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【PJJC2017】最激戦区ミドル級はオターヴィオ・ソウザ、ヘビー級は怪物ロもタナーの健闘目立つ

16日から19日にかけて、カリフォルニア州アーヴァインのブレン・イベントセンターにてIBJJF主催のブラジリアン柔術パン選手権が行われた。世界選手権の前哨戦として、多くの強豪が顔を揃えた同大会。レビュー第3回は、アダルト黒帯の部におけるミドル、ミディアムヘビー、ヘビーの3階級の模様をお届けしたい。

【ミドル級】
最激戦区となったミドル級は、元世界王者のオターヴィオ・ソウザが2回戦でアブマー・バルボーザをチョークで、準決勝では一昨年に世界準優勝にして、マジッド・ヘイジやクラーク・グレイシーを倒して勝ち上がったヴィトー・オリヴェイラと対戦。0-0のアドバンテージ差で下して決勝進出した。

もう一つのブロックでは、昨年12月に黒帯に昇格したばかりの新鋭イサッキ・バイエンスが準決勝に進出し、大ベテランのホムロ・バハウに挑んだ。開始早々テイクダウンを奪ったバイエンスは、その後スイープを返される。引き込んだバイエンスは、下から煽って立ちながらバハウの背後に回り、投げを放つ。ここで、左手を伸ばして着地しようとしたバハウがその肘を負傷。4-2とリードしたバイエンスは、バハウの片手での必死の反撃を時間切れまで凌ぎきり、黒帯初の国際舞台において殊勲の決勝進出を決めたのだった。


<ミドル級決勝/10分1R>
オターヴィオ・ソウザ(ブラジル)
Def. by 三角絞め
イサッキ・バイエンス(ブラジル)

バイエンスは試合開始と同時に走り寄り、スライディングをするようにソウザの右足に両足を絡める。その足を両腕でも抱えたバイエンスは、そのまま立ち上がってシングルレッグに移行した。片足立ちを余儀なくされたソウザは、ここで大きく跳んで跳び三角へ。完全に左足でバイエンスの右腕を超えてロックを完成したソウザは、そのまま頭を手で下げさせて絞め上げるとバイエンスがタップ! わずか40秒足らずでソウザが一本勝ちで優勝を果たした。

【ミディアムヘビー級】
優勝候補の2人、ガウジオとバルボーザが順当に決勝進出。ちなみにコナー・マクレガーの練習パートナーとして話題性ではNo1のディロン・ダニスは、初戦でルーカス・ホシャに8-2で敗北。そのホシャは準々決勝でバルボーザに11-0で完敗している。

<ミディアムヘビー級決勝/10分1R>
パトリック・ガウジオ(ブラジル)
Def. by 2-0
ルーカス・バルボーザ(ブラジル)

開始早々引き込んだのはガウジオ。クローズドガードやラッソーガードから仕掛けるが、対するバルボーザも重心を低くしてベースを取り、担ぎなどを狙ってゆく展開が続く。試合時間が半分を過ぎた頃、バルボーザは対角線に足を高く伸ばすスパイダーガードでハルクのバランスを前に崩しながら自分も後転。そのままダブルレッグにつなげてバルボーザを抱え上げ、見事にテイクダウン。2点を先制してみせた。

下になったバルボーザもラッソーガード等から仕掛けるが、重心を低くしてプレッシャーをかけるガウジオのベースを崩せず。2-0でガウジオが重厚な攻防を制して優勝した。

【ヘビー級】
今年からこの階級に進出をはじめた怪物ロは、順当に決勝進出。もう一方のブロックでは、準決勝でタナー・ライスがディミトリアス・ソウザをレフェリー判定で下し、ヨーロピアン同級決勝の再戦が行われることとなった。その時はロが腕十字で一本勝ちしているが、今回は?

<ミディアムヘビー級決勝/10分1R>
レアンドロ・ロ(ブラジル)
Def. by 4-2
タナー・ライス(米国)

まず引き込んだライスは、ズボンの足首と袖のグリップを掴むとロを前に崩してから立ち上がり、そのままグリップを離さずにテイクダウン。 コブリーニャが決勝戦で決めた技と似たような形のスイープの仕掛けから、2点を先制してみせた。しかしロもすぐにシッティングガードからラペルを取ってシングルレッグに移行して同点に。

下になったタナーはラッソーを作って抵抗し、立ち上がることに成功。ここでロは素早く上体を下げると、タナーの左足を掴んでシングルレッグを決めて4-2とリードする。

タナーは再びラッソーから作ろうとするが、ロは巧みにヒジを内側に入れて切る。その後、タナーは下からロの右足を肩で抱えることに成功するが、卓越したバランス感覚を持つロは、長い手をポストして態勢を保ち、やがて足を抜いてみせる。タナーは今一度ラッソーを作るが。ロはその足を押し下げながらプレッシャーをかけ、ベースを保って試合終了までタナーの仕掛けをやり過ごしてみせた。

予想通り、ロが危なげない戦いぶりでヨーロピアンに続いてヘビー級を制覇した。やや安全運転気味だったのは否めないが、それでも先制のスイープを奪い、その後もパスを許さなかったライス──上位3階級で唯一非ブラジリアンで表彰台に立った──の健闘も目立った一戦だった。

■リザルト

【ミドル級】
優勝 オターヴィオ・ソウザ(ブラジル)
準優勝 イサッキ・バイエンス(ブラジル)
3位 ホムロ・バハウ(ブラジル)
3位 ヴィトー・オリヴェイラ(ブラジル)

【ミディアムヘビー級】
優勝 パトリック・ガウジオ(ブラジル)
準優勝 ルーカス・バルボーザ(ブラジル)
3位 ヘナート・カルドッソ(ブラジル)
3位 ホドリゴ・ファジャウド(ブラジル)

【ヘビー級】
優勝 レアンドロ・ロ(ブラジル)
準優勝 タナー・ライス(米国)
3位 ディミトリアス・ソウザ(ブラジル)
3位 マテウス・ディニス(ブラジル)

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