【ONE104】ブルーノ・プッチと対戦、上久保周哉─02─「柔術の試合に出ていてもMMAに活かせる」
【写真】19日に公開練習でプッチとフェイスオフを行っている上久保。身長差が……(C)ONE
22日(金・現地時間)、シンガポールはカランのシンガポール・インドアスタジアムで開催されるONE104「Edge of Greatness」でブルーノ・プッチと対戦する上久保周哉インタビュー後編。
2009年ノーギワールド紫帯フェザー級、2010年はライト級で優勝しているブルーノ・プッチとのオファーが届く以前に、上久保は柔術とグラップリング、そしてパンチ✖グラウンドコントロールというルールで実戦経験を積んでいた。
ONEというアジア最高峰の舞台に立ちながら、出場料を払って実戦経験を積み続ける真意を上久保に尋ねた。
<上久保周哉インタビューPart.01はコチラから>
──8月に対戦予定だったサーデュラエフと比較して、プッチのMMAファイターとしての完成度の高さをどのように思っていますか。
「レーダーグラフでいうならサーデュラエフの方が、円が大きくなると思います。プッチは寝技が飛び出している感じで、攻撃力は彼の方があるかと」
──そのような相手に上久保選手がやるべきことは?
「組みを逃げてはいけない。自分からいかないといけない試合です。これまでの僕の相手のように組みを避けて打撃という試合をしていては勝てない相手です」
──自身より組み技で強いと思われる相手と戦うのは初めてになりますか。
「TTFCで戦った土肥選手は、僕より寝技が上で負けました。完全に組み負けた試合でした。それ以来、組みの強い選手と戦うのは初めてになります」
──TTMやロータスの練習で、上久保選手がMMAグラップリング最強だという声も聞かれます。
「全然です。あのシチュエーション練習だから上手くいくことがあるだけで。僕が最強なんて……まだまだ直さないといけないところだらけですし、それこそ青木選手と組んだら全く通用しないです」──その青木選手が以前、守って練習にならない柔術を使うと指摘していたことがありましたが、このところの練習を見ているとそんなことはなくなったように見えました。
「攻めに行くので、攻められたり投げ飛ばされることも増えました(苦笑)。少しずつ避けないというやりとりができるようにしていこうとは思っています。受けすぎてやられることも多いですけど(笑)。引き出しを増やしていこうとは思っています。得意な形だけ練習して、取られない……そういう練習番長にはなりたくないので。
練習のなかで負けず嫌いを出さない。練習ではやられても良いから色々なことを試そうと思っています」
──この間、10月23日に柔術デラヒーバ杯の紫帯フェザー級で優勝をしました。柔術の試合は何を得るために出場し続けているのでしょうか。
「MMAの練習、柔術の練習でやっている動きを実戦のなかで本気の相手に試す。そしてミスをしないで勝つ、そういう試合をするために出ています。同時にミスをしないことは大切ですが、小さくならないように緊張感のあるなかで、出せる技を増やしたいです。
柔術やノーギの試合でもMMAグラップリングの練習でもミスをしないでようにして、相手が何をしているのか理解できるように心がけています。そうなると試合の方が一つのミスが命取りになりますし、相手が勝つために仕掛けてくるので、柔術の試合に出ていてもMMAに活かせると思っています」
──10月27日には山内慎人さんが開く、FINISHという大会でグラップリングとパンチ✖グラウンドコントロールという2つのルールの試合にも出場していました。ケージを使用していて、山内さんがMMAで強くなるためのルールを思考錯誤しながら実践しているようで、凄く興味深い大会だと自分は思っていました。実際に戦ってみてどうでしたか。
「グラップリングのルールがノーポイント&サブオンリーで足関節の制限がない。それにケージで行われるということだったので、『これは出ない理由が見当たらない』と感じました。JBJJFのノーギだと外掛けもヒールもなく思考が違いますし。この緊張感は味わえないですし」
──国内でもケージでグラップリングが行われることはしばし見られますが、いってみるとグラップリングをケージで行っている。青木選手がONEで見せたようなケージグラップリングにならない試合が多いです。
「ハイ。僕もケージという部分を考えて、1試合目は金網に押し込んでからバックを取って一本勝ちできました。2試合目は相手の選手が真ん中で座ってきたので、ケージの方に押していったのですが、時間を使ってしまい一本取り切れなくてドローになりました。
戦っていて何のためにケージのグラップリングを選んだのかと思って、ケージを使ってパスはできたのですが、極め切れなかったです。試合なのでピュア・グラップリングの技術では負けている部分もあるし、勝負するにはケージを使うことだという考えもありました(笑)」
──勝利を目指すからこそ、本当のトライになるのですね。パンチ✖グラウンドコントロールもネーミングだけでも、非常に興味深いです。
「ヘッドギアと大きめのMMAグローブをつけて戦うのですが、スタンドはパンチだけ打撃が許されていてグラウンドは背中がついていると殴ってはいけない。腹ばいや亀だと殴って良いんです。サブミッションがなくて、抑え込みの一本があります。スタンドで殴られましたが、シングルからバックを取って一本勝ちできました」
──抑え込み一本もあるのですね。さらに興味がわきます。
「正直を言えば、このタイミングで試合のオファーがあると思っていなくて出たのですが(苦笑)。ルールも面白くて、実際に戦っても面白かったです。MMAにより近くて、真剣勝負で打撃有りで戦える機会はあまりないので凄く貴重な機会になりました」
──全てはMMAのためなのですね。その成果が22日のプッチ戦で発揮されることを期待しています。
「ブルーノ・プッチの組みに自分がどうやって勝負できるのか……試したいです。危険なところに飛び込まないといけないことは分かっています。ピュア・グラップリングで勝負をしたら絶対に向こうの方が強いですし、多分、ギで勝負してもプッチの方が強い。ケージがあって、パンチがあるなかでMMAグラップリングで勝負したいです」