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【Grandslam05】内藤頌貴と対戦ZSTフライ級王者、伊藤盛一郎<01>「ケージでも特に変わらない」

seiichiro-ito【写真】思川にかかる泪橋のような風情の帷子川の元平沼橋の上で。爽やかすぎるイメージを持っていたが、目力の強さが伝わってきた伊藤(C)MMAPLANET

11月3日(木・祝)、東京都江東区ディファ有明で行われるGrandslam05で内藤頌貴と対戦する伊藤盛一郎。ZSTフライ級王者と修斗世界ランカーの対戦は、J-CAGE界の永世中立国にして、老舗に挟まれた緩衝地帯のGrandslamならで顔合わせといえよう。

UFCが頂点にあるMMAヒエラルキーにあって、22歳のチャンピンは大晦日を目指す。国内MMAはケージ大会かしか取材を行っていないMMAPLANETに、ZSTのチャンピオンが初登場。内藤戦について話してもらう前に、その格闘フィロソフィーを語ってもらった。


──Grandslamで内藤頌貴選手と戦う。ケージで修斗世界ランカーと戦うことに関して、どのような気持ちでいますか。

「ケージで戦うのはVTJ3rdの時以来なのですが、本当だったら11月はZSTの記念大会が行われるので、そこでMMAの試合に出たかったです。ただ、今年はずっと年末のRIZINを目指して戦ってきていたので──そうなると期間的に難しいかなって勝村先生とも相談をしました。

そして、ちょうど11月の初めにグランドスラムがあるので、ここでMMAの試合をして、ZSTではグラップリングを戦って年末に向けてやっていこうということになったんです。普段、ZSTはリングなのですが、ケージでも特に変わらないと思っています。ヒジ有りルールですが、それも大丈夫ですし」

──22歳という年齢の伊藤選手が、国内の大舞台を目指す。最近では多くの選手がUFCを目指すというなか、非常に珍しいと感じました。

「僕はもともと中学と高校と柔道をやってきて、MMAをやりたいという気持ちはなかったです。それが大晦日に所(英男)さんと渡辺一久選手が戦っている試合(※2010年の大晦日)を見てやりたいなって思って。勝村先生がテレビに出ていたのも見ていたし。それで高校3年の春に、5年前に入門したんです」

──2011年、勝村さんが修斗世界フェザー級王座の防衛戦を控えていた頃ですね。当初からプロ志望だったのですか。

「はい。やるんだったらプロになって自分の親とかを試合に呼びたいと思っていました。そのうちTVで格闘技中継がなくなってしまったのですが、プロになることが目標であることに変わりはなかったです」

──勝村さん率いるグランドスラムでは午前中に週に2度ほどプロ練習が行われていますが、すぐに参加するようになったのですか。

「いえ、最初のうちは柔術クラスや総合クラスでもグラップリングが中心で、打撃は余りやっていなかったです。柔道出身で組み技が好きだったので。でもSWATトーナメントの決勝戦で負けて、次の試合も引き分けてしまって。

そこで本気でやっていくなら、プロ練習に参加させてもらわないとダメだって思うようになりました。ノリ先輩、忠治先輩、BJさん、マモさん、宇野さん、小見川さん、砂辺さんもいて、しょっちゅう目の周りに痣ができていました(苦笑)。

最初の頃は受けてくれているのは分かりました。そんななかでも、自分も何か一つはやろうと思って練習していました。一度投げよう、一度は極めの形に入るぐらいは仕掛けることができるようになろうって。でも、チンチンにやられていましたね(笑)」

──しょうがない話だと思います(笑)。その多く先輩がアマ修斗からプロ修斗に進んだ選手が多かったのですが、伊藤選手がZSTでのキャリアアップを選択したのには何か理由があったのでしょうか。

「ZSTのプロアマ戦に代役出場で急遽戦ったのがきっかけでZSTで戦い続けるようになったのですが、あれがなければアマチュア修斗に出て、プロを目指していたかもしれないです。ただ、ZSTに出るようになってからは、ずっとZST以外のことを考えることはなかったです」

──そのうちにプロ練習でもやっていけると手応えを感じるように?

「う~ん、それは最近……ZSTのチャンピオンになってからぐらいです。この間、BJさんやノリ先輩がいなくなって……、ノリ先輩には全く敵わないままでした」

──なるほどぉ……実は田中選手に伊藤選手のことを尋ねてときには、『う~ん』……って言葉を濁したことがあったのです。田中選手は当時のままの伊藤選手のイメージを持ち続けていたのでしょうね。

「そう思われてもしょうがないぐらい、当時の僕は弱かったです。ノリ先輩や忠治先輩のようにトップを狙っている選手たちは、ここまで強いのかって勉強させてもらいました。2014年の最初にノリさんやBJさんがジムを抜けた時、僕はグランドスラムに残ったのですが……あの時に勝村先生から『チャンピオンを目指そうな』って言ってもらえて、丁度ZSTの本戦に出るようなった時期だったのでチャンピオンを目指すようになりました。

そしてチャンピオンになってからは、色々な舞台で戦ってみたいと思うようになったんです」

<この項、続く>

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