【UFN159】最恐ロシアのフライ級王者アスカル・アルカロフが、ついにUFCへ。モレノ戦で初陣
【写真】ファイターは見た目ではない。UFCを震撼されるか、アスカル・アスカロフ (C)ACB
21日(土・現地時間)、メキシコはメキシコシティのアレナ・シウダ・デ・メヒコでUFN159:UFN ESPN+19「Rodriguez vs Stephens」が開催される。
標高2250メートルの高地決戦、メインはフェザー級のジャイー・ロドリゲス✖ジェレミー・スティーブンスの一戦が組まれた今大会にまたも最恐ロシアのACB(現ACA)のチャンピオンがオクタゴンデビューを果たす。
現在UFCではACB王者はライトヘビー級のガジムラッド・アンディグロフ、フェザー級のザビット・マゴメドシャリポフ、バンタム級のピョートル・ヤンと3人が契約している。アンディグロフこそ連勝から連敗で2勝2敗という戦績だが、マゴメドシャリポフはとヤンは揃って5連勝とオクタゴンで負け知らず、ロシアン旋風を巻き起こしている。
このACB王者部隊に今回、フライ級王者のアスカル・アスカロフが加わった。アスカロフは1992年10月生まれの26歳、キャリアは10勝0敗とパーフェクトレコードを誇っている。昨年5月のACB86におけるラスル・アルバスカノフとの防衛戦を最後に実戦から離れていたのは、UFC転出を図るも肝心のUFCフライ級の活動が中止される発表があり、暗礁に乗り上げていたためだ。
世界王者ヘンリー・セフードのバンタム級との2階級制覇により、フライ級の活動が継続されアスカロフも晴れてUFCで戦うことが決まった。ストライカーだろうが、レスラー、グラップラーだろうがウェルラウンダーでないと生き残ることが難しいACBで頂点を究めたアスカロフは、フリースタイルレスリングがベースでコンバットサンボで活躍してきて来ており、当然のように打・倒・抑・極で穴がないファイターだ。
打撃はスイッチヒッターで、左の精度も高いがパワーがあるのは右の方か。それでもパワーを全面に打ち出した打撃でなく、下がって打つカウンター、ワンツーから伸びるストレートと綺麗なキックボクシングをする。その一方で、打撃が目立たないほどテイクダウンと極めの印象が強いのがアルカロフの最大の特徴であり強みといえる。
テイクダウンに関してはとにかくパンチの連動が群を抜いている。右ストレートを当てた刹那、踏み込んだ足で小外掛けを決め、サウスポーでも中間距離の打撃戦で左手で蹴り足をキャッチして右を打ち込むと思いきや、ニータップのように肩を押してテイクダウンを奪うなど、まさに変幻自在の打+倒の複合技を持つ。
さらに圧巻なのは倒した後のグラウンドだ。現代MMA必須の下にならないスタイルで、スクランブルのなかでノーアーム、アナコンダ、ダースとガブリを応用した絞めを持つ一方で、下になることも厭わずレスリング系のロール、柔術系の極めという攻撃手段を持っている。バックマウントからワキを差してきた相手に、ツイスターのような形でタップを奪うなどセオリーにない動きもある。
そんなアスケロフのメキシコシティでのデビュー戦は、UFCリリース後LFAでフライ級王者になり再契約となったブランドン・モレノと戦うこととなった。ラテン系の明るく熱しやすいファン層を冷たくさせる強さを見せることができるか、要注目のアルカロフのオクタゴン初陣だ。