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【UFC90】アンデウソン、戸惑いの勝利


【写真】アウベスが、コスチェックを下し次期挑戦者へ (C)Zuffa

10月25日(土・現地時間)、米国イリノイ州シカゴのオールステート・アリーナでは、『UFC90 SILVA vs COTE』が開催された。主要試合レポートは以下の通りとなる。


■第5試合ミドル級/5分3R
ターレス・レイチ(ブラジル)
Def.1R1分18秒/リアネイキドチョーク
ドリュー・マックフィールズ(米国)

左フックから右を振りぬいたマックフィールズ。右を受けたレイチは、ふらつきながらもテイクダウンに成功、直後にバックマウントを奪う。

右足でマックフィールズの右足をフックしたレイチ。まるで道衣ありの柔術マッチのように、完璧な組み立てを見せる。必死に左手をとるしかディフェンスの手段がないマックフィールズだったが、これでは時間稼ぎにもならないことは彼にも分かっていただろう。

直後にレイチはガラ空きののどに簡単に右腕を差しこみ、リアネイキドチョークでタップを奪った。


■第6試合ライト級/5分3R
ショーン・シャーク(米国)
Def.3R終了/判定
タイソン・グリフィン(ブラジル)

互いに距離を見極めるように、慎重な立ち上がりから、グリフィンが細かいフックを放っていく。ここでテイクダウンを奪ったシャークは、そのままバックマウントへ。立ち上がって、自らのコーナーに移動したグリフィンは、足を払いあげてシャークを前方へ落とした。

すぐに立ち上がり再び打撃の展開になると、首相撲から右足を引きよせたシャークがテイクダウンを奪う。右手をついて、ケージに背中を這わせて立ち上がるグリフィン。左フックを放ったシャークに、グリフィンが右フック、そしてローキックをヒットさせると、踏み込んでローキックを放ったグリフィンに対し、シャークの右がヒット。コンパクトな打ち合いが続く。

ステップイン、ステップアウトを続けるグリフィンはハイキック、そしてテイクダウンを狙う。がぶってバックに回ったシャークは、再びバックマウントへ。またも立ち上がったグリフィンだったが、シャークは自ら足をつき、打撃の展開へ。

ラウンド終盤、左フックをヒットさせたグリフィン、シャークも負けじと左アッパー&フックをヒットさせる。

2R、左ミドルを放ったシャーク、グリフィンのステップインを防ぎ、そのまま片足タックル。立ち上がろうとしたグリフィンにパンチを見舞っていく。テイクダウンを狙ったグリフィンにヒザを合わせようとしたシャークは、その後も小気味よい左、右フックを放っていく。

左フック、左アッパーなどコンビネーションを見せたシャーク、グリフィンは低い姿勢から左ボディを放つ。しかし、このラウンド中盤でグリフィンは口を開き、肩で息をするように。テイクダウン狙いから、パンチに切り替えたシャークだが、ここでグリフィンが左を打ち抜く。バランスを崩す場面が増えてきたグリフィンに、シャークはコンパクトなパンチを打ち続けた。

3R、勝負をかけて前進したグリフィンの右がヒット。動きが一瞬止まったシャークだが、すぐに立ち直り左フックからアッパーを打ち込んでいく。シャークの左に、右アッパーを合わせるグリフィン。両者、リーチが短いこともあり、インサイドでの攻防が3Rに渡って続く。

テイクダウン・ディフェンスに絶対の自信があるのか、ガードをしっかり上げて戦うシャーク。グリフィンは後ろ重心で、踏み込んでパンチを放った直後も、スウェイでシャークのパンチをかわすという優れたフィジカルを見せる。

さすがに運動量が落ちたラウンド後半――。しかし、残り1分となり再び距離を詰めてのパンチ、ローキックが交錯する。最後まで距離を支配していたのは、シャーク。コンパクトなパンチの分、やや遠い距離でも拳がヒットしたシャークに、対するグリフィンのパンチは軌道がやや外回り。ヒットしたときのインパクトはグリフィンだが、精度ではシャークという打ち合いだった。

判定は30-27、29-28、29-28でシャーク。勝者は「(タイソン・グリフィンは)10歳も若いからね、凄く練習をしたよ。家族、チームメイトがずっと助けてくれた。また、タイトルに挑戦したい。僕の方がパンチを当てた数が少し多くて、テイクダウンも何度かとれた。判定は僕がつく自信はあったよ」と試合の印象を語り、悪夢のBJ・ペンから復活を果たした。


■第7試合ヘビー級/5分3R
ジュニオール・ドス・サントス(ブラジル)
Def.1R1分20秒/KO
ファブリシオ・ヴェウドゥム(ブラジル)

