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お蔵入り厳禁【ONE108】北岡悟と共に振り返る、✖キム・ジェウン─02─「攻めて当てることが…」(松嶋)

Koyomi【写真】フィニッシュにつながった右クロス──はどのように生まれたのか (C)MMAPLANET

2月7日(金・現地時間)にインドネシアはジャカルタのイストラ・セナヤンで行われたONE108「Warrior’s Code」で韓国の猛者キム・ジェウンからTKO勝ちを収めた松嶋こよみ&北岡悟対談Part.02。

Matsushima打撃、ボクシングの圧力の強さとテイクダウン防御能力を持つキム・ジェウンから、松嶋は2度ダウンを奪った。どちらも当てたのは右ストレートだ。

この攻撃が成ったトレーニング、そして試合の組み立て方とは?

お蔵入り厳禁──戦った本人・松嶋と、指導し指示を送っていた北岡に引き続き、話を訊いた。

<松嶋こよみ✖北岡悟・対談Part.01はコチラから>


──最初のテイクダウンは相当に思い切りが良かったです。

Koyomi vs Kim 01北岡 払い腰ですよね。アレはラッキーに近かったはずです。

松嶋 ハイ、崩しにいったら一気に投げることができて。全く意識になかった攻撃です。

──上を取った状態で北岡選手から、「力使うところじゃない」という指示がありました。

北岡 あれで勝てるなって思いました。上を取れることが分かったので。最悪、トップゲームができるというのがアレで分かった。あそこで切られていれば、もっと嫌な空気になっていたはずです。

松嶋 完全に拒否されなかったです、組みに対して。多分、ヌネスと戦った時はしっかりと拒否していたけど、今回はテイクダウンにヒザを合わせることを凄く意識していたと思います。そのおかげで意外と組んでも平気だったかもしれないです。

北岡 クォン・ウォンイル戦があったからですよ。

松嶋 ウォンイルにヒザを効かされたというのは関係していたと思います。僕が下にフェイントをかけると右ヒザを上げていたので、そこは完全に作戦だったのは試合中にも分かりました。

一度、胸に当たったことはありましたけど、分かっていたのでそこまで怖くなかったです。それでも試合後に映像を見ると危ない感じでしたけど。

──立ち位置を北岡選手が指示を出していました。

北岡 相手は手も長いし、パンチのスピードも速い。ボクシング的な手の打ち合いのところにいて欲しくなかったです。出入りして疲れることもありますけど、それはやらせないといけないことで。

インターバル中にも「しんどいけど、これを続ければ勝てるから」と言っていました。

松嶋 しっかりと聞けていました。戦っている時も、インターバル中も。

──2R、そして3Rにも右ストレートを当ててダウンを奪いました。あの右ストレートはテイクダウンもあるから当たったパンチなのでしょうか。

「そうですね……ガフロフの時のカウンターとは違い、自分から攻めていって当てることができた右ストレートだと思うので」

──誘っておいて殴る。そこで見られる重心移動など、大宮司岳トレーナーが動画などでアップしていますが、あのようなトレーニングの成果でもあった?

松嶋 もちろんです。凄く為になっていると思います。まぁ何が役に立っているのかは明確には分からないですけど……。

北岡 アハハハハ。そこはもうタケさんの一番の申し子でもあるので。

松嶋 本当にコレがあったからと明確なことではないのですが、テイクダウンまでの流れを意識して練習していて。テイクダウンに入るまでのコンビネーションに使っていたパンチでダウンを奪えた形です。

──色々なことをやる必要があるMMAで、そうするからバラバラになることもあるし、一つにつながることがあるのですね。

松嶋 この試合に関しては、今できることがハマってきたかな……という試合でした。ただし、やりたいムーブができた試合ではあったのですが、そこでも自分のダメなところもたくさんありました。

北岡 なぜ、そこで横を向くんだっていう場面もありましたしね。

松嶋 詰められずに切ることを意識したんですが、ロープに近いところでソレをやってどうするんだって(苦笑)。

北岡 コーナーに追い詰められて、今はそこから出ることに専念しろって言っているのに、打撃を返す。手の距離だろうって。

松嶋 詰め切られていたのに……あんな風に動いたのは、まだ完成していないということです。そうですね……四角形のなかで戦う難しさはまだ感じています。でも、もうそこで勝っていかないといけないので。

Koyomi vs Kim 02──撮影していて、私などはいつまでもロープ掴みが気になっていたのですが、松嶋選手は本当に気にならないで戦っていましたね。

松嶋 今回の試合は気にならなかったです。持たれるものだと思って戦っていたので。

──セコンドとしては熱くなってしまうのか、同じように冷静でいられるのかどちらでしたか。

北岡 まぁ……マーチン・ウェンの方がもっとムカつきました。アレを経験しているから……キム・ジェウンの方が利用具合……ダーティーさがウェンとは違いましたね。

──フェザー級チャンピオンはそこまでだったと。

北岡 アレを見て、皆がどう思ったんだろうって……まぁ、いいや。これ以上は言わないです。どっちしても勝ったヤツが正しいから。汚かったけど、勝ったウェンが強くて正しいことも分かっています……ハイ。

──ところで岳さんとのファンクショナルに関しては、北岡選手も松嶋選手と同じように指導を受けています。その一方で岩﨑達也さんとの武術空手の稽古に関しては、ヘッドコーチとしてどのように捉えているのでしょうか。

北岡 僕は大丈夫ですよ。それに僕の言うことを全て聞かなくて良いというスタンスは、どこで誰の指導を受けようが同じことで。それは僕の言うこともそうだし、岩﨑さんもそう。タケさんそうです。だから、彼は自分で判断できるし。

松嶋 僕は岩﨑先生とはずっと同じ付き合い方です。AACC時代も皆が同じ構えをしていても、必要だと思ったことを取り入れてきたので。そこは今も昔も変わらないし、先生と考え方が違う時は自分の意見を伝えさせてもらっています。

北岡 指導者は言うことを聞いてほしくて、指導しているんじゃない。僕も岩﨑さんも、タケさんも。勝ってくれれば、それで良いんです。逆に選手は、何かにすがるようなことがある方がダメです。

<この項、続く

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