【GI West Japan】韓国から参戦、クォン・サンファン「目標は私と生徒たちのワールドマスターズ優勝です」
【写真】ムンジアルウィークにも国内でトーナメントが開かれ、クォン・サンファンのように韓国からの出場が多く見られる。柔術の世界的伝播が確認される週末だ (C)JBJJF
3日(日)、大阪府豊中市の豊中市立武道館ひびきで日本ブラジリアン柔術連盟(JBJJF)公認IF-PROJECT主催の「GroundImpact West JAPAN 2018」が開催される。
同大会には韓国勢も数多く参戦するが、その中にはマスター1黒帯ヘビー級と同オープンクラスに出場するクォン・サンファンも含まれている。
韓国国内のみならず、海外でも精力的に試合出場を続けるサンファンは、2012年にイ・ジョンウが代表を務めるデラヒーバコリア安山アカデミーの支部長に就任している。韓国の柔術事情を中心に話を聞いた。
Text by Tsubasa Ito
――Ground Impact West JAPAN 2018への出場を決めた経緯から教えてください。
「Grund Impactはプロ柔術も開催され、韓国でも有名です。たくさんのレジェンドファイターたちの試合を見て、ぜひGround Impactの冠大会に私も参加したいと思っていました。そして今回、多くの生徒たちと一緒に参戦します。大阪でいい思い出をつくりたい気持ちで出場を決めました」
――大会ではどのような戦いを見せたいですか。
「私は重量級で試合をしていますが、軽量級選手たちの動きやファイトスタイルを目指しています。単純に勝てる試合より、楽しくて記憶に残るような試合をしたいです。また、一緒に参加する生徒たちの試合も楽しみです。指導者としての自分がちゃんと教えられているのか、足りないものは何なのかを確認したいです」
――サンファン選手は過去にも、アジア選手権など日本の大会に数多く出場していますね。
「毎年1、2回海外試合をしています。試合の準備で減量やハードなトレーニングをしながら、試合向けの体を保とうとしています。そして試合でこそ分かる、自分の足りないところを埋めていきたいからです。ほとんど韓国や日本ですが、ラスベガスで開催されるワールドマスターズにも参加する予定です」
――現時点で最後の試合は?
「昨年のアジア選手権です。マスター1ヘビー級で準優勝でした」
――今大会前後に日本のアカデミーへ出稽古に行く予定はありますか。
「まだ決定ではありませんが、ぜひ行きたいと思っています。出稽古に参加し、柔術家たちの柔術の哲学や心得を学びたいです」
――日本と韓国の柔術の違いはどのあたりにありますか。
「日本の柔術家たちは自分の得意技や確実なファイトスタイルがあって、すごく強いと思います。韓国選手たちは1つの得意技よりもすべての状況に対するトレーニングやフィジカルトレーニングをする割合が多いので、身体的に強いと思います」
――韓国の現在の柔術事情を教えてください。
「韓国は約15年前から柔術が広まり始めました。この2~3年前から柔術のアカデミーや競技人口も爆発的に増えました。私の道場は現在、大人、子どもを合わせて約100人の生徒が在籍しています。大会も私が青帯時代には3ヵ月に1回でしたが、今は1ヵ月に4~5回開催されるようになりました」
――サンファン選手はデラヒーバコリア安山アカデミーの支部長を務めていますが、指導をする上で心がけていることは?
「誰でも優しく楽しめること、また、柔術もできるようなライフスタイルを指導しています」
――日本と比較して、韓国の柔術環境やレベルはいかがでしょうか。
「柔術環境はすごくいいと思います。素晴らしいインストラクターも、選手たちも多くなって世界大会も挑戦できるようになりました。いつかはアメリカやブラジルの試合でも活躍する日が来ると思います」
――柔術を始めるきっかけや、現在に至るまでの経歴を簡単に教えてください。
「強くなるために柔術を始めました。実績は全日本選手権紫帯銀メダル、アジア選手権アダルト紫帯金メダル、銅メダル、茶帯銀メダル、マスター黒帯銀メダルなどです」
――国内、外国を問わず影響を受けた柔術家はいますか。
「デラヒーバコリアの代表イ・ジョンウ先生です。いつもポジティブでマット上での姿はもちろん、マットの外でも尊敬できる方なので先生を見習いたいです」
――現在の目標や夢を教えてください。
「目標は私と生徒たちのワールドマスターズ優勝です。また、弟子たちにイ・ジョンウ先生から教えていただいた技と、ポジティブな心と行動を伝えたいです。夢は3つです。1つ、私の家族、もし孫ができたとしたら孫と同じマットで柔術をすること。2つ、10名以上の黒帯の生徒を養成すること。3つ、死ぬまで生徒たちを指導し、一緒に柔術をすることです」
――ブラジルや米国など、世界トップレベルとの差はどのあたりに感じますか。
「自分が世界トップを語るにはまだ早いと思いますが、ワールドマスターズをはじめ、世界向けの試合をたくさん経験し、経験を活かして今の自分より強くなってその差を少しでも埋めていきたいと思います。また、生徒たちを韓国人初の世界メダリストにするのが夢でもあります」