この星の格闘技を追いかける

【UFC ESPN64】これこそが、変幻自在。ブランドン・モレノがアーセグの攻めの芽を潰し3-0の判定勝ち

<フライ級/5分5R>
ブランドン・モレノ(メキシコ)
Def.3-0:49-46.49-46.49-46
スティーブ・アーセグ(豪州)

様子見のなか、振りの大きなパンチをモレノが時折見せる。アーセグはジャブとカーフ、とモレノが左ボディを決め、直後に左ストレートを顔面に届かせる。さらに右オーバーハンドを被弾したアーセグが姿勢を乱す。それでもショートのコンビ、カーフと堅実な攻めを見せるアーセグ。モレノは右を入れ、アーセグが左ボディショットを打つ。飛び込むような右オーバーハンド。右を振っての左と、独特のリズムでパンチを当てるモレノが、優勢に試合を進める。さらに右を入れ、右カーフを蹴ったモレノが初回を取った。

2R、右オーバーハンドを当てたモレノ。アーセグがジャブを返す。距離、パンチの種類に幅のあるモレノが、より多くの位置でパンチを当てることができるのに対して、コンサバな攻撃のアーセグは自らの距離、位置になるとしっかりとパンチを打ち込むことができる。モレノはとびこまないタイプの右オーバーハンド、アーセグは左を返す。直後にボディを抉ったモレノは、左オーバーハンドを見せ──同じ踏み込みでテイクダウンを仕掛ける。

散らすという部分で、明らかに攻勢のモレノは右オーバーハンドに続き、左フックを決める。テイクダウンのフェイクからのオーバーハンドは不発に終わったものの、素早いジャブを当て左リードフックから左右のコンビとモレノのペースが続く。蹴りを交え、アーセグのコンビは頭を振ってかわす元チャンピオンが右フックを受けそうになったが、その力を存分に見せた5分間となった。

3R、フリッカー気味のジャブ、飛び込むように打たれるオーバーハンド、レベルチェンジしてボディ。左で翻弄するモレノに対し、アーセグは右の蹴りを繰り出す。モレノは右ストレートをヒットさせ、強烈な左インローを決める。時おり構えを変えるモレノだが、オーソでも左右の拳に利き腕がなく、自在に夫婦手のように使うことができるのが最大の強みか。アーセグもジャブやストレートを当てる場面もあるが続きが見られない。ばかりか左右に回る場面が増え、ケージを背負う場面も出てきたアーセグ。ヒザこそ出したが、手数が少ないアーセグに対し、モレノも攻撃を控えた終盤となった。

4R、掌を開き気味で構え、手を回すことで軸を創るモレノが一瞬にして距離を詰め、右オーバーハンドをヒットさせる。右を空振りしたモレノが、一瞬、動きが止まる。ヒザでも負傷したかのような動きを見せたモレノに対しても、アーセグは積極的に攻撃を仕掛けることはできない。カウンター狙いではないが、モレノに対して反応勝負のようなアーセグは手数が少ないままだ。モレノも動きが落ち、目視戦のようななかでシングルレッグでケージに押し込む。ボディロックで後ろに引き、バックに回ったモレノはホーン後に背中をつけたアーセグにパウンドを落としてしまった。

最終回、モレノが右オーバーハンド、左フックと大きな弧を描くパンチを放つ。近い距離で体が交錯する中で右オーバーハンド、離れてカーフを蹴り込む。左ローをチェックしたアーセグがワンツー、前蹴りから右ショートフックを届かせる。踏み込んでスイッチハイキックを繰り出したアーセグが、直後にスリップ。間合いを測っていたモレノは一気に、攻撃をまとめる。

変幻自在に体を操るモレノが右をヒット。アーセグは、対応がプライオリティがモレノに合わせた動きが続く。残り1分、アーセグは左ハイを見せるもモレノがキャッチして体躯ダウンを奪う。そのまま担ぎパスを仕掛けたモレノは残り10秒でサイドを取り、そのままタイムアップに。モレノは直後に雄たけびをあげ、ほぼ完ぺきといって良い試合内容で母国大会のメインを締めた。

結果はモレノが3-0の判定勝ち。「どれだけチケットを入手するのが大変か分かっている。この勝利は皆のモノだ!! ハンター、どこだ。ハンター、俺の望みが何か分かっているよな。さぁ、やろうぜ!!」とフライ級王座返り咲きへの狼煙をあげた。


PR
PR

関連記事

Movie