【Bellator Japan】クルックシャンク戦へ、寝技ドラゴン=ゴイチ・ヤマウチ─01─「日本人を代表して戦う」
【写真】24勝のうち腕十字で5勝、RNCで11勝を挙げているゴイチ・ヤマウチ (C)MMAPLANET
29日(日)、さいたま市中央区・さいたまスーパーアリーナで開催されるBellator Japan 。30日のRIZIN.20と合わせRIZIN✖Bellator対抗戦5試合がマッチアップされている。
29日はケージ&ユニファイドで3試合、31日はリング&RIZINルールで2試合が組まれている対抗戦で、帰国を果たす選手がベラトール側に存在する。それがゴイチ・ヤマウチだ。1993年に愛知県安城市で日系ブラジリアンとして生を受けたゴイチは3歳でブラジルに移り、叔父に格闘技の手ほどきを受け──また日本に残ったファミリーから日本の格闘技イベントのビデオを送ってもらい、目を肥やして成長した。
5歳から柔道の試合に出て、9歳で柔術を始めたゴイチは15歳でアマ、17歳でプロMMAで戦うようになる。そしてキャリア14勝1敗でベラトールと契約し、2013年9月にサークルケージ・デビューを果たして以来、ライト級とフェザー級でトップ戦線で戦ってきた。
待望の来日、いや帰国を果たしRIZIN代表のダロン・クルックシャンクと戦うゴイチに初めて日本で戦う心境等を尋ねた。
──12月29日、日本でのクルックシャンククルックシャンク戦まで3週間を切りました。
「まず日本で戦うという僕……いや僕のチームの夢が叶う。凄くシリアスに受け止めているけど、それ以上にエキサイトしているよ。僕のファミリーの半数は今も日本に住んでいるしね」
──ゴイチは愛知県の安城市生まれでしたね。
「そうだよ。3歳でブラジルに来てから、日本語のなかで生活していたし、日本にいた時の写真もたくさん残っている。住んでいた家、近くにあったマクドナルド(笑)。日本の思い出をずっと家族と共有してきたんだ。それに、僕は今でもカタナカは読めるんだよ(笑)」
──そうなのですね!!
「23年振りに日本に帰る。僕の母は7人兄弟で、彼女を含めて3人がブラジルに戻り、叔父4人の家族は日本に残ったんだ。そんな日本に住んでいるファミリーメンバーも僕の試合を楽しみにしてくれている。僕は武道精神を持ち日本を代表して、さいたまスーパーアリーナでダロン・クルックシャンクと戦うよ。
子供の頃のヒーローだった魔裟斗が戦っていた年末のイベントだし、僕が戦うのは29日で大晦日じゃないけど、本当に楽しみにしている。それにMMA史上最高のファイターであるエメリヤーエンコ・ヒョードルと同じ日にさいたまで戦えるなんて、本当にスペシャルな機会だからね。日本の皆が喜んでくれる試合をしたいと思っているよ」
──Bellator✖RIZINの対抗戦ですが、ゴイチはどちらかといえば気持ちは日本チームという風ですね。
「だって僕はブラジルで育った日本人だから。父親のことは知らないけど、母も父親も日系人だし日本人の僕が米国人と戦う試合だよ」
──その一方でクルックシャンクではなくて、日本人ライト級選手との試合も見たかったという想いもあります。
「それはこれから実現していくだろう。スコット・コーカーとも話して、この試合をきっかけに日本で戦う機会を増やしたいと伝えてあるんだ。僕の目標はベラトールだけでなく、RIZINのライト級チャンピオンになることだから」
──おお!! では、クルックシャンクの印象を教えてください。
「大口を戦うバカ野郎だね。大した試合もやっていない。今の彼がどこまでやれるのか……確かにクルックシャンクはUFCでも多くの試合をこなしてきた。でも、もう時代は変わっているよ。もう僕らのレベルは彼が戦っていた時代とは違うからね」
──クルックシャンクはUFCで戦っていた時は、もっとレスリングを使っていたように記憶しています。リングになったからか今ではより打撃が多くなったような。
「リングとかケージは関係ないよ。それで試合内容はさほど変わらない。だから、今回の試合もクルックシャンクがレスリングを使うことはあまりないだろう。今の彼はどう見てもちゃんと練習しているようには思えない(笑)」
──そういう風に見ているのですね。
「そうだよ。アハハハハ。クルックシャンクはもう年を取って、しんどい試合がしたくないんだ。十分な練習もしていない。そんな彼に伝えておくべきことは、まず僕は人生で最高に調子が良い、過去最高のコンディションだということ。第2にそれは『お前を倒すためだ』ってことだよ」
──いやぁ、ゴイチがそんなにバチバチな意見をいう選手だとは思っていなかったです。ところでレスリングをするだけの練習をしていないとクルックシャンクを評したゴイチですが、今やMMAでは珍しいほど下になることを厭わないスタイルですね。そしてガードからの腕十字という、今や多くの選手が防御できる技術で一本を取ることできる。何か秘訣でもあるのでしょうか。
「何もシークレットはないよ(笑)。きっと秘密とかでなくて、ガードからの腕十字という動きは僕の体と脳みそにフィットしているんだと思う。
何も特別じゃない。何より普段から練習していることを試合でも見せているだけだしね。腕十字、三角絞め、RNC──ずっと子供の頃から練習してきたことで、特別なモノじゃないんだ」
<この項、続く>