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【UFC ESPN71】アルバジとの再起戦へ。平良達郎「あの負けと、この10カ月があったからと言えるように」

【写真】右の口元にアザと、左目の充血が見えるが「左目はアイポークで充血してしまっていて、口元は何か分からないんです(苦笑)」とのこと(C)SHOJIRO KAMEIKE

8月2日(土・現地時間)、ネヴァダ州ラスベガスのUFC APEXで開催されるUFC ESPN71で平良達郎がアミール・アルバジと対戦する。
Text by Shojiro Kameike

平良は昨年10月、当時世界フライ級1位のブランドン・ロイヴァルと激闘を繰り広げたものの惜敗。自身にとってはMMAキャリアで初黒星を喫した。パントージャの世界王座防衛などUFCフライ級戦線が動き続けるなか、すでに米国デンバーで最終調整を行っている平良に、ロイヴァル戦以降の10カ月とアルバジ戦について訊いた(※取材は7月24日に行われた)。


前回は試合の3週間前に米国入りしたのを、今回は4週間前にして調整しています

――すでに米国入りしてアルバジ戦に向けて備えている平良選手です。今回もデンバーで練習してからラスベガスに移動するのでしょうか。

「はい。いつもと同じデンバーでファイトキャンプをやっています」

――今回はいつから米国に?

「7月2日ですね。3週間前に米国へ入りました」

――えっ、いつもよりも米国入りが早いのではないですか。

「はい、いつもより早いですね。前回は試合の3週間前に米国入りしたのを、今回は4週間前にして調整しています」

――なぜ米国入りを早めたのでしょうか。

「より米国の時差や気候に慣れたいのと、あとは沖縄と米国で練習する選手も違いますから。その切り替えを早めにしたいと思って」

――現在の実感として、いつもより1週間早く入った影響は表れ始めていますか。

「早く入った分、焦りもないです。前回のように『急がないといけない』という気持ちもなくて。しっかり良いファイトキャンプができて、10日後の試合が楽しみですね」

――前回、つまりロイヴァル戦の前にデンバーで調整していた時は、何か気持ちが急いでいたのでしょうか。

「こっちに来て最初の1週間は体調管理とか、そのあたり順応できていませんでした。『トレーニングできるのが、あと2週間しかないなぁ』とか考えたり。別にそこまでセカセカしていたわけではないですけど、今回は余裕を持ったという感じです」

――確かに期間限定で行った先では、アレもコレもしないと……という気持ちになってしまいますよね。国内でも出張に行った時は、1日にありえないぐらいのインタビュー取材を詰め込んだりとか(笑)。

「アハハハ。沖縄と米国で、練習している環境もチームメイトも全てガラリと変わります。沖縄にいる時に追い込み、米国に入ってまた最後の仕上げとしてスイッチを入れ直すんですよ。おかげで、良い感じで仕上げることができています」

――沖縄は沖縄で、最近は取材する選手の多くが「沖縄で練習してきました!」と言っているように沖縄練習ブームが起きていますね。

「そうなんですよ。沖罠へ出稽古に来てくれる選手も多いし、こちらから呼んだりもしています。和田竜光さん、藤田大和さん、風間敏臣さんとか本当に豪華なメンバーと手合わせできて、やれることは全てやってきました」

――沖縄、米国どちらでも練習環境が整ってきている。その中で自身のMMAがレベルアップしていることも実感していますか。

「はい。常にもっともっとアップデートしなきゃいけないことだらけですけど、前回の試合と比べて成長したという自負はあります。その成長はトレーニングの中でも感じていますし、あとは試合で出すだけですね」

試合はシンプルに、その日強いヤツが勝つ。アルバジと戦って、UFCで僕の力を証明するだけです

――米国に入ってからの3週間は、どのようなスケジュールで過ごしているのでしょうか。

「まず米国では1週間のスケジュールが決まっていて。コーチとマンツーマンのトレーニングもありますし、全体のプロ練習にも出ています。スパーリングは週2回で、そのスパーでも毎週毎週良くなってきていますね。デンバーにいる間に、あと1回スパーリングの日があるので、そこは怪我だけ気をつけ――さらに気を引き締めて、最後まで慎重に仕上げていきたいです。

