【UFN132】シンガポールは死地か。夜叉坊、とてつもないロシア=ACBの実力者ピョートル・ヤン戦が決定
【写真】ピョートル・ヤンはトップ5クラスの強さを持つ──とんでもない相手だ(C) ACB
4日(金)、UFC JAPANより6月23日(土・現地時間)にシンガポールはカランのシンガポール・インドアスタジアムで開催されるUFC Fight Night 132「Cowboy vs Edwards」で阿部大治がリー・ジンリャンのウェルター級戦とともに、石原夜叉坊×ピョートル・ヤンのバンタム級戦が組まれることが発表された。
絶対の自信を持って挑んだホセ・キニョネス戦を落としてから4カ月、夜叉坊はキャリア最強のその上を行くようなロシアンと戦うことが決まった。この日、発表された阿部×リー・ジンリャン戦を始め、日本人には常にタフな試合が用意される世界最高峰の場だが、ピョートル・ヤンはタフさの格が違う。
ヤンの戦績は8勝1敗と10試合にも満たない。しかし、あのACBバンタム級王座を返上してのUFCとの契約だ。同じACBからフェザー級王者を経てUFCにオクタゴン参戦を決めたザビット・マゴメドシャリポフの強さを見れば、ACBをフォローしていないファンにも、十分にロシアの超実力派イベントの王者が持つ力の程は想像できるだろう。
ヤンはロシアのガーブラントと称しても、おかしくないほどのボクシング技術を有している。顔面を守る高いガードが特徴的なアップライトの構えから、まずは左右で距離間を測り、KOパワーを有した右オーバーハンドでプレッシャーを与える。距離が詰まると頭、肩、上半身を滑らかに動かし、スウェイやダックアンダー、さらにブロッキングで相手の攻撃を防御、見事すぎるボクシング・テクをケージの中で披露してきた。
上体だけを激しく動かす一方で、軸が乱れず細かいステップの修正でテイクダウンに対応しており、相手にも打たせておいて体重の乗った右ストレートや右フックを振り抜いていく。恐ろしいのはこれらの動きをサウスポーに置き換え、右だけでなく左の拳でも相手を沈めることができる点だ。
ボクシングだけでなく離れては後ろ回し蹴り、近距離では首相撲からヒザ&ヒジに加え、足払いで転がすというムエタイ戦法もお手の物だ。加えて防御ともにテイクダウン&スクランブルにも強いヤンは、シングル&ダブルレッグからのリフトアップ&スラム、テイクアック、ボディロック&テイクダウンも大切な場面で取り切ることができ、トップを取ると、しっかりとしたポスチャーから、勢い溢れるパウンドを振り落す。
そんなピョートル・ヤンの強さは、既にUFCでトップ5の実力の持ち主といっても過言でない。世界王者クラスといっても過言でないヤンと戦う夜叉坊にとって、この試合は地獄に乗り込んで閻魔大王の舌を抜かなければいけないようなファイトとなる。なお同大会では昨年11月の上海大会でゴゴチョークにより一本勝ちしたソン・ヤードンがフィリッピ・アランテスと、同じく上海大会で15秒KO勝ちとインパクトを残したソン・ケナンが、3年振りに実戦復帰を果たす──TUFラテンアメリカ02準優勝者=エクトル・アルダナと対戦することも今回アナウンスされている。