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【ALL JAPAN JJC】黒帯ルースター級7連覇へ、芝本幸司「新鮮な全日本選手権。今の自分を超えられるか」

Shibamoto【写真】ここまできて、自らを見つめ直すことができる。その勇気が素晴らしい芝本だ (C)TSUBASA ITO

8月5日(日)、東京都大田区にある大田区総合体育館で開催される「第19回全日本ブラジリアン柔術選手権」で7連覇を掛けて黒帯ルースター級に芝本幸司が出場する。

MMAPLANETでは、さおり夫人と夫婦柔術家として両者のインタビューを掲載したが、改めて芝本個人──日本のトップ柔術家として先のムンジアルを振り返ってもらい、全日本選手権に賭ける意気込みを尋ねた。

ムンジアル・ベスト8の壁を破る変化、芝本のチャンレジが始まる。
Text by Tsubasa Ito


――まずムンジアルの話から伺わせてください。初戦は幸先よく一本勝ちを収めましたが、続く準々決勝ではヨーロピアン選手権に続いてイアゴ・ガマ選手に敗れました。

「勝てるだけの実力がなかったというだけですね。というくらい調子も悪くなかったですし、準備もしっかりした上で負けたので、ただ私が弱かっただけです」

――ヨーロピアン後は「組み合って負ける相手とは思えなかった」とガマ選手の印象を振り返っていました。今回戦ってみて、前回と違った点はありましたか。

(C)SATOSHI NARITA

(C)SATOSHI NARITA

「特にないですね。組んだ感じでは、やっぱり負ける気がしなかったです。なのに、また私が負けた。2回戦って2回負けているので、僅差ではないですよね。いつも言うように1勝1敗なら僅差なんですけど、勝っても負けてもおかしくないと感じながらも負けてばかりですから、自分が思っている以上に差はあるんでしょうね。

その差というのが、技術、体力とは違うところなのかもしれないなとは感じます。メンタルや戦略、そういった部分を次の1年で見つけていかなければいけないかなと思っています」

――対ガマ選手用の対策は立てていたのでしょうか。

「いえ、ないですね。相手に対しての対策というよりは、自分のベストパフォーマンスをいかに出せるかに集中していました」

――それでも届かなかったと。

「ですから、ベストを出すために集中したからと言って、本当にベストを出せるとは限らないということですね。私の場合はずっとベスト8ですから、どうしてもベスト8という心理的な壁があるのかもしれないですし。

もちろん、きっちり目の前の試合に集中できたんですけど、その上で自分がどこまでリスクを冒せたか。思い切っていけたかと振り返ると、もっとできたんじゃないのかなとは思います」

――優勝したブルーノ・マルファシーニ選手は、MMAに専念するため競技柔術からの引退を表明しました。

「試合が終わった後、彼がマットに帯を置いて去っていったあの光景を見た時に、それが本当に引退を意味しているのかはわからなかったんですけど、本当に引退してしまうと受け止めた時に、自分の中で思った以上にショックが大きかったです」

――ショックというのは、戦って勝ちたかったという意味で、ですか。

「目標にしていた相手がいなくなってしまったというところですよね。自分は甘えていたなとちょっと感じました。要するに、彼が負けるまでは引退しないだろう、自分が勝つまで挑戦し続けられる存在だろうと勝手に思っていたんです。でも、彼は最強のまま去っていった。追いついて追い越せるように、もっと必死にならなければダメだったなと感じました」

――うがった見方をすると、絶対王者がいなくなるわけですから、今後チャンスが増えるのではないかと思います。

「たとえば今回のトーナメントでも、カイオ・テハが不在で決勝まで行きやすいブロックに私はいたわけです。それで行けていないわけですから、『優勝しやすくなる、やった』にはならないですね。それ以上に、次のチャンピオンに誰がなるのかが重要だと思います。そこに自分が食い込めるか否か。来年はいよいよ本当に勝負の年になると思います」

――8月の全日本選手権から勝負の1年が始まります。同門の澤田伸大選手もエントリーしていますが、アダルト黒帯ルースター級のメンバーの印象は。

「渡辺翔平選手と物河祐亮選手は、黒帯ルースターでエントリーしたのが初めてなんですよね。これは楽しみです。久しぶりに新鮮な全日本選手権になりますね」

――全日本に向けて、どのようなテーマを持って練習していますか。

「どれだけ積極的に試合に向き合えるかだと思います。世界選手権で負けた試合の動画を見ると、自分の動きが少ないんですよね。なぜ、ここで止まっているんだろうと思う場面もあったので、そこを打開していきたいです。今までも練習ではできているつもりでしたから、試合でもアグレッシブに攻めていかないといけないなと思っています」

――アグレッシブに攻められなかったのは、今年のムンジアル限定のお話ですか。

「今までの私の試合スタイルがそうでしたね。もうさすがに変えないといけないかなと思います。このまま同じことをやっても結果は変わらないかなと感じるので」

――その点は練習から意識されているのでしょうか。

「そうですね。練習で良い動きができたなと感じた時に、試合でも同じ動きができたかな?と振り返るようにはしています。結局は練習なので、失敗しても良いかなとか、取られても良いかなとか、劣勢だからイチかバチか試してみようかな、というようなことがあるんです。そういう気持ちって試合とはちょっと違う感覚ですよね。

でも、それを試合で出したいんです。そういったことを次の試合で実際にトライできるのかが、今の自分を超えられるかどうかのひとつの目安だと思っています」

――全日本がますます楽しみになりました。

「とにかく、チャレンジしたいと思っています。どちらかというと、今までは相手の動きを待つようなスタイルでやってきたので、今回は自分から試合の展開を積極的に作っていくことをテーマにしたいですね。もちろん、その上で勝つことを意識していきます」

――今大会は7連覇がかかりますが、記録は意識しませんか。

「嬉しいですよ、去年まで6連覇していることは。でも、今は振り返らないようにしています。やっている最中に言うことではないなと思うので。引退した時に、できるだけ大きい数字を言えたら幸せだなと思います」

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