【Special】挑戦、Evolve MMAトライアウト─05─手塚裕之「やってきたことがトライアウトに繋がった」
【写真】フィニッシュする気持ちを5日間のトライアウトにぶつける手塚。英会話能力も武器となるか (C) MMAPLANET
8月29日(水・現地時間)、Evolve MMAが発表したトライアウトがついに9日(金・同)からシンガポールで始まる。
イヴォルブMMAでは、15日までのトライアウトで合格したファイターは3年契約で年棒年俸48000ドル(約530万円)、住居の提供、マネージメントによるキャリアップとスポンサーの獲得のサポートを受け、イヴォルブMMAでのトーニングが約束される。
書類審査を通った70名のファイターから、20名という枠に残るのは誰になるのか。MMAPLANETでは日本か参加する7名のファイターの意気込みをトライアウト開始までお伝えする。
Evolve MMAトライアウト・チャレンジ企画、第5弾はパンクラスで活躍中の手塚裕之──意外なMMAとのなり染めとともに彼のトライアウトに賭ける気持ちをお届けしたい。
──手塚選手は今年1月のONEウォリアー・シリーズのトライアウトも受けられてしました。海外に出て戦うチャンスを虎視眈々と狙っているという感じなのでしょうか。
「現役生活は長くはないと思っているので、どうせやるのでは大きいところでやりたいという気持ちは強いです。自分が試合をする以上は、多くの人に見てもらいたいですし。KOを狙うスタイルは大きな舞台でも必要とされるというか……そこは自分でも自信を持っているので。そうはいっても1月のトライアウトは落ちてしまったのですが(笑)」
──ウォリアー・シリーズの時はグライコ・フランサ戦、今回も12月9日に村山暁洋戦が迫っているなかでのトライアウト参加になります。
「逆に緊張感を持って練習に臨めるという感じで、試合に向けても良い状況だと捉えています。トライアウト自体も、それほど構えていなくて試合に向けて良い練習になるというぐらいでいます」
──それでも合否があるので、一度気持ちが落ちるということはなかったですか。
「ウォリアー・シリーズの時はそこまでなかったです。評価するのは第3者なので。逆に『なんで、俺を取らないんだろう』という気持ちでいました(笑)」
──確かにあの時は自分を見てもらう時間が非常に少なかったです。どうやって判断するのだろうというぐらい。
「自分もそう思いました(笑)。ミット打ちとシチュエーション・スパーだけだったので。だから、これで選ばれなくてもしょうがないかなという気持ちにはなりました」
──対して、今回は5日間のトライアウトがあります。
「今回も何を試されるのか予想はつかないのですが、チームの一員になるトライアウトなので性格的な部分とかも、見られるのではないかと思っています。馴染めるのかなど、そういう面もスキルと同時に1週間で見てもらうのは良いですね。ちゃんと見て判断してもらえそうで」
──手塚選手は英語が話せることはアドバンテージになると考えていますか。
「そこはアドバンテージだと捉えています。米国でもポートランドにあるグレイシーバッハへプロデビューしてから、毎年6月年に1カ月ほど練習に行き、英語でコミュニケーションが取れて仲間もできています。そういう面でも自信を持っています」
──そうやって出稽古をするなかで、英語を身に付けたのですか。
「自分は農業の研修生としてオレゴン州のポートランド近郊で2年ほど働いていて、向うでMMAを始めたんです。チェール・ソネンが開いているアマMMAを5戦ほど経験し、その試合映像をパンクラスに送ってプロで戦えるようになったんです」
──そうだったのですか!! 日本で格闘技経験はあったのですか。
「大学の時に2年ほどチーム・ドラゴンでキックボクシングをやり、新空手で1敗1分というぐらいで……本気でやっているわけではなかったです」
──農業の研修で米国にいたということですが、今も続けられているのでしょうか。
「ハイ。実家が米の農家なので、米を作って格闘技をやっている形です」
──海外のジムに所属となると、ご実家も人手を失うことになりますが……。
「そこは『お前の人生なので、思い切りやってこい』という感じです。僕がいなくなっても従業員を雇って農業は続けられるので、応援してもらっています」
──では100パーセント集中できますね。
「ハイ。試合をしていても先が見えていない状況なので、これまでやってきたことが、このトライアウトに繋がっていたんだと思いました。まだ受かったわけじゃないのですか(笑)。
実は書類審査も合否がなかなか分からなかったので、『結果を教えてください』と催促の連絡をしたんですよ。落とされるなら、書類審査で落としてくれと思っていました。試合映像と紙で落とされるのなら、それでしょうがないので」
──ではしっかりと見てもらえる5日間のトライアウトはなんとしてもモノにしたいですね。
「ハイ。自分の一番の売りはフィニッシュすることです。その能力と気持ちで試合に臨んでいます。そことフィジカルの強さ、何年も積み上げて来たものを全部出して合格したいです」