【Pancrase303】ウラジミール・レオンティブに完勝の田中路教─01─「多くの人に支えてもらったのに…」
【写真】試合後、田中はひたすら手を合わせて詫び続けた(C)MMAPLANET
17日(日)にパンクラス303でウラジミール・レオンティブに3-0で判定勝ちを収めた田中路教だが、笑顔は一切なく頭を下げ、勝利を祝う声にも謝辞を伝え続けた。
確かに試合は圧倒的に田中が攻め続けた。フィニッシュに持ち込める瞬間は幾度となく訪れているように見えた。それでも極めきれなかったのは試合勘の鈍りなのか、精神的、あるいは技術的な問題だったのか。1年5カ月ぶりの勝利にもうなだれるばかりの田中に話を訊いた。
──納得がいかないというか、申し訳ないという風に感じられます。
「ハイ……。いやぁ、もう自分の中で納得できる動きが全くできなかったので……」
──思ったように動けない、試合を終わらせられないから焦っていったということでしょうか。
「焦りはなかったつもりなんですけど……実戦で戦う感覚が鈍っていたのか……。戦っている途中でこういう感じだったなということを段々と思い出していました。
それ以上に練習でやってきたことが出せなかったです……。足を使って動いて、リズム良く戦いたかったのですが、逆に落ち着きすぎてしまって色々と考え動くような感じになってしまいました。結果的に考えて動くから、反応が遅れリズム良く戦うことができなかったです。前は何も考えずに、自然と動くことができたのに……」
──組みがこれだけ強い選手なのに、スタンドの展開で組みのプレッシャーを利した動きができていませんでした。
「そうなんです。そこも試合の途中に気付きいていました。最初から距離も取り過ぎてしまって。それには考えがあってやっていたのですが、空回りしてしまいました。結果的に近い距離の方が全部見えて、反応もできました。練習でも近い距離をやっていたのに、試合になるとあの距離は反応できないと考えて、あの距離を避けて戦ってしまいました。
でも、近い距離の方が集中もできていて……とにかく反省しかない試合になってしまって……。1Rで終わらそうと思っていて、チョークはほぼ入っていたと思うんですけど……。(セコンドを務めた嶋田裕太に)ちょっと、浅かったですか? それともずれていたんでしょうか」
嶋田 角度的に全てが見えていたわけではないですが、腹固めで極めに行った時ですよね?
「ハイ、腕を制することはできていましたし、RNCもかなり入っていたと思うんですけど、何だったのか。背中が柔軟だったんですかね」
嶋田 柔らかいのはありました。ただ腹固めは絞めの方に集中していて、腹は出していたけど足が宙に浮いていました。だから腹の位置が高くなっていなかったです。
「……」
嶋田 腹が出ていなくても、決してRNCは悪くはなかったです。アレで極まることもあるだろうし。ただし、極まらないなら片手からRNCの間にパームトゥパームを一つ入れると、またリアネイキド・チョーク・クラッチでも極まる確率は高くなっていたと思います。浅い、深いというのを繰り返すことで相手も反応が遅れてくるので。
「あぁ……入りそうだったので、そこに必死になりすぎていました」
嶋田 アレでも行けそうでしたけど、1Rは相手も元気だし、気持ちも折れないから、少しでもルーズだと逃げられてしまうというのは……結果論ですが、ありました。
──勝っているのだから、もう少しリラックスして戦えないものかという風にも見えました。だからセコンドとしても、そこを指摘することはできなかったでしょうか、嶋田選手。
嶋田 その通りだと思います。それが……この試合の勝ち方で今後が左右するとか、自分も勝村(周一朗)さんも考えてしまったかと……。ただ、勝つだけ以上のインパクトを残して欲しいという気持ちが強すぎました。今、言われたように『勝っているんだから。気にしない』と声に出していられたら、田中さんも落ち着けて2Rとか3Rにフィニッシュできていたかもしれないですね……。
「……」
──でも負けなかったですから。
「(苦笑)。いやぁ……それでは済まされないと思います。これだけの多くの人に支えてもらったのに……。そうして実現した試合で……これでは……」
<この項、続く>