ブラジル人同士のヘビー級戦。互いにジャブで牽制するなか、サントスの右アッパーがベルドゥムの顔面を完全に打ち抜く。ベルドゥムがパーリングから右のオーバークロスを打ち下ろそうとし、視線も顔も下を向いたところに、ヒットしたアッパー。前のめりに崩れ落ちたベルドゥムに、追い打ちのパウンドを放ったところでレフェリーが試合を止める。

わずか80秒のKO劇。「この試合のために、世界のベストファイターであるミノタウロ・ノゲイラと練習してきた」と笑顔で語り、ボクシング・コーチのルイス・ドーリャに感謝の言葉を残してオクタゴンを後にしたサントス。世界ヘビー級王者アントニオ・ホドリゴ・ノゲイラに心強い太刀持ちが現われた。


■第8試合ライト級/5分3R
グレイ・メイナード(米国)
Def.3R終了/判定
リッチ・クレメンティ(米国)

慎重な立ち上がりとなった両者、サウスポーのクレメンティに、オーソドックスの構えのメイナード。左手前の構えで、メイナードが組みつきにいくが、クレメンティがカットに成功。距離を詰められない両者に場内からはブーイングが飛ぶが、残り時間90秒となったところでメイナードがテイクダンに成功した。

クレメンティのギロチン狙いを潰したメイナードは、パウンド+アッパーを落としていく。左脇を差してハーフガードを取るクレメンティ、リバーサルを狙っていたがパウンドを集中され、クローズドガードに切り替える。終了間際、重い左パウンドを落としたメイナードのラウンドとなった。

2R、飛びこんで右から左フックをヒットさせたメイナード、クレメンティは右ローから、右ハイを狙う。豪快なリフトアップからテイクダウンに成功したメイナードだったが、クレメンティはリバーサルから立ち上がる。

ここでメイナードはギロチンへ。首を引き抜いたクレメンティは、テイクダウンに合わせて引き込むと三角絞め、腕十字へ。バタフライガードを取るクレメンティは、もぐりスイープを狙う。さらにバックを狙ったクレメンティ、メイナードは察知しがぶりへ。ハーフを取られながらも、ギロチンでクレメンティを動かしたメイナードがバックを奪う。

最終ラウンド、踏みこんで右フックを放ったクレメンティを抱えあげ、スラムで叩きつけ、テイクダウンに成功したメイナード。ハーフからキムラ・アームロックを狙ったクレメンティだが、メイナードは腰をコントロールし、トップをキープ。両足担ぎから、メイナードはパスを狙い、立ち上がって逃げようとしたクレメンティからバックを奪う。

そのままテイクダウンに成功したメイナードは、クレメンティのスイープにもすぐに胸を合わせて、トップキープ。巧みなガードワークを駆使し続けたクレメンティだったが、メイナードのトップキープに屈する形で3Rが終了、メイナードが判定勝ちを収めた。


■第9試合ウェルター級/5分3R
チアゴ・アウベス(ブラジル)
Def.3R終了/判定
ジョシュ・コスチェック(米国)

ステップイン、ステップアウト、アウベスの距離に入らないように戦うコスチェック。素早い左ジャブを繰り出すコスチェックだが、そこにアウベスの左フックがヒット。前方にダウンしたコスチェックに追撃のパンチを放つアウベスだが、コスチェックは片足タックルで危機を脱しようとする。

足を抜き、向き直してさらにハイやパンチを見舞うアウベスだったが、ここでもコスチェックは得意のタックルを仕掛ける。一度、距離をとったアウベス、コスチェックは左から伸びのある右ストレートをヒットさせる。

危機を脱したコスチェックは、ヒザ蹴りをボディに受けながらも、両足タックルを執拗に狙い続ける。頭を切り続けたアウベスは、手数を控えたまま1R終了を迎えた。

2R、素早いパンチの応酬を見せる両者、コスチェックの打撃が想像以上に成長の跡をみせる。右ストレートから、スイッチして左ハイをみせたコスチェック、アウベスは左ローを返していく。右をヒットさせたコスチェックは、ジャンピングニーから組ついてテイクダウンを狙う。対して、首相撲からヒザを見舞ったアウベスは、距離をとって左、右と蹴りを放って行く。

左ミドルを交換する二人、アウベスが左ハイからアッパー、ローからミドルと上下に打撃を散らす。目先を変え、片足タックルを仕掛けたコスチェックだが、アウベスが巧みなディフェンスを見せ、そのまま2Rが終了した。

