【GI West Japan】指導者とマスター競技柔術、金古一朗─01─「生徒さんと一緒に成長できる楽しみ」
道場生の上達こそが、柔術家・金古の喜びとなっている(c) ICHIRO KANEKO
6月3日(日)、大阪府豊中市の豊中市立武道館ひびきで日本ブラジリアン柔術連盟(JBJJF)公認IF-PROJECT主催の「GroundImpact West JAPAN 2018」が開催される。同大会のマスター1黒帯ライトフェザー級に出場するとともに、大会終了後にセミナーも開催する金古一朗に話を聞いた。
Text by Tsubasa Ito
――まずは、Ground Impact West JAPAN 2018出場を決めた経緯を教えてください。
「大会終了後にセミナーをやってくれませんかという依頼を受けたんです。せっかくなので、試合も出ようかなということですね」
――本来の年齢カテゴリーであるマスター3ではなく、マスター1にエントリーしましたね。
「どの年代にどんな選手がいるのかという関西の柔術事情があまり分からなかったので、マスター1でエントリーしておけばマスター2やマスター3の選手とも試合ができるんじゃないかという理由です」
――Ground Impact 2015を最後にアダルト部門から退いた金古選手ですが、マスターに主戦場を移して以降はどのくらいのペースで試合に出場しているのですか。
「去年は全日本マスターとGround Impact Eastの2試合ですね。全日本マスターは毎年出ようと決めています。今年も2月の全日本マスターに続いて今回が2大会目なんですけど、基本的には毎年、そのくらいのペースでいければなと考えています」
――マスター部門に出場を続けるモチベーションはどのあたりにありますか。
「他のマスターでやられている方と同じかもしれないですね。試合があったほうが人生に張りが出るとか、練習に身が入るとか。あとは道場のみんなで出て盛り上がりたいとか、生徒さんに自分の試合を見てもらいたいとか。
全日本マスターだけは毎年出ようと思っているので、今後もそこに照準を合わせてコンディションを整えていこうと思っています」
――ではトーナメント終了後のセミナーはどのような内容を考えていられますか。
「まだ決定ではないですけど、2部構成で前半がスパイダーガード、後半はトップからの攻めをやろうかなと思っています。5月中にスパイダーガードの新しい教則(「アルティメットスパイダーガード」)を出す予定なので、それに合わせた内容のものをいくつかピックアップしてという感じですね。
関東近郊ではスパイダーガードのセミナーを何回かやっているんですけど、大阪でセミナーをするのは5年ぶりなので、得意分野をやらせてもらおうかなと思っています」
――2015年にシュラプネル柔術アカデミーを起ち上げましたが、指導をする上で心がけていることはありますか。
「手順を覚えさせるような単純な指導にならないように、必然性みたいなものは常に説いています。なぜここを持たなければいけないのかとか、ここを持ってしまうとどうなってしまうのかなど。そのポジションにおける攻防の流れや意味を含めて理解してもらいたいということを念頭に置いて、指導しています」
――確かに流れや意味を理解したほうが飲み込みも早そうですね。
「意味を理解すると、自分で考えられるようになってきます。僕の教えた手順が唯一の道かといえば、そういうことでもないので。ただ、そこにある原理原則を理解していないとアレンジを加えようがないんです。仮にアレンジを加えても、間違ったアレンジになってしまうので。原理原則を理解した上であれば、また違ったいいものができると思うんですよね」
――指導者としての遣り甲斐や面白さを、どのような部分で感じていますか。
「技をレクチャーする時に、まあここはいいかと手順を省いて教えたりすると、そこで生徒さんが躓くことがあるんです。かといって説明が細々しすぎると、今度はダレてしまう。そういったサジ加減を考えながら指導して、できなかった技が、会員さんが習得できるようになっていくのを見るのは凄く楽しいですね。
時として、僕がそこまで得意ではない技を教えなければいけない場面もあるんですけど、1回目に教えた時と比べて3回目に教えた時のほうが皆が上手くできたりすると、生徒さんの成長にもつながりますし、指導者としても成長できているのかなと感じます。一緒に成長できる楽しみはすごくありますね」
――ご自身の練習スケジュールは?
「昼間に週3回ですね。そのうちスパーリングは3日全てで、打ち込みは2日です。あと1日くらいやりたいなという気持ちは正直あるんですけど、疲れで夜の指導に影響が出ると困るので、しょうがないかなと。と言いつつウエイトトレーニングも週1日やっているので、そこそこのペースかなと思っているんですけど」
<この項、続く>