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【UFC235】スティーブンスの嵐のような猛攻に対し、剛柔自在のマゴメドシャリポフの対処方法は?

Zabit Magomedsharipov【写真】もともと持っていた強さに、ヒカルド・アルメイダとマーク・ヘンリーの指導が加味され穴がなくなったマゴメドシャリポフ。柔軟さと力強さの表れが、このバックからのヒザ十字形ハムストリングス伸ばしともいえる(C)Zuffa LLC/Getty Images

2日(土・現地時間)、ネヴァダ州ラスベガスのTモバイル・アリーナで開催されるUFC235「Jones vs Smith」。ライトヘビー級とウェルター級の世界戦、ベン・アスクレン×ロビー・ローラーがPPVマッチで組まれたビッグショーは、プレリミでも見逃せないカードが並んでいる。


TUFシーズン01ウィナーのディエゴ・サンチェス×ミッキー・ガル、UFCデビュー後2試合連続1RKOかつ2試合連続でパフォーマンス・オブ・ザ・ナイト獲得のジョニー・ウォーカーがミシャ・サークノフ戦にスクランブル発進するなど、メインカードで組まれておかしくない試合が続くプレリミの締めは、ジェレミー・スティーブンスとザビット・マゴメドシャリポフのフェザー級戦だ。

抜群の圧力の持ち主スティーブンスは、干支が一回りする間UFCで戦い続けてきた。15勝14敗というとてつもない戦績の持ち主は、いってみればオクタゴンの殴り屋職人だ。かといって、試合開始直後から無茶な打ち合いをするわけではない。そこはアライアンスMMAのファイター、タイミングと距離を測ってファイトできるのがスティーブンスだ──本来は……。それなのに気持ちの強さからか、相手のペースになるまいと上手さでなく強さで自分の流れにしようとする余り、相手の術中にはまってしまうことも少なくない。

だからこそ、この戦績でありファンやプロモーションから絶対の支持を受けることができる。ただし、今回の一戦はそんなスティーブンスよりも、注目すべきはマゴメドシャリポフの方だろう。ロシアの最恐MMAイベント=ACBで6連勝を飾り、フェザー級王者からUFCに転じるとオクタゴンでも比類なき強さを見せ、1年間で4連勝を達成した。

今回の試合は5カ月のインターバルが空いているが、彼との戦いを避けるファイターが続出しているのもすぐに試合が決まらなかった要因の一つになっていることは間違いない。ロシアの猛者の例に漏れずダゲスタン出身のマゴメドシャリポフは、フリースタイルレスリングから散打というある意味、ダゲスタンMMAファイターの王道を歩んできた。

マゴメドシャリポフの強さは剛のなかに柔があり、柔のなかに剛がある点だ。この緩急自在の動きが散打ベースで回転系の技を使いこなす打撃から、テイクダウン&コントロール、さらにパウンドやサブミッションに散りばめられている。柔軟さ故、打撃からテイクダウンへの移行がスムーズで、また剛力さがあるからこそ一発のテイクダウン、フィニッシュへ向け力強い攻撃が可能になっている。

特にグラウンドのボディ・コントロールこそ、彼の柔らかい動きと力強さの融合体であり、その強さの根幹をなしている部分だ。そして抜群のフィニッシュ力を誇りながら、判定勝ちできる頭の柔らかさも彼の強さを後押ししているといって良いだろう。

試合中でも常に余裕が感じられるマゴメドシャリポフに対し、スティーブンスがいかに圧力でメスをいれていくのか。あの強引ともいえるスタイルに翻弄されるのか、いなすことができるのか。マゴメドシャリポフが勝利を掴むことになるのであれば、フィニッシュか判定かではなく圧力を受けたときの戦い方こそ、彼がUFCでも頂点に立つことができる力の持ち主であるのか判断できる材料となる。

スティーブンスの猛攻に気持ちが乱れず自分の戦いを貫くことができれば、マゴメドシャリポフはすぐにでもマックス・ホロウェイにチャレンジする権利を有していると思われる。そのような視点でこの試合を見るのも興味深さを増幅させるのではないだろうか。

■ UFC235対戦カード

<UFC世界ライトヘビー級選手権試合/5分5R>
[王者]ジョン・ジョーンズ(米国)
[挑戦者]アンソニー・スミス(米国)

<UFC世界ウェルター級選手権試合/5分5R>
[王者]タイロン・ウッドリー(米国)
[挑戦者]カマル・ウスマン(ナイジェリア)

<ウェルター級/5分3R>
ロビー・ローラー(米国)
ベン・アスクレン(米国)

<女子ストロー級/5分3R>
ティーシャ・トーレス(米国)
ジャン・ウェイリ(中国)

<バンタム級/5分3R>
コディー・ガーブラント(米国)
ペドロ・ムニョス(ブラジル)

<フェザー級/5分3R>
ジェレミー・スティーブンス(米国)
ザビッド・マゴメドシャリポフ(ロシア)

<ライトヘビー級/5分3R>
ミシャ・サークノフ(カナダ)
ジョニー・ウォーカー(ブラジル)

<バンタム級/5分3R>
アレハンドロ・ペレス(メキシコ)
コディ・スタマン(米国)

<ウェルター級/5分3R>
ディエゴ・サンチェス(米国)
ミッキー・ガル(米国)

<ミドル級/5分3R>
チャールズ・バード(米国)
エドマン・シャバジアン(米国)

<女子バンタム級/5分3R>
ジナ・マザニー(米国)
メイシー・チアソン(米国)

<女子ストロー級/5分3R>
ポリアナ・ヴィアナ(ブラジル)
ハナ・シファーズ(米国)

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