ポイントで不利と判断したコスチェック陣営は、KO狙いを指示する。左ローから左フックを放つアウベス。右ローでバランスを崩したコスチェックの顔面にヒザを蹴りあげる。ダメージが残るコスチェックにパンチを放つが、ここでもコスチェックは低い態勢でテイクダウンを狙い、試合の流れを遮断しようと懸命に動き続ける。

残り時間3分、オクタゴン中央で対峙した両者、コスチェックがプレッシャーをかけて前に出る。サークリングを駆使し、カウンター狙いのアウベスはしっかりとコスチェックの攻撃を見極める。が、ここでコスチェックの指がアウベスの左目に入るアクシデント。

残り90秒から試合が再開となるが、逆転KOが必要なコスチェックが前に出られない。強烈な右ローで再びコスチェックのバランスを崩したアウベスは、右ストレートを伸ばす。残り10秒、コスチェックがジャンビングニーを放つが、距離感が合わない。直後に右ストレートを飛びこんで打ち込んだアウベス。試合終了のホーンが聞こえないほどの集中力で、コスチェックを攻め続けようとし、レフェリーに止めに入られ試合を終えた。

「俺のタイトルショットが見たい? ダナ・ホワイト、俺って良い子だろう? 挑戦権を与えてくれ」とアピールしたアウベス。最後にATT首脳との行き違いでチームを離れ、セコンドにつくことができなくなったコンディショニング・コーチにアンドレ・ベイケイに最大級の感謝の言葉を述べ、オクタゴンを下りた。

この試合に勝てば挑戦権を得ることができる――、そんな精神的作用から絶対的にKOするという気持ちを抑えたかのアウベスのファイトだったが、タイトル挑戦権が彼にあることは間違いない。


■第10試合UFC世界ミドル級選手権試合/5分5R
[王者]アンデウソン・シウバ(ブラジル)
Def.TKO
[挑戦者]パトリック・コーテ(カナダ)

落ち着き払っている様子の王者、小さい構えから右ローを放っていく挑戦者。再び右ローを放つコーテは、得意の右フックを放つ機会を窺っている。左へ左へと足を使い、待ちの態勢のアンデウソン。全く攻撃する気配がない王者は、1分50秒が経過し初めてローを繰り出した。

右ストレートを放ったコーテの首相撲に捉えようとした王者に、コーテは必死に後方へ距離をとる。アンデウソンは構えをスイッチし、突如前進。挑戦者は相当なプレッシャーを感じているようだ。

右のフックを放つコーテに、ヒザをヒットさせるアンデウソン。しかし、コーテはひるむことなくフックを返していくと、左ローをサウスポーの構えの王者に放ち、コーテもスイッチし、アンデウソンが前に出てくるのを持つ。

そのまま1Rが終了、互いに一礼し両者は離れた。

2R、左右に動き、アンデウソンの先回りをしようとしたコーテだったが、ここで王者の左ストレートがヒット。さらに前に出てきたところにバックブローを見舞ったコーテだったが、アンデウソンが組みついてケージに押し込む。

距離を取り、大きな構えから左ハイを放った王者。コーテがテイクダウンを狙うと、これをいなしてトップを奪う。左パウンド、右ボディを落とすアンデウソンは、自ら立ち上がりステップバックしブレイクを待つ。スタンドでオーソドックスになったアンデウソンは、厭味なほどに余裕を感じさせるファイトを展開する。

再びサウスポーに戻ったアンデウソン、カンフーのように忙しく拳を上下させるが、足は前に出ていないためブーイングが飛ぶ。ラウンド終了間際、テイクダウン狙いで片足タックルをコーテが仕掛け、ケージに押し込んだところに、アンデウソンのヒザがボディへ2発ヒットしラウンドが終了した。

UFCに登場し、初めて3Rを迎えたアンデウソン。コーテは指を三本立てて、アピール。しかし、試合が始まると。小刻みなステップから前進したところで、コーテが右ヒザを抱えしゃがみこんでしまう。ステップを踏んだときに、どうやら右ヒザを脱臼してしまった模様。

突然の試合終了にアンデウソン・シウバは「申し訳ない、必死で準備したけど、こういうことがあるのがファイト。だから、ブーイングを送らないでほしい。また、良い試合をすることを約束する。パトリックは素晴らしいファイターだった。もちろん、彼と打ち合いたかったし、彼もそうしたかったはずだ」とインタビューに答え、最後まで「ソーリー」という言葉を残してオクタゴンを下りた。

また、「ヒザが脱臼してしまった。本当にすまないと思っている。もっと強くなって戻ってくる」というコーテ、エキサイティングな試合が多かったUFC90だったが、メインイベントは非常に残念なフィニッシュとなってしまった。

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