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【WEC36】フィリョ×ソネン、パート2は最後まで噛み合わず

(C) ZUFFA■第9試合 ミドル級/5分3R
チェール・ソネン(米国)
Def.3R終了/判定
パウロ・フィリョ(ブラジル)

(C) ZUFFA

「タイトル防衛をしたかったけど、減量が上手くいかなかった。彼に2度目のタイトル挑戦の機会を与えたんだけどね。残念だ」(フィリョ)

「言いわけなんか、聞きたくもない。僕は同じような経緯を経て、減量してきた。それを彼はしなかった」(ソネン)


減量を失敗した要因が、精神的なものなのか。負傷し、体を動かすことが不可能だったのか(それなれば、オクタゴンに上がるべきではないが――)。観客の大ブーイングに迎えられたフィリョ、どのような心理状態でオクタゴンに立っているのか。対するソネンは無表情で試合開始を迎えた。

距離の取り合いから、片足タックルを仕掛けたフィリョ、ソネンはこの試みを遮断しながら、パウンドを落とす。両足タックルに切り替えたフィリョは、テイクダウンを諦め、立ち上がって振りの大きな右フックを放ったが、大きくバランスを崩して前のめりに倒れ込んでしまう。ガードを取ったフィリョ、ソネンはグラウンドへはいかず、立ったままでローキックやパウンドを見舞っていく。

両ヒザをキャンバスにつき、トップからパウンドを落とすソネンに対し、フィリョは潜りスイープを狙う。再び距離をとって立ち上がったソネン、観客からはブーイングが絶え間なく発せられる。踏み込んでパウンドを放ったソネン、その腕をキャッチし十字、オモプラッタを仕掛けたフィリョだが、ソネンは腕を引き抜いて立ち上がる。

足に絡みつき、ヒールを仕掛けたフィリョ。徹底的にスタンドの攻防を避けたいようだ。足を払ってローを放つソネン、彼もまた徹底して寝技を避けている。かみ合わない攻防、ファンはいつしかフィリョだけでなく両者にブーイングを浴びせるようになった。

2R、スタンドの攻防でパンチを受けるフィリョ。しかし、ソネンも一気に距離を詰めることはない。ステップバックとステップインを繰り返し、ジャブを放って行く。フィリョの片足タックルを切ったソネンは、反対にテイクダウンを奪うが、ここで自ら立ち上がり、フィリョに対しても「立ってこい」とアピールする。

スタンドに戻ったフィリョは、すぐにテイクダウン狙いから引き込むが、レフェリーが間に割って入り、スタンドへ戻るように要請する。右ハイを見せたフィリョ、ローキックでバランスを崩されると、組みついてジャンピングガード。スラムで叩きつけ、またもスタンドを要望するソネンに観客は大歓声をおくる。

左ボディ、右ジャブで距離を作るソネン。前に出られないフィリョは、タックルの機会をうかがい続ける。大きな振りの左フックから、片足タックを仕掛けるが、これを潰されたフィリョ。スタンドへ戻るしかないが、踏みこんで打撃を放つことができない。2Rも、ブーイングとともに終了した。

レスリングと打撃、フィジカルで劣るフィリョ、寝技で戦いたいという意思は理解できるが、このままの展開ではサバイブはできても、勝利は難しい。

最終ラウンド、ソネンの狙いは変わりない。左へ回りたいフィリョに対し、ソネンは彼の動く方、動く方と先回りする。動きが落ちたフィリョに対し、やや距離をつめたソネン。テイクダウン狙いから引き込んだフィリョの誘いにのるわけもない。

フィリョのテイクダウン狙いに、ヒザを合わせることもできそうなソネンも、防御+キープディスタンスに徹し、時間だけが過ぎていく。そして、そのままの両者が向かい合ったままで、大きなアクションもないまま残りの3分間を費やし試合終了。試合前から物言いのついた一戦――は、当然のようにソネンの判定勝利に。

減量の失敗は問題外。と同時にもソネンもノンタイトル戦でリスクをおかす必要はないかもしれないが、会場から沸き起こる「ボーリング(退屈だ)」という声とブーイングを聞く限り、例えWECタイトル戦線に決着戦=3度目の対戦が必要であっても、ファンの望む魅力を持ち合わせていないことだけは確かな、両者の遺恨といえるだろう。

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