【ONE98】タン・リー戦へ、背水の陣=朴光哲「偽善者も……ずっと偽善者をやっていると毒が抜ける」
【写真】見た目通りの怖さを──再び期待 (C)NOBBU YASUMURA
16日(金・現地時間)、タイはバンコクのインパクト・アリーナで開催されるONE98「Dreams of Gold」で朴光哲がタン・リーと戦う。
負傷欠場を挟みクリスチャン・リー、ブルーノ・プッシに連敗中の朴が2年振りの勝利を賭けて戦うタン・リーはLFAやコンテンダーシリーズで結果を残している強豪だ。
42歳になった朴が、導き出した格闘の原点とは。計量を終わったばかりの彼を電話インタビューした。
──計量を終えて、体調の方は……いや、またドリアンをたらふく平らげているのではないですか。
「そこは想像におませします(笑)。ただ、ホテルに持ち込むようなことはしていないです」
──最近の朴選手は試合前からドリアンを食べて、満ち足りてしまうとどうにも激しさが試合から感じられなくなるような……。
「またぁ……。でも、まぁ……あれですね、前の試合は反省しかなかったです。やっぱり、効率的になってきちゃうじゃないですか? 練習でも準備でも無駄を省こうとして、無駄を省いているつもりが大切なモノまで省いていた。
本当にベストコンディションで挑むということを余りにも考え過ぎてしまっていたんで、泥臭くやらないといけない時もあるってまた気付きましたね。疲れていても、やらないといけないことってある」
──休息も必要な練習と言っていた朴選手が、再びその気持ちに?
「そうっスね。試合の準備ってしんどいよってことで」
──効率的に戦うことが、進化したMMAを理解することだったと思います。そこを経ないで精神論では戦えない。
「だから効果的に戦うとしていたのが、またこの年になってガムシャラな頃を思い出して、オラオラっていう格闘技をやろうかなと」
──そういうベテラン選手も多いです。精神論で勝てない、絶対に。それなのに1月のブルーノ・プッシ戦を見て、「ドカンと倒す気はあったのか?』ということを想ってしまいました。
「アハハハ、でも──そうっスよね。そういう気持ちでプレッシャーを与えないと……それを巧くやろうとしてしまうんですよね」
──朴選手は年を重ねて当然のことなのですが、ギラギラついていたのが随分と良い人になってしまって……。
「偽善者もね、ずっと偽善者をやっているとそういう毒が抜けてしまって(苦笑)。だから誰ももう期待してくれていないなかでプレッシャーもないし、やりますよ」
──誰も期待していないなんて、何を言っているのですか!!
「そんなこと言って、バンコクに来ていないじゃないですか!!」
──それはですね……色々と事情があるんですよ、記者にも。
「まぁ、期待してもらっているなら……その期待に応えますよ(笑)」
──ただし対戦相手のタン・リーは、相当にデキる相手だと思います。
「マジっすか(笑)。まぁ強いとは思うスけど、毎回言っていますが、良い相手だと勝った時に返ってくることもデカいので。また格闘人生の一発逆転を狙います。
プレッシャーをかけて……でも、遠いからやってみないと分からないですね。出鼻をくじきながら、接触するときにはまとめたいですね」
──つまり遠い距離からの蹴りを警戒しているということですね。
「一聖が来てくれているんで。あの相手は蹴った後の追い突きが上手いって分析してくれていますしね」
──蹴りだけでなく、蹴った後のパンチですか。
「そこは警戒しながら戦わないといけないです。稼がないといけないので、厳しい展開になる覚悟、我慢が必要な泥臭い試合をやり抜く気持ちはできています」
──ONEでいち早くプチ景気を経験していた朴選手ですが、またハングリー精神が戻って来たようですね。
「あのう……10月にベイビーが誕生するので」
──おお!! そうなのですか、おめでとうございます!!
「好きなことを続けたいんで。それには勝たないといけない。一番大切なのは出し切ること。それができれば良い結果になると思います。とにかく気を抜かないように戦います」
──ハイ、気を抜くとビクトル投げからのヒザ十字を食らうこともあるので。
「それ、もう17年も前ですよ(笑)」
■ONE98対戦カード
<Super Seriesキックボクシング世界フライ級選手権試合勝/3分5R>
ペッダム・ペッティンディー・アカデミー(タイ)
イリアス・エナッシ(オランダ)
<ONE Super Seriesキックボクシング・フェザー級ワールドGP準決勝/3分3R>
ジョー・ナタワット(タイ)
ジョルジオ・ペトロシアン(イタリア)
<女子アトム級(※52.2キロ)/5分3R>
スタンプ・フェアテックス(タイ)
アシャ・ロカ(インド)
<ONE Super Seriesキックボクシング・フェザー級ワールドGP準決勝/3分3R>
サミー・サナ(フランス)
ジャバル・アスケロフ(ロシア)
<ストロー級(※56.7キロ)/5分3R>
アレックス・シウバ(ブラジル)
ステファー・ラハディアン(インドネシア)
<ムエタイ・バンタム級/3分3R>
ムエンタイP.K.センチャイムエタイジム(タイ)
山田健太(日本)
<フェザー級(※70.3キロ)/5分3R>
タン・リー(米国)
朴光哲(日本)
<ムエタイ・フライ級/3分3R>
サヴァス・マイケル(キプロス)
ルーシラー・プーケットトップチーム(タイ)
<バンタム級(※65.8キロ)/5分3R>
ユーサップ・サーデュエラフ(ロシア)
キム・デフォン(韓国)
<フライ級(※61.2キロ)/5分3R>
チャン・ロタナ(カンボジア)
グスタボ・バラルト(キューバ)
<ムエタイ・キャッチウェイト/3分3R>
バングリアム・ノーラン(英国)
プリーニ・ペッチインディーアカデミー(タイ)
<ストロー級(※56.7キロ)/5分3R/5分3R>
澤田龍人(日本)
アジス・カリム(インドネシア)
<ムエタイ・バンタム級/3分3R>
アラヴェル・ラマザノフ(ロシア)
オギエン・トピッチ(米国)
<バンタム級(※65.8キロ)/5分3R>
ジャオ・ジーカン(中国)
ポール・ルミヒ(インドネシア)
<ストロー級(※56.7キロ)/5分3R>
ハシガトゥ(中国)
ラモン・ゴンザレス(フィリピン)