだ箇所で、その先が読めるということですか。

嶋田 はい、なのでより効率よく動いて、対処することが可能になります。

田中 嶋田選手は寝技をしている最中も常に考えているということですか。

03嶋田 僕は体を動かす以上に頭を働かせています。これが逆になると上手くいかない。弱くなってしまいます。

田中 感覚で動くのではなくて?

嶋田 あくまでも僕の場合ですけど、相手が強いから真っ白な状態で戦うという手段を取ると、やられます。強いからこそ頭をフルに使うよう心掛けています。

田中 それって相手の動きに合わせて、自分が動くということですか。

嶋田 そういうことになるかもしれないです。相手より自分の動きを全うするという選手もいると思いますが、僕の場合は自分がどう動くかよりも、相手がどう動くのかを考えていないとコントロールされてしまいます。

田中 今日のスパーリングもそうだったということですか。

嶋田 そうですね、田中さんがどっちの足を掴むか、それで回る方向を読んでいました。腕を巻き付けて来るから、そこを絞られないようにワキを空けさせようとか……考えながら動いていました。

田中 へぇ、凄いな……。

──基本、田中選手はトップを取って殴るという動作がありますが、今言われた純粋グラップリングの知識があった方が良いということですか。

嶋田 絶対に良いと思います。感覚で動くよりも、理解して動くことを僕は大切にしています。具体的なテクニックではなく、相手がどっちを掴んでくるのか。これはどのような組手、形になっても全てに通じることですから。

ここを掴んでいると、どっちに来るのか。そのプロセスは置いておいて、掴んだ位置と左右どちらに攻めて来るのかは共通しています。

田中 へぇ、凄いなぁ。でも、どうやったらそれが分かるようになったのですか。

嶋田 僕の場合は他の人のスパーを見て、そこの理解を深めました。

田中 他人の練習を見て……何も思ったことなかったです。

嶋田 他の人のスパーリングを見て、「ここを掴んだからこっちに行くんだろうな」とか予測を立てるんです。

田中 あぁ、なるほどぉ!!

嶋田 で、自分の見立てと違う方向にいくと大体失敗する。それを重ねることで確信を持つようになり、実際に自分のスパーリングで検証します。そして、相手が間違った方向にいくと止めることは容易いです。

田中 う~ん、もう反省するしかないです。自分のこれまでを……。何も考えずに、他の人の練習を見てきたなって。そうかぁ……、そこまでなんですね。自分が強くなる、動くってことばかりで、そんな風に考えたことがなかったです。嶋田選手は柔術を始めた頃から、他の人の練習を細かくみて見ていたのですか。

嶋田 紫帯ぐらいまでは、自分のことしか考えていなかったです。相手がどこを掴むと危険になるのかとか考えることはなくて、自分がどこを掴んでどう攻めるのか。オフェンスで全てを押し切るような感じでした。

田中 いつぐらいから他の人の練習を考察するように?

嶋田 茶帯になり指導が増えた時ですね。人の練習を監督する時間が増えるので。青帯とか紫帯の人は意識しているのかどうかは別にして、だいたいセオリー通りに動きます。だから、こういう言い方をすると思った通りなので余り面白くないんです。

それが白帯の人の動きを見ると、凄く新鮮に映ります。セオリーにない、言ったら反対の動きをする。それが面白いことに黒帯同士の試合でも、夢中になってくるとイレギュラーな動きを見ることができます。

田中 へぇ。面白いですね。

嶋田 なので白帯の人とスパーをすると、予想外の動きをするから実戦に近くなることもあります。僕が練習をするのは、試合に勝つためです。だから、白帯の人だろうが他の人のスパーリングを見るのは凄く楽しいですし、勉強になります。

<この項、続く

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