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【ONE63】ベン・アスクレンと対戦、青木真也─01─「MMAなんかやっていない、闘いなんですよ」

Shinya Aoki【写真】リラックスタイム、リラックスタイムが必要なわけはその真逆の時間を過ごす必要がある。そのためのシンガポール入りでもあった(C)SHINYA AOKI

24日(金・現地時間)、シンガポールはカランのシンガポール・インドアスタジアムで開催されるONE63「Immortal Pursuit」のメインで、青木真也がベン・アスクレンの持つONE世界ウェルター級王座に挑戦する。

ONEの計量方法でいえばウェルター級は83.9キロ、対してライト級=77.1キロのリミットにも通常体重が足らない青木。ナチュラルウェイトというONEの望む形で試合に出てきた彼が、そのONEの望む形で1階級上の無敗のチャンピオンに挑む。

この試合が如何に危険かを理解し切っている青木は、今月の4日からシンガポール入りしてイヴォルブMMAで調整を積んでいる。MMA界の論客としてではなく、ファイター青木真也の声を訊いた。


──アスクレン戦まで8日となりました。

「あぁ、もうそれだけなのですね。もう1週間かぁ」

──現在の体調は如何ですか。

「体調は別に問題もないですけど、体重は足りないという感じですね(苦笑)」

──ウェルター級王座に挑戦なので、ライト級のリミットを上回っていないということなのですか。

「ウェルター級の83.9キロに対し、今は75キロほど。でもライト級のリミットの77キロを越さないといけないので、そこを調整して頑張らないといけないですね」

──つまりこの試合に向けて、体を大きくはしてこなかったということですね。

「この試合が決まっても、普段の自分の肉体でいる方が良いと判断しました。それに筋肉をつけて体を大きくするなんて、無理ですからね。70キロで試合をしている時で、75キロとか76キロの選手が84キロ級で戦うからって77キロにはならないですよ。

ぶっちゃけステロイドを使えばデカくできます。でも、そこに手を出そうとは思ないから、水を飲んで服を着て計量する。そんな風に考えています」

──服を着て計量(笑)。

「全裸でないといけないとか、パンツ一丁でないといけないとはルールには書かれていないですからね」

──では服の中に重しをいれておけば、水を飲む必要もありませんね。

「でも、それって体重別の試合で不利な状況に変わりないんですよ(笑)。だから水を飲んで、ご飯を食べていつもより少し重い状態で計量に臨もうと思っています。そうすれば77キロを超えるでしょうね。

結局、通常体重の107パーセントという前提があって、体重を落とさないでという理想があっても、ほとんどのファイターが水抜きをしないだけで減量をして戦っていますからね。減量をするなということで始まったのに、ドライアウトだけしなければ良い。だから、多くの選手が体重を落としている。そういう風潮で固まりましたね」

──そんななかで青木選手は減量でなく、増量して計量には挑むと。ONEの計量方法だとライト級で戦っていても対戦相手が大きくなっていたなか、通常体重で言えば約9キロ、きっとアスクレンは4、5キロはリカバリーしそうです。

「一つ抜けたのかもしれないです。僕自身のテンションが。これをやるよっていうテンションになってしまっている。これね、闘いとして捉えているんです。競技というよりも。一つの闘い。闘いとして捉えると、体重差があるとか僕のなかでは重要なことではないと感じています」

──青木選手は怖がりではないですか。

「ハイ、怖がりです」

──怖がりだからこそ、この危険な戦いに挑もうと思ったのかもしれないですね。頭突きあり、素手のバーリトゥードをやってみたいという究極な感覚と同じで。現状で一番危険なのは体重差のある試合ですから。

「そういうことだと思います。MMAなんかやっていない。闘いなんですよ。アントニオ猪木が言う、闘いがあるってやつ。そこから藤田(和之)さんなんかも言いますよね、闘いがある。闘いだって。僕もそういう文脈で格闘技をやっているんじゃないかと思います」

──青木選手の場合はMMAを理解し、MMAをやりこんできた。そこでONEがこの戦いを求めた。ONEはいわゆる北米的なMMA=ファイティングでなく、マーシャルアーツと謳っている。

「北米的なファイターではないですね。ただし、ONEのいうようなアスリートでもない。僕は自分がアスリートだと思ったことはないし。アスリートに憧れたこともあるけど、だからこそ一つの競技というモノに拘りたくはない。

僕がこれまで競技に拘ってきたのは、自分がやりたいことをやるため。そのために拘ってきた。自分がやりたいことをやるために競技のなかで成り上がってきたんです」

──キャリアの序盤で、この試合はあり得なかった?

「それです。その通りです。経済的にも地位的にも、バリュー的にもある程度のモノを築くことできた。だからこそ、できる挑戦です。闘い──みたいなモノができるようになった」

──ではベン・アスクレンが相手でない、ただ体重差のあるマッチメイクだと試合を受けていましたか。

「それはしたくないです。僕はミノワマンじゃないから。アスクレンとやるから、闘いがある。だから、そこに浪漫がある。奥ゆかしさ、趣があると思います。これがルイス・サッポとやるとか、極端な話でいえばヘビー級のアラン・ンガラニとやるというのであれば話は変ります。

俺は曲芸師じゃないから。闘いを見てもらう。見世物として、闘いを見せる。ベン・アスクレン戦で見てもらうものは、決して曲芸ではない」

<この項、続く>

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