【ONE78】キンガド戦へ、若松佑弥─02─「ここで勝つ。そしてチャンピオンになる。それが宿命」
【写真】友を亡くした宿命──チャンピオンになる運命に従うために、若松は自分を苛め抜くことができる(C)MMAPLAET
22日(土・現地時間)にインドネシアはジャカルタのジャカルタ・コンベンションセンターで開催されるONE78「Conquest of Heroes」でダニー・キンガドと戦う若松佑弥インタビュー後編。
J-MMA界の若手のホープが、ONE参戦を決めた。そんな若松の1日をAmeba TVが制作するドキュメンタリー番組= ONE DAY が追った。MMAPLANETではキンガド戦に向け、MMAに特化したインタビューを活字でお届けしたい。
折しも来年の3月31日に東京大会が決まり、若松は両国国技館でのタイトル挑戦という野望を抱いている。そして夏の終わりに逝った友を思えばこそ、キンガド戦の勝利もONEでチャンピオンになることも宿命だと不敵な笑みを浮かべて、若松は話した。
<若松佑弥インタビューPart.01はコチラから>
──穴がある粗さですら、武器になっているような気もします。
「そうですね。小原さんがフィリピン人と対戦した時に、手が一つ、二つ伸びて来る。体の作りが日本人とは違うと聞いていたので、そこは警戒しています。日本人選手だとそれだけ突っ込むとバランスを崩してしまうところを、彼らはフィジカルが強いので戻せるんだと思います」
──その点も踏まえて、最も警戒が必要な点はどこになりますか。
「一番は勢い……プレッシャーに負けて、後手になるのは怖いです」
──その勢いのなかでテイクダウンも織り交ぜてくるのが、キンガドらラカイの新しい世代の特徴でもあります。
「そこも後手に回るとケージに詰められ組まれてしまうので、自分から攻めて相手を下がらせるぐらいでないとダメだと思います」
──7月のマニラ大会を現地で視察しました。あの時、ONEの会場の雰囲気はどのように感じられましたか。
「前座の試合でも凄く盛り上がっていましたね。特に地元の選手でなくても、パンチが当たれば盛り上がっていて。それはフィリピン人選手の相手でもそうなので、ジャカルタもそうだったら良いですね。
自分のパンチが当たって会場が盛り上がると、ソレはやはり嬉しいので。そこは日本と違って、一体となって盛り上がっているように思いました。あと綺麗でしたね」
──綺麗?
「演出とか、豪快で。あの雰囲気に一体化してしまうと、盛り上がり過ぎてしまうので、そこは気を付けないといけないです」
──これは同じ日にONEデビュー戦を戦う松嶋こよみ選手も言われていましたし、韓国のROAD FCで戦う選手達も客の勢いに乗せられてアグレッシブになり過ぎると経験談として話してくれたことがあります。
「僕自身、タイトルマッチの時は飛んでしまっていたので、そこは怖いです。だからこそ普段から冷静でいることを心掛けてきたので、そこが生きれば良いなと思っています」
──初めて海外で戦うことで、注意している点はありますか。
「会場の雰囲気に呑まれないことと、5日前に現地に入るので水とかで体調を崩さないようにしたいです。あと、計量方法が違うのでそこもですね。ただ、ONEに出て来た選手にも減量方法を教えてもらっていますし、普段よりも早く体重を落としてきたので、そこは大丈夫かと」
──56キロまで落とす必要がなく、61キロで戦うことに関して、体調面などで違いはありますか。
「水抜きを61キロぐらいからやっていたので、ストレスなく自分が一番動ける体でいられます。逆にこれまでより体調は良くなるかと。水抜きをしなくて良いのは、本当に気持ちも楽です。特に初めての海外での試合ですし」
──計量と同様にONEルールは初めてです。
「グラウンドでヒザがあることは、結構大きな違いだと思います。ストライカーとしては有利なんじゃないかと。あと垂直にエルボーを落として良いことも、ですね」
──技術面としてダブルレッグよりシングル、そしてクリンチが多くなってくると思います。
「そこも自分には都合が良いです。組んできても、垂直のヒジを落としたり……。例えばシングルレッグに対して、もう片方の足でヒザ蹴りができます。これまではしっかりと切ってがぶらないといけなかったのが、そういう防御が省けて有利じゃないかと。
後頭部以外はヒジを落とせるので、頭のてっぺんにもエルボーを落としてやろうと思います」
──そんなダニー・キンガド戦を乗り越えてからの話ですが、3月の日本大会を意識することはありますか。
「タイミングや相手とかも僕のためにあるんじゃいかと……ここを勝って、もう1回挟むか分からないですけど、もう1人強いのが来ても良いですし。そこも勝って3月にタイトルマッチを戦いたいです」
──東京でイベントがあることも、若松選手のモチベーションになっている?
「ハイ。だから、次は何が何でも勝たないとダメです」
──夏の終わりは秋葉尉頼選手が交通事故で亡くなったことが、より胸に去来する時期かと思われます。
「普段から写真とか見て、頑張らないといけないと思っているのですが、今年は三回忌の法要がタイミング的にこの試合と重なっていましたし、やはり何か意味はあるんじゃないかと感じます。
変な言い方になってしまいますが、秋葉が亡くなったから僕は変わった。アレがあって……今回の試合があり、ここで勝つ。そしてチャンピオンになる。それが宿命じゃないかと」
──くさい言い方ですが、悲しい出来事を若松選手は良い方向で消化することが一番だと。
「あんなことは無かった方が良かったです。でも起こってしまった。だから、僕は頑張らないといけない。アレがなかったら、こんな風にも思っていないし、格闘技も続けていたかも分からないです。
でも全部決まって……僕がONEに出て、勝って、チャンピオンになるのは決まっていることだと思っています。運命です……だから、この試合は勝ちます(微笑)」
──若松選手は決め台詞の時、不敵な笑みを浮かべますね。
「いや、本当にくさいんですけど、本気でそう思っているので。ちょっと笑けてきました」
■ONE78対戦カード
<ONE世界ストロー級選手権試合(※56.7キロ)/5分5R>
[王者]内藤のび太(日本)
[挑戦者]ジョシュア・パシオ(フィリピン)
<ストロー級(※56.7キロ)/5分3R>
ステファー・ラハルディアン(インドネシア)
パン・シュエウェン(中国)
<キックボクシング・フライ級/3分3R>
セルジオ・ヴィールセン(オランダ)
ロッタン・ジットムアンノン(タイ)
<フライ級(※61.2キロ)/5分3R>
若松佑弥(日本)
ダニー・キンガド(フィリピン)
<フェザー級(※70.3キロ)/5分3R>
松嶋こよみ(日本)
マラット・ガフロフ(ロシア)
<ライト級(※77.1キロ)/5分3R>
ザイード・フセイン・アサラネリエフ(トルコ)
ティモフィ・ナシューヒン(ロシア)
<フライ級(※61.2キロ)/5分3R>
カイラット・アクメトフ(カザフスタン)
マ・ハオビン(中国)
<女子アトム級(※52.2キロ)/5分3R>
プリシーラ・ガオール(インドネシア)
ジョマリー・トーレス(フィリピン)
<バンタム級(※65.8キロ)/5分3R>
ヴィクトリオ・センドゥク(インドネシア)
スノト(インドネシア)
<ストロー級(※56.7キロ)/5分3R>
アドリアン・マテイス(インドネシア)
アンジェロ・ビモアジ(インドネシア)
<ストロー級(※56.7キロ)/5分3R>
リスキー・ウマール(インドネシア)
エギー・ロステン(インドネシア)