【ONE64】青木真也のこの一番……ではなく、青木に訊いたガフロフ戦 「苦戦していたように見える?」
月刊、青木真也のこの一番に続き、1月20日(土)にONE64で行われたマラット・ガフロフとのグラップリングマッチについて尋ねた。
青木がケージに押し込まれ、尻餅をつくという予想外の展開に苦戦という印象が与えられた一戦だが、青木自身はガフロフの強さを認めたうえで、主導権は握っており苦戦でないことを断言した。
──2018年度1月の青木真也が選ぶ、この一番に続き……ガフロフとのグラップリングマッチについて、話を聞かせてください。
「ハイ、良いですよ」
──実際、試合を見るまでガフロフがあれだけケージ際が強いとは思ってもいませんでした。厳しい試合になりました。
──見えました。青木選手がケージに押し込まれるシーンがあれほどあるとは。
「へぇ、そういう風に見えるんだ。実際に戦っていて、僕自身はイニシアチブは自分が握っていたと思っていたんです。主導権は僕が取っていました」
──そういう感覚で戦っていたのですね。
「バックを取られそうになっても、取られていないし。アレは僕の局面で。僕が動かしていた試合でした。あの状況で不利だとか、苦戦したっていう風に取られるんだ!!」
──そうですね。下にならない戦いでアンクルを取られて尻餅をつかされたり、青木選手がテイクダウンしてポジションを奪取するという見立てだったので。ガフロフの能力を見誤っていたかと思います。
「お互いの強さが同じ局面だったのでしょうね」
──ガフロフはフック系ですが、打撃で圧力を掛けることができるファイターなので、グラップリングだけであの強さがあるとは意外でした。
「僕からじゃなくて、向こうからその局面に持っていきましたもんね。ただね、押し込まれていても途中から『これは消耗ゲームになるな』って感じていたし、バックはあれ以上取られることはないという感覚でいました」
──疲れたところで、上を取っていくと?
「そうですね。だから僕が主導権を握っていて、トップを取れば行けると。バックを取られそうになって、スクランブルからトップっていうのは僕の得意な流れなんですよ。ガフロフがそこを仕掛けてきた時、行こうと思って上を取りました。あの局面は僕のムーブでした」
──手に汗握る展開で、楽しめました。
「こんな自分勝手にやって、良い試合だと評価される試合で勝てて良かったです(笑)」
──良い試合という評価が、あのグラップリングであるというのは素晴らしいことかと思います。
「周りはそう言ってくれましたね。あとチャトリ(シットヨートン)はすぐに連絡をくれて、『グレート・ファイトだ。凄いテクニックだった』と」
──日本のMMA大会でグラップリングマッチが組まれて、あの白熱感が生まれたことはなかったです。
「酷評されるって、あの試合をすると。それは僕自身分かっています。日本でアレをやるのは、まだキツいでしょう。転がすことができる人がいないと思います。なかなか、ああいう攻防にならないし。難しいでしょうね」
──まだ今もそうですかね。
「だってRIZINでアレはできないですよ」
──それはそうですが。
「ある程度の良い条件で、あの試合ができた。楽しくやらせてもらった。こんなことできるなんて、どれだけ居心地が良いんだって思いながら帰国の途につきました(笑)。
自分の好きなこと、表現したいことをそのままやって。それは良かったですよ」
──青木選手の勝利に驚きはないのですが、勝てて良かった試合でした。
──あの試合を見て、次のガフロフも楽しみになりました。
「いや、強かったなぁ。あの戦績を残している選手だっていうのは、戦っていて思いました」