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【UFC】PRツアーで来日、アリスター・オーフレイム<01>「古来より伝えられた教えはMMAに通じる」

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alistair-overeem【写真】東京では街中を歩いていると、今もファンから声を掛けられることがとても嬉しいとアリスターは話していた (C)MMAPLANET

懐かしい顔に出会うことができた。アリスター・オーフレイム、RIGSから始まりPRIDE、K-1、そしてDREAMと日本を主戦場していた彼がUFCのアジア・プロモーションツアーの一環として、東京を訪れた。

香港、中国、そして韓国から日本にやってきたアリスターが新極真会で学んだ空手や韓国のテッキョン道場を訪れる理由、そして世界王座に挑んだ今年のファイト、格闘技が消えかかった母国オランダの事情などを熱く語った。


──アリスター、お久しぶりです。今回の来日の目的をまず、教えていただけますか。

「UFCのアジアでのプロモーションツアーの一環だよ。東京が最終の訪問地で、これまでに香港、上海、北京、そしてソウル、プサンと回って来たんだ」

──ワォ、まさに東アジアの主要都市を飛び回って来たのですね。

「全ての街に2、3日ほど滞在して現地の人々やそれぞれのカルチャーに触れあってきた。MMAの歴史はこの日本から始まり、僕もずっと関わって来たから日本のファンのことはかなり理解しているつもりでいたし、韓国でも日本ほどではないけどK-1時代に訪れていて、ファンの熱気というのは知っていた。

対して中国は初めてだったから、全てにおいて新鮮だったよ。中国という国、中国の人達の生き方にも興味があったから。そうしたら彼らもまた僕に対して、とても好奇心旺盛に接してきてくれたよ(笑)。

UFCも当然、中国進出を視野に入れているだろうし、MMAというスポーツをもっと普及させたいと思う。日本ではMMAは認識されている。だから、中国のように改めて好奇心をもっているということはないよね。中国は真逆で、MMAが浸透していないから興味を持っている。そんな彼らの興味をもっと深いモノにすることに役立ちたい。中国でのMMAはこれから始まるからね」

──韓国ではMMA熱は、今や日本以上だと思われます。

「確かに、凄いファンの熱を感じたよ。プサンなんてチームMAD所属のUFCファイターが4人もいるんだ。プロモーション・イベントの盛り上がり方は凄かった。日本もね──関係者やファイターが頑張って韓国に追いつかないとね。あんなにMMAが盛り上がっていた時代があるんだから」

──耳が痛い話ですが、その通りですね。今回、日本では新極真の道場を訪れて、塚本徳臣氏の指導を受けていました。

「いや、素晴らしい経験をさせてもらったよ。ホント、本気で指導してくれて、僕も夢中になり蹴り方や体の使い方のヒントを貰った。素晴らしい空手哲学を伝えてもらえたんだ。ツカモトさんとは連絡先も交換したよ(笑)」

──中国や韓国でも格闘技の道場を訪問されたのでしょうか。

「北京ではチャイナ・トップチーム、プサンではさっき言ったチームMADを訪れたよ」

──新極真のように土着格闘技の道場へは?

爪先で股間を蹴る──舞踊のように形を残す古流の技には、MMAでは使えない危険な技も多い(C)MMAPLANET

爪先で股間を蹴る──舞踊のように形を残す古流の技には、MMAでは使えない危険な技も多い(C)MMAPLANET

「ソウルでテッキョンの道場に行った。MMAを戦っていても伝統的な武道の道場を訪れる意義はあるんだ。なぜか、僕らの知らないことを教えてもらえるからだよ。もちろん、その全てがMMAの試合で使えるということじゃない。

ただし、最初から最後までしっかりと耳を傾けて、興味を持って指導を受けると、MMAに通じる何を得ることができる。どのようなマーシャルアーツからも、習うべきことは存在しているんだ。そのためにも、常にオープンマインドでいることを心掛けないとね」

──アリスターがテッキョンの道場で指導を受けるというのは本当に興味深いです。テコンドーはスポーツとして普及されることを目指しクリエイトされた格闘技ですが、テッキョンこそ韓国古来の土着武道といえるので。

「そう──つまりその国の文化に触れることにもなるんだよね。UFCでもカポエイラの蹴りを見ることがある。なら、テッキョンの技がオクタゴンで絶対に見られないとは言えないだろう?あの独特のリズムを修得するには時間が足りなかったけどね(笑)。

いずれにせよ、良い経験になったよ。そして新極真と同じようにテッキョンでも、古来の武道哲学をレクチャーしてもらえた。テクニック的には、あの短時間では非常に基礎的な初心者へのソレしか教わることはできないけど、彼らのフィロソフィー、マスターの考えに耳を傾けることが凄くためになるんだ。

だから、僕もむしろ技術的な質問よりも、センセイたちの哲学に関して質問を繰り返してしまったよ(笑)。センセイたちが古来より伝えてきた教えは絶対的に現代MMAにも通じる。センセイたちの知識は何も古くない。とても役立つものだからね」

──まさに日進月歩のMMAだからこそ、温故知新という部分も大きいのでしょうね。

「その通りだ。古の教えに耳を傾けるからこそ、MMAはさらに進化していくものなんだ」

──そんな貴重な体験をテッキョン、そして新極真で経験してきたアリスターですが、ここからは今年の活動を振り返ってもらえますか。5月、ロッテルダム・アホイのメインで勝利を挙げました。

2001年の2H2Hでロッテルダム・アホイで戦った時のアリスター(C)MMAPLANET

2001年の2H2Hでロッテルダム・アホイで戦った時のアリスター(C)MMAPLANET

「ロッテルダム・アホイという会場でUFCのメインイベンターとして戦った。こんな感慨深いことはなかったよ。2004年、もう12年も前に僕はあの会場で行われた2H2H(※トゥー・ホット・トゥー・ハンドル)でIMA世界95キロ級王座に就いた。MMAで初めて世界王者になったのが、ロッテルダム・アホイだったんだ。

2000年から2H2Hはオランダをリードする格闘技イベントだったけど、その存在がその後のMMA、キックボクシングを苦境に追い込んだともいえる。そう以前、僕が所属していたゴールデン・グローリーもその原因の一つだ。

そのことを想うと、UFCファイターとしてロッテルダム・アホイの超満員の観客の前で勝てたことは、本当にスペシャルだった。UFCのチケットは1時間で売り切れたんだよ。オランダのMMAいや、格闘技は失われた時を取り戻したのさ」

<この項、続く>

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