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【Special】月刊、青木真也のこの一番:4月─その壱─佐藤天×ベン・サンダース「ランク入りすれば超人」

Sato Takashi【写真】青木は佐藤がMMAを始めた時から一緒に練習をしてきた (C)Zuffa LLC/Getty Images

過去1カ月に行われたMMAの試合から青木真也が気になった試合をピックアップして語る当企画。

背景、技術、格闘技観──青木のMMA論で深く、そして広くMMAを愉しみたい。そんな青木が選んだ2019年4月の一番、第一弾は27日に行われたUFN150から佐藤天✖ベン・サンダースの一戦を語らおう。


──4月の青木真也が選ぶ、この一番。最初の試合は?

「佐藤天とベン・サンダースですね」

──おぉ、UFCデビュー戦のTKO勝ちですね。青木アワード枠以外で日本人選手が入ってくる。これは素晴らしいです。

「サンダースはUFCと再契約を繰り返している36歳。消耗はあると思うし、オッズも佐藤が上で。そこがまず大したものでした。ダメージのある選手ということもあり、デビュー戦で戦うには良い相手だったかと思います」

──そこでしっかり勝てる。それもなかなか簡単ではないことですし。

「そうですね。米国でやっている大会で、あの勝ち方はボーナスまでもらえると思いました。キレーな勝ち方で、5万ドルだ、ラッキーって感じだったんですけどね。ウェルター級であの勝ち方ができるっていうのは、日本人として素晴らしいです。UFCのアンダートップ戦線、トップの下にある選手に勝てるというのは凄い……、なかなかスポットは当たらないですけど」

──佐藤選手が試合後に純粋な気持ちで、秋葉選手のことを口にした。その内容が中継陣やファンの心に響いたというのも嬉しかったです。

「死生観になると、僕はまぁ……ちょっと人と感覚が違っていて。距離感の話になりますが、彼ほどの想いはなくて。単純に試合として素晴らしかったです。UFCで1勝、UFCで期待されている側のレギュラーになることは凄く難しいですし、素晴らしい事ですよ」

──開催地まで行っても、凄く落ち着いているというか……インタビュー用に写真を送ってもらう際に「アメリカっぽい感じで」と伝えると、風景だけが送られてきて。これは大陸的だと感じました(笑)。

「ハハハ、風景だけ? 抜けているんですよ。ただ、そこを大陸的とすると……まぁ、彼は台湾人の血が入っているけど、だから強いというのは、僕は選手として認めたくないですよ。そうなると混血が強いってことで。自分に結果が出ないことを、血が混ざっていないことに落とし込んでいるネット右翼とか、ヘイトにつながることだと思うんです。

だから彼が混血だから強いとは思わないようにしています。ただ、個として内蔵が強いのは異常です(笑)。アイツ、肉を1キロとか食えちゃうんですよ」

──それは凄まじいですね。

「僕も世界中、どこでも気にせず食えるけど、肉を消化する能力は……肉に対して耐性がないから、肉が1キロとか食えるってやっぱり強いと思うんです。大陸の血って高島さんも言っているけど、アレは大陸の肉を分解する血が入っているというのはあるかもしれないですよね。野菜がないところで生きてきた血というのは、あると思います」

──ただ青木選手的にはそこを強さの要因と捉えると、どうしようもなくなってしまうと。

「なりますし、自分が成功しない理由を血とかに求めるのはダサいじゃないですか。それって結果的に成功した人間を排他していく作用に通じ、羨みになってしまう。ただ、天が風景の写真とか送ってくるのは頭の問題だから(笑)。それを国民性とか大陸の血とか言っていると、台湾の人に怒られちゃいますよ(笑)。親日国もさすがに怒ります」

──アハハハ、確かに。

「天はもう人間力が強い。トライブで最初に練習している時から強いと思っていたし、彼がプロ練習から脱落する選手だという風に接したことは1度もなかったです。そういう強さがありますよね」

──これから厳しい戦いは待ち受けているかと思います。ただし、そこで勝つ人間が上に上がるということかと。

「そこを狙うことができる勝ち方でした。日本人がウェルター級でランカーになるって、超人ですよ。ロシアとか当ててくるでしょうね、UFCも。でも本当に嬉しかったです、彼の勝ちは」

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