【DEEP86】新フェザー級王者・弥益ドミネーター聡志─01─「ドミネーターの片鱗見せられた」
【写真】前回の試合で弥益が多用したサッカーボールキック。この局面で芦田に当たる精神的な作用は大きかったか(C)MMAPLANET
27日(土)に東京都大田区の大田区総合体育館で開催されたDEEP86レビュー。第1弾はDEEPフェザー級選手権試合の試合レポートと、新チャンピオン弥益ドミネーター聡志の試合後の談話をお届けしたい。
<DEEPフェザー級選手権試合/5分3R>
弥益ドミネーター聡志(日本)
Def.5-0:30-27. 30-27. 30-27. 30-27.29-28
芦田崇宏(日本)
やや遠目のレンジを保つ両者、芦田が蹴りでタイミングを計ると弥益が飛びヒザから着地してパンチを打ち込む。さらにレンジの外に立ち、距離を詰めようとする弥益はセコンドの「近い」という指示に一旦離れてから前に出る。右を伸ばす弥益に対し、芦田は右ロー、そして右ハイを繰り出す。両手を高く上げて、チャンピオンを挑発するチャレンジャー。
芦田は近い距離になると思い切り右オーバーハンドを繰り出す。前傾姿勢で強振する芦田は右を被弾してテイクダウン狙いも、ヒザを入れられ、切られたところでがぶられる。パンチを入れて起き上がると、すぐにサッカーボールキックを弥益が蹴っていく。
それでも、そのまま組み付いた芦田をがぶった弥益が、起き上がってまたもサッカーボールキックへ。後方にのけ反るようにガードを取った芦田がクローズドガードを取らされる。ここは弥益がトップコントロールに徹すると、残り1分を切ってレフェリーがブレイクを命じて試合がスタンドに戻った。荒めの左フックを繰り出した芦田は、上体を揺らすようなパンチを見せ、姿勢を崩したところで弥益がバックに回り、バックマウントを奪う。弥益はパンチを振り落し、初回をリードした。
2Rも遠い距離で足を使い、中央で腰に手をやって待つ芦田を挑発する弥益が飛び込んで右を放っていく。芦田はダブルレッグからバックを伺い、前方に弥益を送る。崩れた弥益がガードを取ると、芦田がパウンドを落とす。上体を起こしてシングルに出た弥益は。そのまま芦田をケージに押し込むと、両足を束ねて頭を芦田の顔の下に押し付ける。上を取って起き上がった弥益はここもサッカーボールキック。
低い姿勢で飛び込んだ芦田は、体が伸びてしまい再びバックを許す。両足をフックされた芦田は、後方にエルボーを打ちつける。芦田を引きずるようにケージ際に移動した弥益は、シングルに来たところでアームロック気味に捉え背中をマットにつかせる。
エルボーを落とす弥益は両足を束ねた状態から起き上がって、勢いのあるパンチを落とそうとする。腰に手をまわした芦田が、立ち上がった弥益にシングルを決めてリバーサルに成功。強いパウンドを入れてタイムアップ、ポイント的には失っているが反撃する力が残っていることを示し、最終回を迎えることとなった。
ケージを切ってパンチを放った弥益。芦田は距離を詰めてフックの連打へ。離れた弥益が右を当てると、右を大振りした芦田がバランスを崩す。すかさずトップを取った弥益は、ガードの中からパンチを落とし、腰をコントロールしまたも両足を四の字フックで束ねる。さらに左手首を引き寄せて芦田に背中をつかせに掛かる。
下からパンチこそ繰り出すが、立ち上がることができない芦田はハーフで抑えられ肩固めを狙われる。ここで芦田が意地のブリッジでリバーサルに成功する。残り時間1分、ガードの中からパンチを落とすチャンピオンの頭を弥益は引き寄せる。
起き上がって腹を踏みつけようとした芦田は、そのままの勢いでパスを狙うが起き上がった弥益がバックに回り込む。弥益も前方に振り落され、アームロックの形で立ち上がる。このまま巻き込み上を取った弥益は、タイムアップと同時に右手を挙げて勝利をアピール。直後に大の字になり勝利を確信していた。
結果、5-0で新チャンピオンとなった弥益の試合後の共同インタビューは以下の通りだ(※要約)。
■「芦田選手は前の試合の結果がちらついているというか、こっちの動きによく反応していた」
──ベルト奪取、おめでとうございます。
「ありがとうございます。疲れました」
──今の気持ちを教えてください。
「ハイ、完全に想定外というか……自分のイメージでは1Rの中盤ぐらいで、自分のトリッキーなスタイルで仕留められるかなと。仕留めないと厳しいいう気持ちがあったのですが、逆に自分としては初めて色々やった試合になりました。自分でもやったことがないというか、試合で出したことがないことが初めでできたので、自信にもなりました。また強くなれているという気付きがありました」
──試合で見せたことがない動きとは?
「言ってしまうと途中でつまらない展開になってしまったかもしれないですが、グラウンドになって上で固めるというか、いわゆるドミネイトと言いますか……。ドミネーターという名前がついている割には、今までそういう試合をしたことがなかったので、今回はその片鱗を見せられたのかと思っています」
──再戦ということで、芦田選手も「やり返したい」という発言がありました。肌を合わせてその辺りはいかがでしたか。
「自分の感覚ですけど、芦田選手は前の試合の結果がちらついているというか、こっちの動きによく反応していたので、そこはやりやすかったです。ちょっとしたフェイントでもビビって反応してくれたのは、前回のあの勝ち方があったからではないかと」
────遠い距離から打撃を入れるというだけでなく、接近戦でも打ち合いになった。そこで芦田選手がテイクダウンを狙ってきたその時、どのような気持ちになりましたか。
「本当は遠い距離でやるべきだったのが、自分も打ち気になってしまい、何回か近い距離で打ち合いになりました。そこで芦田選手はやはり前の試合が影響しているのか、こちらを見ないで左右のフックを振るという感じでした。ビビッてくれているのはあったので、もっと冷静にアッパーを入れたりすれば良かったです」
<以下、続く>