【UFN244】3Rと5RだけでもMMA史に残る大激闘の末──平良達郎、ロイヴァルに1-2で半歩及ばず
<フライ級/5分5R>
ブランドン・ロイヴァル(米国)
Def.2-1:48-47.48-47.47-48
平良達郎(日本)
サウスポーのロイヴァルに対し、平良は左ハイをかわして距離を詰める仕草を見せる。蹴りだけでなくジャブも見えている平良は、左ミドルをキャッチしてシングルレッグへ。ギロチンを組ませず、ケージに押し込むも自らリリースする。平良は左に右をカウンターで合わせ、左ミドルをブロックして右インローを蹴る。ハイを多用するロイヴァルは、平良の状態を起こさせる作戦か。
平良の右に、今度はロイヴァルが左を合わせ、左ミドルへ。左ストレートをクリーンヒットされた平良は、まっすぐ下がりたいくない。ステップインにパンチを合わせに行くロイヴァルが、ミドルからスピニングバックフィストを繰り出す。さらに左ハイから左ストレートのコンビを見せたロイヴァルだが、平良は右を合わせると細かいパンチを纏めてダブルレッグでテイクダウン。ロイヴァルが内掛けで足関を狙い、足を抜いた平良に組み直させず初回を終えた。
2R、左の蹴りに右、そしてワンツーを繰り出した平良。続いて右を当てると、ヒザ蹴りにボディロックからバックを取る。ケージを蹴ってグラウンドに持ち込んだ平良は、ボディトライアングルを完成させる。腰をずらしにかかるロイヴァルに対し、殴ってオタツで捻りつつバックを取り切った平良。ロイヴァルは正座状態のとなり、リストをとって懸命に防御する。ロールも潰し、ネルソンで前方に落とされるのを防ぎロイヴァルを捻る平良が左腕で絞めにかかる。
ロイヴァルも巧みな防御を見せるが、平良はマウントに移行する。暴れて潜ったロイヴァルのシングルにも平良はバックに回る。ここでロイヴァルは引き込み、背中をつける。足関からのスクランブルに、平良は背中をドンと押して間合い取り直す力強さを見せた。
3R、右目の下が大きく腫れたロイヴァル。平良は左から右を振るう。さらにジャブを当てると、左に道を合わせようとする。右を振るってダブルレッグの平良に、ロイヴァルがヒザを当て、組まれてもエルボーを落とす。さらにヒザを見せたロイヴァルが離れると、左を当てる。ヒジがやや効いたか、やや動が少なくなった平良にロイヴァルがンヒアリを当てパンチを纏める。
動きが落ちた平良はテイクダウン狙いも、逆に倒されシングルを切られる。組みに行った平良にヒザを入れたロイヴァルは動きが止まった平良からバックを取ると時間を置くことなく腕十字に。これが幸いし、腕を抜いた平良は三角に移行させず担ぎパス。スンランブルでバックに回るとボディトライアングルに。平良はRNCをセット。30秒、絞め続けるもロイヴァルが逃げ切った。
4R、ここまで2つのラウンドを落としている平良だが、ポイントよりも問題はスタミナとダメージの蓄積だ。圧をかけるロイヴァルに対し、平良が左ジャブを当てる。さらに右を伸ばした平良は、左を受けても下がらずシングルからボディロック、バックに。ケージを使わせずテイクダウンを奪った平良は足のフックを嫌がるロイヴァルから、しっかりと四の字フックに入る。前方に落としたいロイヴァルは、ここも正座。前転するようにグラウンドに戻り、平良はボディトライアングルを続けRNCの機会を伺う。パンチに転じた平良は半身、仰向けと動こうとするロイヴァルを制してエルボーを打ちつける。
後方からエルボーを入れ、ロイヴァルの前転を潰して背中を伸ばさせた平良は肩固めへ。ここからRNCに移行できる鉄壁のポジション&コントロールを続けた平良は、ロイヴァルの左腕もフックし、絞めを伺う。最後は足を戻し、ディープハーフからシングルを狙ったロイヴァルも決して諦めない気持ちの強さを見せ続けた。
イーブンで迎えた最終回、勢いは平良にあると思いたい──が、一発のジャブ、ヒザで流れは変わる。左を伸ばすロイヴァル、ジャブからワンツーの左を入れる。平良はテイクダウンのフェイクから右ハイ。さらに組みに行くと見せた平良が右を当てると、ロイヴァルが左を打ち込む。ロイヴァルが左、平良もジャブを当てる。スタンド戦から平良が右を再度当ててテイクダダウン!! バックを取られるの嫌がったロイヴァルが背中をつけ平良は、上四方で抑える。と、ロイヴァルがレッスルアップからダブルレッグで上を取りにかかる。バックを譲って立ち上がった平良は、スラムダウンにも胸を合わせて離れる。
勝負の残り2分、左を当てて前に出るロイヴァルがワンツー。平良のジャブに左を合わせる。平良はシングルに出るが、倒せない。離れたロイヴァルがヒザ、平良も右を打ち込む。ロイヴァルがスピニングバックフィストを空振りし尻もちをつくが、直ぐに立ち上がる。平良のテイクダウン狙いにギロチンをセットしたロイヴァルが、後方に回転してマウントへ。背中を見せた平良を捕えたロイヴァルはRNCからパンチに転じ、またも腕十字へ。ここは3Rと違い腹ばいの平良の動きを止め、タイムアップに。
年間ベストバウト級のファイト、大会場のメインでもおかしくない激闘&最高のMMAは──2-1でロイヴァルを凱歌があがった。目頭を押さえた平良を抱きしめ、声を掛けたロイヴァルは「こんなにハードな試合にしたくなかった。接戦になるとは思っていたけど。タイラ、コロラドに来たら求めることは全て応じる。タイラ、ブラザー、お前はきっとチャンピオンになる」と話し、3Rと5Rは凄まじい戦いだったとマイケル・ビスピンに振られると「あんな風になるとは。最初の2分はどうなるかと。次? トップ5の全てに勝っている。次はタイトルショットだ。カイ・アサクラ、俺は日本へ行く。パントージャ、俺はブラジルに行く。次はタイトルショット、そのための交渉しかしない」とFワードを連発した。
キャリア初黒星の平良。勝機もあった。最高レベルの戦いで勝つための課題も見えた。ワールドクラスの実力を示したうえでのスプリット判定負け、胸を張り、顔を上げて明日を迎えて欲しい。