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【ADCC2015】シャンジ・ヒベイロ準々決勝でロンバード下すも、準決で怪物に散る

Xand vs Lombard【写真】ロンバード相手に得意のオモプラッタで攻め立てるシャンジ。延長のスタンド戦でも柔道五輪代表に引けを取らなかった (C)GLEIDSON VENGA

29日(土・現地時間)から30日(日・同)にかけて、ブラジル・サンパウロにてアブダビコンバットクラブ(ADCC)主催の世界サブミッション選手権が行われた。2年に1度、世界最高峰の組業師たちを集めて行われるこの大会。今年もグラップラーの祭典と呼ぶに相応しい強豪たちが集まった。実質上ギ無しグラップリングの世界最強決定戦といえるこの大会、今回は99キロ以下級からシャンジ・ヒベイロの準々決勝と準決勝の試合をお届けしたい。

<99キロ以下級準々決勝/10分1R>
シャンジ・ヒベイロ
Def. by レフェリー判定
ヘクター・ロンバード

今年の世界柔術を制して復活したレジェンド・シャンジと、UFCでも活躍する元柔道五輪代表のヘクター・ロンバードトの注目の一戦。UFCではウェルター級で戦うロンバードは、さすがにシャンジより一回り体格が小さい。開始早々にガードを取ったシャンジは、バタフライガードでロンバードの体を浮かせると、すかさずオモプラッタにつなぐ得意の形で攻撃するが、ロンバードは腕を引き抜いて脱出。その後もシャンジの下からの仕掛けを防いで10分経過。延長戦に入って試合はスタンドでの仕切り直しとなった。

引き込みがマイナスポイントとなるこの場面で、シャンジは果敢にスタンド戦を挑む。ロンバードのテイクダウン狙いを切ると逆にシングルレッグを仕掛け、2度ほど尻餅を付かせることに成功。ロンバードも攻撃の手を緩めず、シャンジを場外際で倒す場面もあったものの、結局レフェリー判定はシャンジのものになった。

Xand vs Vieira<99キロ以下級準決勝/10分1R>
ホドウフォ・ヴィエイラ
Def. by 6-0
シャンジ・ヒベイロ

ロンバート戦を制したシャンジの相手は、ギ無しでも普段と変わらず無類に強いテイクダウンとプレッシャーと極めを見せ、問答無用の強さを見せて勝ち上がってきた怪物ホドウフォ・ヴィエイラ。

新旧の無差別級世界最高峰の柔術家二人の夢の対決が実現した。

スタンド戦。ヴィエイラは、スナップダウンでシャンジの首を引き落としてがぶると、そのままグラウンドに持ち込みインサイド・ハーフでトップポジションを取る。上から圧力をかけるヴィエイラに対し、シャンジは一瞬隙間を作ってオモプラッタに。立って反応するヴィエイラにスタースイープを仕掛けるが、またも瞬時に反応したヴィエイラは、足に絡んできたシャンジの右腕を逆に足で固定しつつ、左腕を取ってクルスフィックスの体勢に。しかしここでもシャンジは落ち着いて亀で守り、すぐにハーフに戻るという凄まじい攻防が展開された。

ハーフから左脚でシールドを作って守るシャンジに対して、恐るべき圧力を賭けていくヴィエイラは、やがて胸を合わせて上半身をがっちり固めることに成功。そのままじりじりと足を抜いてのマウントを狙うが、足が抜けたそのタイミングに、シャンジは静かに返してスタンドに戻ることに成功。間違いなく世界一の威力を誇るヴィエイラのパスガードに、完璧なタイミングと技術で対抗したのだった。

スタンドに戻ると、ヴィエイラはシングルレッグからダブルに移行し、逃げようとしたシャンジの背後に付くことに成功する。さらにグラウンドに引きずり込みシングルバックを取るが、この体勢での守りに定評のあるシャンジは慌てずに防御し、両足フックを許さない。それでもシャンジのアゴに手をかけ上げさせたヴィエイラは、シャンジが両手を首の防御に使った一瞬の隙にフックを完成させ、3点を先制してみせた。

それでもシャンジは冷静に体をずらしてエスケープ。試合がスタンドに戻ると、自分から組みついていくものの、ヴィエイラはそれをがぶってまた背後に。亀のシャンジの体を、強烈無比な上からのプレッシャーをかけてフックを入れて伸ばすことに成功。万事窮すと思われたが、シャンジはそれでも体をずらして脱出する。再び背後についたヴェエイラは、ならばとばかりに腕十字を仕掛けるが、シャンジは決して背中を付けずに起き上がって正対してみせた。

終盤とうとう上になることに成功したシャンジ。しかし(上攻めが法外に強すぎる故に披露する機会が少ないが)下からの技術と攻撃においても卓越しているヴェエイラが、オープンガードからシャンジの右足を取って伸ばし、スイープの体勢を作ったところで試合終了。お互いがその強さと魅力を存分に発揮した攻防は、6-0で怪物ヴィエイラの勝利となった。なおシャンジは怪我で3位決定戦を棄権することとなった。

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