岡田遼さんと兄(平良龍一)、それと母の4人でデンバーに入りました。岡田さんはLemino修斗の会見があって一度帰国しましたけど、またラスベガスで合流する予定で。岡田さんと家族のサポートを受けながら1週め、2週め、3週めと良い感じで、米国での生活を送ることができています。さらに松根良太さんとチームメイトもデンバーに来て、今は松根さんと一緒に仕上げているところです」

――ご家族は今も米国に滞在しているのですか。

「試合が終わるまでずっといます。アレックス・ペレス戦(2024年6月、TKO勝ち)から、そういうサポート体制でやらせてもらっているんですよ。

やっぱり一人よりも、サポートしてくれる人が必要ですよね。母は食事とか家事をしてくれたり、兄もプロのMMAファイターなので練習を手伝ってくれたり、移動の際に車の運転してくれたりとか。減量もあると一人で米国生活はハードなので、手伝ってもらっています」

――そんななか、これだけ試合間隔が空くのは2020年のコロナ禍……1月のジャレッド・ライアン・アルマザン戦から11月の清水清隆戦以来です。5月に一度オファーもあったようですが、前回の敗戦から10カ月の期間については、どのように捉えていますか。

「うん、まぁ……強くなるために必要な時間だったと感じています。10カ月という僕にとっては長い期間でしたけど『前回の自分より強くならなきゃいけない。その自分を次の試合で見せる』というモチベーションは、ずっと持っていました。モチベーションが高いままトレーニングができましたし、次の試合で勝って『あの負けがあったから、この10カ月があったから』と言えるようにしたいです」

――パントージャの世界王座防衛、さらにジョシュア・バンがロイヴァルに勝利して次の挑戦者に選ばれるなど、フライ級戦線も様々な動きがありました。そのなかで「自分も早く戦いたい」という焦りはなかったですか。

「焦りは全くないけど、悔しさはありました。自分がいないところで、自分が休んでいる時にフライ級が盛り上がっていて。シンプルに一人の選手として悔しい気持ちで視ていましたね。早くトップ戦線に食い込まないと――という気持ちはあります」

――次に対戦するアルバジも平良選手と同様、また連勝を重ねたあとトップ戦線にいるブランドン・モレノに敗れました。それ以来の再起戦で、お互いここで負けたら……という状況であり、本当にキツいマッチメイクを課してきたという印象を持っています。

「確かに今の立場を考えたら、僕もアルバジも同じ気持ちかもしれませんね。お互いに落とせないという気持ちが強い一戦で。でも試合はシンプルに、その日強いヤツが勝つ。アルバジと戦って、UFCで僕の力を証明するだけです」

――アルバジとは以前に練習したことがあるそうですが、以降のアルバジについて何か変化あるいは進化している面は見られますか。

「練習した当時からUFCでも一本勝ちしたり、柔術やレスリングを生かした勝ち方をする選手という印象でした。でも最近はボクシングとかにも力を入れて綺麗なウェルラウンダーになってきたことが、ブランドン・モレノ戦では裏目に出たのかなって感じます。グラップリングからストライキングへ――一時期はジャブが巧くなったと思いましたけど、ちょっとストライキングに寄りすぎている感はありましたよね」

――モレノ戦ではやけに打撃でやり合おうとして、逆にジャブを食らっていました。

「もちろんモレノの対応が速いということもありますけど、カイカラフランス戦のようにケージへ押し込む展開とか、押し込んで削るような展開は見られませんでした。だからこそ今回は組みも混ぜて展開してくると思っているので、それに対処して、あとは試合の流れに身を任せます」

――対して平良選手はこの10カ月で、どのようなところが一番伸びてきたと考えていますか。

「う~ん……、……、……技術です(笑)」

――アハハハ。

「それは試合を視ていただければ分かると思いますよ、ウフフ。前戦から10カ月空き、お待たせしてしまったかなと感じています。でもその間もずっと、僕の試合を視たいという声は届いていました。日本時間の8月3日、間違いなく強くなった僕の姿をお見せしますので、ぜひご期待ください!」

■視聴方法(予定)
8月3日(日・日本時間)
午前7時00分~UFC FIGHT PASS
午前6時45分~U-NEXT

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