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【New Era APmma】LFC代表ハスカンプ、「日本の状況は良くなる」

LFC11

【写真】LFCのKL大会はチケットセールス云々でなく、中継用の大会。照明設備はアジア系大会随一。プロレスのスタジオマッチのようなフォーマットだったように見受けられた(C)MMAPLANET

急激に成長を遂げるアジア太平洋のMMA。MMAPLANETでは、「New Era APmma」としてアジア太平洋地区のファイター、関係者を紹介していきたい。

第6弾はマカオ&香港ベースから、8カ月ぶりのイベントをマレーシア、クアラルンプールで開催したLegend FC。ニューヨークの名門コロンビア大学で経営管理学修士を修得しているビジネスエリートでもあるプロモーターのマイケル・ハスカンプに、マレーシア進出と8カ月のブランク、そして日本人ファイターについて尋ねた。

――マイク、LFCにとって8カ月ぶりのイベント再開の地がなぜ、マレーシアのクアラルンプールだったのでしょうか。

「クアラルンプール大会は我々のパートナーである東南アジアのソニー系AXNネットワークによって実現されたものなんだ。確かにマレーシアのMMAは成長過程にある。正直に言ってフィリピン以外の東南アジアのMMA業界はまだまだ小さい。ただ、これから東南アジアの国々でMMAイベントの数はますます増えていくだろう。

クアラルンプール大会はLFCにとって、マカオや香港での大会に比べて予算やショーアップの面など、控えめにしていたのが分かっていたと思うけど、MMA新規参入国の実状にあったイベントを開く必要性があったんだ。MMAは一晩で普及するものではなくて、段階を踏み堅実な手法で新しい国々に広めていく必要があると僕は思っている」

――そのKL大会では安藤晃司選手が負傷TKO勝ちでチャンピオンとなりました。その一方で前王者のジャダンバ・ナラントンガラグは負傷し休養が必要な状態です。今後、安藤選手への挑戦が考えられるライト級ファイターは、誰になるのでしょうか。

「1年間の負傷欠場から、エイドリアン・パンが今月末には練習を再開することになる。負傷がなければ、LFC9で安藤はライト級挑戦者決定戦として、彼と戦う予定だったのを覚えているだろう? 今一度、エイドリアン・パンが100パーセントの体調に戻った時、私たちは安藤×パン戦を実現させたいと思っている」

――現在LFCでは2人の日本人王者と3人の中国人チャンピオンが存在します。現状で中国のMMAファイターの実力をどのように判断していますか。

「中国にはまだ発掘されていないダイヤの原石が眠っている。これから国際大会で経験を積んでいけば、中国勢のポテンシャルは明らかになっていくだろうね」

――マイケルは以前、ビジネスマーケットとして日本は以前のような勢いがないにも関わらず、多くの国が往時のイメージを持ち続けていると正直に言ってくれたことがありました。そんななか、マーケットが縮小する日本のファイターを常時出場させ、決して少なくない予算を彼らに計上する理由を教えてもらえますか。

「2つ理由があるんだ。1つ、安藤や川那子祐輔、粕谷優介、そして中原太陽のように、日本にはまだまだMMAを代表する多くの才能あるファイターが埋もれている。2つ目は、MMA人気には周期があるということさ。

今の日本の状況はPRIDEの全盛期とはかけ離れたものになってしまっているけど、またこのスポーツの人気が戻ってくるに違いないと読んでいる。それはPRIDEのピーク・タイムのような状況ではないかもしれないけど、現状よりもっと良い状況が必ず巡ってくるはずだよ」

――そんな風に言ってもらえると、日本人としても嬉しいです。ところで先ほど名前が出た中原太陽選手ですが、彼はバンタム級王座決定トーナメントで勝ち残っていましたが、今回は挑戦者に選ばれませんでした。ジー・シェンの初防衛戦の相手は中原選手になるのでしょうか。

「中原はもともと前回の大会で王座決定戦に出場する予定だったんだ。でも、トレーニング中のケガが原因で、試合に出るのは夏ぐらいになるって連絡が入ったから、我々も彼の試合が組めなかっただけなんだよ」

――同じくLFCフェザー級王者の川那子祐輔選手の2度目の防衛戦の予定はいつになりそうですか。

「川那子もマネージメントサイドから、彼は新しい仕事に就いたから慣れるまで、最初の半年ぐらいは、十分なトレーニングができないという連絡があった。つまり、彼のカムバックも夏頃になる。チャレンジャーになる可能性を持っているのは、ニュージーランドのダニエル・フッカー、韓国のチェ・ヨングァンかな。チェはKL大会でも良い試合をしたしね。ロブ・リシタも再戦を望んでいるようだけど、彼には少なくとも1、2勝する必要があると伝えているよ」

――LFCは非常にまとまりがあるイベントで、常に上質な大会をファンに提供していると思うのですが、やはり8カ月のインターバルはファイターにとっても長すぎたように感じます。なぜ、このような長い準備期間が必要になったのですか。

「去年の後半は、TV中継の拡張を第一に考えて活動していたんだ。結果、AXNとESPNとの契約に至った。LFCの視聴可能世帯数はUFCに次ぎ、世界に2番目の数を誇るようになったんだ。そして、中国南部にも放送拠点を持つことができた。だから、東南アジアでイベントを開催するように動いていたんだけど、結果、思った以上に時間を要してしまったんだ」

――なるほど。そういうことだったのですね。日本でもTVディールを後回ししても、何かをやりたいという傾向が見られるので非常に参考になりました。ありがとうございます。

「こちらこそ、サンキュー・ベリーマッチ」

<LFC11主な試合結果は、コチラから>

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