【Shooto 30th Anniv.T08】倉本一真戦へ、根津優太「楽しむためにキックをやってきたんじゃない」
【写真】口数は多い。いつも明るい。ただし、大切なことは心の内にしまい込む。江戸っ子、根津優太(C)MMAPLANET
24日(日)、東京都文京区の後楽園ホールでShooto 30th Anniv.T08で根津優太が倉本一真と対戦する。
3年連続全日本グレコ優勝、2013年の世界選手権に出場したエリートレスラーの倉本は、修斗でMMAデビュー以来2年間で6連勝という結果を残している。
対してRoad FCから修斗に戻ってきて以来、魚井フルスイング、平川智也、祖根寿麻を破り3連勝中の根津。「未知の世界」と倉本のレスリングを評する根津は、口にこそすることはないが、今回の一戦は心に期するモノがある試合のように感じられた。
──倉本選手との試合が迫ってきた根津選手です。5月の祖根戦では下を効かせて、上で仕留めるという理想的な展開で勝つことができました。
「う~ん、もう半年も前なのであんまり試合のことは覚えていないですが、まぁ勝つべきして勝った。ハハハハハ。そういう試合だったと思います」
──そこから半年、今回の試合まで少し間が開きました。
「まぁ38歳だし、今は年に2試合というペースは良いと思います。仕事もありますし……。逆に夏場は忙しかったので試合に向けた練習もできないので、オファーがあっても受けられなかった可能性も高いです」
──仕事が忙しいことは良いことです。
「ハイ、僕の場合は逆に忙しくない方が、格闘技にも影響がでるかもしれないですし。この状況で試合ができていることに感謝しないといけないと思っています。格闘技だけじゃなくて、仕事をしている身でも少しでも時間があれば好きなことは追及できる。それを『仕事があるから』とやらない若いモンに伝えたいです」
──元同門、岡見勇信選手と同い年。岡見選手が外見も、中身の落ち着いてきたのに対し、根津選手は変わらないですねぇ。
「いやぁ、岡見は立派ですよ。同い年のアイツが、世界の舞台で戦っている。だから、俺だって頑張れるっていつも勇気をもらっています。
僕自身も『年も年だし』とか周りから言われるんですけど、パフォーマンスが落ちたり、体力が落ちてきたらキッパリ辞めています。残念ながら、進化しちゃっているんですよ。アハハハ。ホント、若くしてガツガツしていた時よりも、今の方が強いですからね」
──そんななか次に戦う倉本選手は6連勝で、勝ちっぷりも凄まじいです。
「倉本選手は同じモブスタイルのサポートを受けている選手で、まだレスリングをやっていた頃からモブスタイルを通して顔見知りだったんです。それから2年ぐらいして、MMAを始めるって聞いて『マジか!! とんでもない化け物がきたな』って思いつつも、その頃はまだRoad FCで戦っていたので他人事でした。修斗に戻ることも戦う日が来るとかも思っていなかったです。
ただ、修斗に戻って同じ階級でやっていくうえで、いつか当たることはあるかもしれないとは考えるようになっていました。オファーがきたら、当然のように戦う。それだけですね。向こうも受けているんだから、やる気なんだろうし」
──さすがグレコの日本代表、根津選手が思ったように化け物じみた試合を続けています。
「大したものです。試合であんな風にぶん投げることができるなんて」
──平川選手には秒殺のKO勝ちでした。
「あぁ、あの試合は相性の問題でしょうね。だから僕との相性がどうなのか」
──これはレスリングじゃない、MMAなんだよという気持ちはないですか。
「MMAはレスリングじゃない。でもレスリングになるかもしれないのがMMAです。それが修斗です。レスリングだけになるかもしれないし、ムエタイだけになるかもしれない。今回ばかりは当日、やってみないと分からないです。未知の世界ですから。
組んでみて、どんなものなのか。自分が思った以上なのか、それ以下なのか。僕が殴られることがあるかもしれないし、逆に僕が彼からテイクダウンを奪うこともあるかもしれないし。アハハハ。まぁ、色々と対策は練っています」
──テイクダウン軽視でなく、テイクダウンの強い選手との試合で打撃を当てられる選手こそ、真の意味でストライカーだと自分は思っています。
「高島さん、俺はストラッグルで鈴木秀明会長にキックボクシングを習って12年になるんです。10年通って、ようやく会長に『セコンドに就いてください』って言えるようになったんですよ。楽しむためにキックボクシングをやってきたんじゃない。そこは……」
──言葉にしたくない想いがある……ということですね。しかし秀明会長のMMAの造詣は深まるばかりですね。
「会長と四つをやると、勝てないんですよ。首相撲が混ざっていて本当に強い。僕も首相撲には見えないからもしれないけど、その要素は使っているんです。それはまた、試合後に説明させてもらいますよ(笑)」
──現状、修斗バンタム級は世界チャンピオンの佐藤将光選手がONEで活躍しており、環太平洋王者の岡田遼選手を中心に、激しい生き残り合戦が展開されています。
「なんかワイワイやっていますね(笑)。でも新しいのがまた来たなって感じで、気にしていないです。来たオファーを普通に受けるだけ。戦っている以上は、僕もベルトは目指しています。だからこそ、与えられた試合をしっかりと勝っていくことが重要で。チャンピオンを目指すというのは、まだまだ先の話です」
──38歳の選手で、まだまだ先の話をされる選手はそうはいないです。
「だって、何を目指すとか……残り少ないとか、誰にでも言えることじゃないですか。そういうことは口にしないです。SNSで言い合いとか皆が同じことやって、ダサくてしょうがないですよ」
──あぁ、同じ学校とか職場で彼女は創らないというのと同じですね。
「いやぁ、それは同じなんですかね? アハハハ」
──失礼しました(笑)。では、最後に日曜日の試合に向けての意気込みをお願いします。
「同い年で格闘技をやっている、やっていないじゃなくて何を諦めかけている人に『年齢じゃないんだよ』ということを示したいです。それと……この試合は会場で見てください。それだけですっ!!」