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【ONE70】のび太が挑戦、ONE世界ストロー級王者アレックス・シウバ─01─「罠を仕掛けたわけじゃない」

Alex Silva【写真】打撃ができる柔術家=ウェルラウンダー、ONE世界ストロー級王者アレックス・シウバ (C)MMAPLANET

12日(土・現地時間)、インドネシアはジャカルタのジャカルタ・コンベンションセンターでONE70「Grit and Glory」が開催され、アレックス・シウバが内藤のび太の挑戦を受けるONE世界ストロー級王座初防衛戦に臨む。

昨年12月に内藤を破ったシウバは、試合前のインタビューで「寝技勝負」を宣言していた。にも関わらずスタンド主体で戦い、ベルトを手にしたシウバ。彼はなぜ打撃勝負を挑んだのか、「決して騙そうと思ったわけじゃない」と言い、その理由と話してくれた。


──まず、昨年12月にのび太選手に勝利した試合について聞かせてください。前回の試合前にシンガポールでインタビューをさせてもらった時にアレックスは「グラップリングウォーになる」と言っていたのが、試合では見事に打撃戦でイニシアチブを取りました。

Nobita vs Silva「驚いたかい?(笑)。でも、インタビューで罠を仕掛けたということじゃないんだ。僕は柔術家だし、グラウンドが庭だ。と同時に試合に勝つために、打撃の練習も積んできた。何よりも、あの時は試合の10日ほど前から1週間前にかけて体調を崩してしまったことが打撃戦になった一番の要因なんだ。

なにかに当たったのか、熱が出て吐いてしまって。病院に行って試合をキャンセルすることまで考えたこともあった。結局、試合の5日前までベッドに寝て安静にしていたぐらいで」

──そのような状況だったとは……。

「だから、どうしてもスタミナに不安があった。試合まで練習もできなかったし、あの状況でベストな戦い方は何かを考える必要があったんだ。そして、試合が始まって打撃を出してみたら、凄く戦いやすかった。だから、まずは打撃を主体に戦うことにしたんだよ。

バンコクという場所柄、ファンは打撃を好むし彼らの声援は僕の後押しをすることになる。あの場面では打撃を見せて、難しかったら寝技の展開に持ちこもうと試合が始まってから決めたよ」

──打撃戦の方がスタミナをセーブできたのでしょうか。

「う~ん、どうだろう。もう試合が始まると、ただ自分ができることをやろうと思っていたし、スタミナのことを考えるより、とにかくベストを尽くそうとしていた。スタミナも大切だけど、自分の力を出すこと……技術的には寝技ではトップになろうが、下になろうが自信はある。だから、打撃戦を楽しんでいたという風にも捉えることができるね。僕の打撃は皆が思っている以上のレベルにあるから」

──確かにその言葉通りでした。結果的に打撃で試合を優勢に進め、柔術でピンチを凌ぎベルトを手にすることができました。

「ケージでは自分の全てを使い切る。僕の人生は柔術とともにあった。あらゆるポジショニングを確認してきた。ナイトウが最後にグラップリング勝負に来ても、彼ができるのはコントールまで。絶対にサブミッションを取ることはできない。そういう意味では、ナイトウの最後の勝負はミステイクといえるね。

もちろんコントロールされる時間が長くなればサブミットされる確率も上がって来る。でも、彼がバックコントロールできたのは5Rで2度だけだし、それでは僕を極めることはできないよ。コントロール自体も時間は短かったし、全く問題なかった」

──打撃であれだけ攻めるアレックスを見たのも初めてですが、同時に寝技や組み技での防御能力の高さも初めて試合で見ることができました。

Silva vs Nobita「これまで打撃系の相手と戦い、寝技で攻められることはなかったからね。でもイヴォルブMMAではレアンドロ・イッサのようなビーストと柔術の練習をしているから、試合になってもグラウンドならどんな状況になろうと平気さ。

だから、2度目のナイトウとの試合では最初から寝技勝負になるかもしれない。それでも、全く問題ないからね。今度こそ僕のグラップリング・スキルを披露するよ。信じて欲しい」

──今やウェルラウンダーであることは示されましたから、のび太選手もグラップリングだけでなく、スタンドも十分に警戒する。それが前回の試合と違う点ですね。

「だからこそ臨機応変に戦う必要があるんだ。一つの作戦を練りに練ってきても、そういう風に試合が進むとは限らない。そんな作戦を立てるよりも、どんな状況になっても戦えるよう準備している方が大切になってくる。ケージの中でナイトウと向かいあい、試合が動きだしてから彼が僕にどのような攻める機会を与えてくれるか。

それが打撃なら打撃で戦うし、テイクダウンならテイクダウンを狙う。ナイトウがテイクダウンを仕掛けて来るなら、それを切る。相手の出方で戦い方はアジャストしないとね」

<この項、続く

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