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【UFN64】未知のMMA大国ポーランドから、伝統空手家ダミアン・スタシャク出陣!!

Damian Stasiak【写真】空手家、柔術家、そしてMMAファイターの顔を持つダミアン・スタシャク(C)UNITED GYM

11日(土・現地時間)、UFCにとって初めての東欧、そしてポーランド大会となるUFC Fight Night64「Gonzaga vs Cro Cop 2」が、ポーランドの古都クラクフにあるアリーナ・クラクフで開催される。

メインはミルコ・クロコップがガブリエル・ナパォンへリベンジを挑むヘビー級戦が用意された同大会、日本では耳慣れないポーランド人ファイターが実に7名も出場する。KSWというメジャー大会が定期的に開かれ、ブラジリアン柔術も西欧や北欧に負けないほど普及し、かつキックや空手も強豪を輩出、加えてアマ修斗まで行われたことがある東欧のMMA大国。そんなポーランドからオクタゴンに足を踏み入れるファイターのなかで、気になるのがダミアン・スタシャクだ。

スタシャクの所属するユナイテッド・ジムは空手、柔術、MMAを指導しており、MMA戦績8勝2敗の彼はブラジリアン柔術では茶帯を巻いている。何よりも目立っているのが空手での戦績だ。ITKF=国際伝統空手連盟の大会では2011年ヨーロッパ選手権個人複合の部優勝、同年ワールドカップ優勝。2012年はヨーロピアンカップ2位、同年世界選手権個人組手2位、団体組手優勝。2013年ヨーロッパ選手権個人組手、交互組手、団体組手の3部門で優勝し、トリプルクラウンを達成している。さらに昨年もヨーロピアンカップで優勝し、世界選手権個人組手を制すると、団体組手でも2位になっている。

ITKFとは松濤館道場で船越義珍に指導を受け、日本空手協会の発足メンバーでありながら、LAに拠点を移し、異国で空手を追及し続けた故西山英峻氏を祖とする組織だ。空手といっても千差万別、フルコンもあれば伝統派も存在する。そして伝統派と名乗る流派にあっても、型と組み手が完全に別モノとなっている現状のなかで、ITKFは型と組み手を同じ原義の下で捉え、カップ戦などでは選抜選手8名が規定型、得意型、組手の全てをこなさなければならない──独自路線を敷いている。

ある意味、西山空手といえる技術論、武道論が継承するITKFだが、2012年頃に分裂しポーランド主導派は昨年来、World Traditional Karate-do Federationに名称を変更している。もともと、ポーランド連盟は国や日本の政府、企業とも関係を築き、伝統空手をビジネスとして成功させており、ナショナルチームの合宿も毎月のように行われるなど、試合で勝つための空手を推進してきた。それだけに競技人口も多く、選手に市から援助金が与えられるなど、米国はおろか、日本の空手家とも比較にならないようなステータスを得ることができているという。結果、経済の論理で成功した分、西山氏が伝えようとした技や心は薄れているという見方もされている。

上記のようなポーランドの状況を踏まえると、スタシャクを西山空手の伝承者と呼ぶことには無理があるかもしれないが、彼が競技&ポイント空手で抜群の強さを見せてきたことは変わりない。ただし、MMAの打撃は足を揃ってパンチを振り回す傾向も見られ、8勝のうちKO勝ちは1試合で、対して5試合で一本勝ちしているように柔術を主武器に戦っているともいえる。

いってみれば、グンナー・ネルソンのフェザー級&ポーランド版という見方も成り立つスタシャクだが、ヤオツィン・メザを相手にどのような立ち振る舞いをオクタゴンのなかで魅せることができるのか。俄かに楽しみなオクタゴン・デビュー戦となる。

■ UFN64対戦カード

<ヘビー級/5分5R>
ガブリエル・ナパォン(ブラジル/14位)
ミルコ・クロコップ(クロアチア)

<ライトヘビー級/5分3R>
ジミ・マヌワ(英国/9位)
ヤン・ブラホヴィッチ(ポーランド)

<ウェルター級/5分3R>
パヴェウ・パブラック(ポーランド)
シェルドン・ウェストコット(カナダ)

<女子ストロー級/5分3R>
ジョアン・カルダーウッド(英国/6位)
マリナ・モロズ(ウクライナ)

<ウェルター級/5分3R>
セス・バジンスキー(米国)
レオン・エドワーズ(英国)

<ミドル級/5分3R>
バルトス・ファビンスキ(ポーランド)
ギャリス・マクレラン(南アフリカ)

<ウェルター級/5分3R>
セルジオ・モラエス(ブラジル)
ミカエル・リブー(フランス)

<フェザー級/5分3R>
ダミアン・スタシャク(ポーランド)
ヤオツィン・メザ(米国)

<ヘビー級/5分3R>
ダニエル・オミランチョク(ポーランド)
アンソニー・ハミルトン(米国)

<女子ストロー級/5分3R>
イザベラ・バドレク(ポーランド)
アレクサンドラ・アルブー(ロシア)

<ライト級/5分3R>
マーチン・バンデル(ポーランド)
スティーヴィー・レイ(英国)

<フェザー級/5分3R>
テラー・ラピルー(フランス)
ロッキー・リー(台湾)

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