【UFN162】デミアン・マイア戦へ、ベン・アスクレン「サブミッションを狙って戦うなんて、バカげている」
【写真】いつだって自信満々。その根拠は練習にあるというアスクレン (C)MMAPLANET
26日(土・現地時間)にシンガポールはカランのシンガポール・インドアスタジアムで開催されるUFN on ESPN+20: UFN162。そのメインでベン・アスクレンがデミアン・マイアと志向のグラップラー対決を戦う。
フリースタイル・レスリング五輪代表、カレッジ・レスリングの猛者は、サブミッションがあることが柔術家の優位だという説を一刀両断した。
7月に20戦目のMMA初黒星を喫し、それも5秒でのKO負けだったにも関わらず、ベン・アスクレンの自信は一切揺らぐことはない。
──勝負事は負けることも当然あるのですが、マスヴィダル戦のMMA初黒星は見ている側としてショックでした。
「君が言っているように勝負事は負けることもある。まぁタイトル挑戦が遠のいたという点では残念なファイトになってしまった。ただ、3カ月後にはここいるわけだから」
──精神的に立ち直るのにどれぐらいの時間を要しましたか。
「もちろん絶好調というわけにはいかないけど、次の日には大丈夫になっていた。そして45日間のサスペンションを受けたから、その間はフィジカルトレーニングをしていた。だいたい、ああいう攻撃はアクシデントとまでは言わないけど、狙ったから当たるってもんじゃない」
──あの試合から学ぶことはありましたか。
「何もない。5秒じゃ、なんのレッスンにもならない」
──無敗できて、つねにテイクダウンから勝利を収めてきた。その部分で過信があったということは?
「そんなことはない。なぜ、俺が常に自信を持っているのか。それは十分にトレーニングを積んで、しっかりと試合に向けて準備ができているからだ。研究を怠るわけじゃない。それに自分の技術に自信を持っていないと戦えないだろう?」
──いかにもベン・アスクレンです。ところでUFCで戦うようになって2試合。ONEでは終盤、水抜きなしで185ポンドで戦っていました。UFCでは水抜き有りの170ポンドです。
「計量のやり方はONEチャンピオンシップの方が好きだったな(笑)。水抜きしないで良いのは体への負担が少ない。だが、俺の人生はレスリングとともにあったから、水抜きもその一部だ。水抜きはない方が良いけど、問題はない」
──ではデミアン・マイアとのオファーを受けた時、どのように思いましたか。
「テンションが上がったな。俺はデミアンを尊敬しているし、彼のようなファイターを相手に自分をテストしたいと常に思っている」
──デミアンがトップ・レスラーと戦うと、そのレスリング能力はテイクダウンディフェンスに集約され、あとは打撃を当てて勝つという具合でグラップリング勝負を見ることができなかったです。
「その通りだ。俺は柔術も理解しているし、今回の試合もマーク・ライモンとマイア対策を練ってきた。ただし、この試合はMMAだ。パウンドがある。何より、俺のレスリングは彼の柔術より優れている。スタミナも俺の方があるし、テイクダウンからトップポジションを取り、ダメージを与える攻撃をするだけだ」
──ベンのレスリングはテイクダウンだけでなく、フォークスタイルのコントロールがその軸にあると思います。
「その通りだ。俺が彼をコントロールする。そしてフォークスタイル・レスリングのコントールがあるから、柔術をより理解できて、使いこなすことが可能だ。レスリングによって柔術を生かすことができる。柔術家のコントールはグリップが必要だ。俺たちレスラーはグリップもできるし、腹や胸を使ってグリップせずに相手をコントロールすることができる。つまり片手は自由で、相手を殴ることができるということだ」
──ではデミアンのガードから攻め、そしてガードでの防御能力をどのように評価していますか。
「そうはいっても、彼もほとんどトップで試合をしている。勝つときは特にそうだ。下になった時はハーフガードから、ワキを差してレスリングを仕掛ける。つまり、そこは俺が得意とするポジションというわけだ。俺のポスチャーは、彼のガードコントロールより強い。そういうことさ」
──柔術家はサブミッションがあることを優位と捉える向きがありますが、ADCCですら柔術家同士の対戦はスクランブルゲームが主流になり、なかなか一本決着は見られません。
「俺も9月のADCCは見たよ。俺は本当にデミアン・マイアを尊敬しているんだ。でも、彼が一本勝ちできると思っていたらバカな考えとしか言いようがない。フォークスタイル・レスリングにおいて……いやフリースタイル・レスリングでも、どれだけピンフォールで決着がつく? 実力者同士が戦うとピン決着なんてほとんど見られない。それは柔術でも同じで、ADCCの上の方が試合でどれだけサブミッション決着が起りえるのか。
サブミッションを狙って戦うなんて、本当にバカげたプロセスを踏むことになる。誰もが練習を積み、試合に出ることで防御能力を高めているんだ。そこを理解していない発言や考えはバカげているとしか言いようがない」
──2013年に初めてベンのインタビューをさせてもらった時にグラップリングだったらマルセリーニョ・ガウッシアには勝てない。ただし、パウンドが入った戦いでは誰にも寝技で負けることはないと言っていました。今も同じ考えですか。
「フフフフ。俺がトップにいると、そうなるだろうなぁ。まぁ、土曜の夜を楽しみに待っていてくれよ(笑)」