【Invicta FC28】魅津希とストロー級世界王座を争うジャンジローバ 「最悪の状況が背中を押してくれる」
【写真】逆境が背中を押す。これって相手すると、本当に厄介ではないだろうが (C)INVICTA FC
24日(土・現地時間)、ユタ州ソルトレイクシティのユニオン・イベントセンターで開催されるInvicta FC28「Inoue vs Jandiroba」で、魅津希とインヴィクタ世界ストロー級王座を争うヴィルナ・ジャンジローバ。
MMA12連勝、自らの女デミアン・マイアと称した彼女に計量前夜、試合の2日前にインタビューを試みた。
その柔術の強さは間違いなく、彼女の強さの要因だが、ジャンジローバはMMAを志したのは抗えないブラジリアン柔術の現実が存在したからだった。
その現実が、逆境に強いMMAファイター=ジャンジローバを生んだ。
──乗り継ぎが上手くいかず、ソルトレイクシティに入るのにかなり時間が掛かったようですね。
「もう、それって伝統のようなモノよね(笑)。このことでグッドラックがもたらされることを願っているわ。アトランタでの乗り継ぎ便まで、それほど時間がなくてイミグレーションが長蛇の列だったから、間に合わなかったの。
それから空席がある飛行機まで3便、6、7時間も待つ必要があったの。でも12月の試合の時とは比較にならないほど、マシよ。肉体的にも、精神的にも問題はないわ」
──そういえばエイミー・モンテネグロ戦の時も、勝利後のインタビューでトラブルがあったと話題になっていましたね。
「ビザに問題があったから、一旦ブラジルに戻らないといけなくなって。カンザスシティに到着したのは計量の直前だったの」
──それであれだけの試合をやってのけたのですが、驚きです。
「そうね、MMAは何が起こるか分からないけど、ああいう風に完璧な勝ち方ができたわ」
──技術もそうですが、気持ちも相当にタフなのですね。
「色んな問題が起こったから、アドレナリンが出まくって却って助けられたんだと思う。最悪の状況が背中を押してくれたのよ」
──いやぁ、アッパレです。魅津希選手と世界ストロー級王座を賭けて戦うジャンジローバ選手のことを日本のファンにもっとして欲しいので、プロフィール的なことを聞かせてください。
「もちろんよ」
──ではまず、出身地を教えてください。
「ジュニオール・ドスサントスの出身地で有名なバイーア州よ。私は小さな丘っていう意味のサヒンニャという地方の小さな町で生まれ、今はフェイラ・デ・サンタナという州で2番目に大きな都市に住んでいるの」
──柔術を始めたのはいつですか。
「柔術を始めたのは16歳の時だけど、子供のころからカンフーと柔道をやっていたわ。カンフーも柔道も本当に楽しかった。でも柔道はごくごく平均的な感じで──それほど強くなかったの。
それが初めて柔術の練習をした時にコーチから、『君は必ず強くなる。だからシリアスに練習を続けるべきだ』って言ってもらって。3カ月後にはトーナメントに出て以来、ずっと真剣に柔術と向き合ってきたつもりよ。柔術を始めたのはサヒンニャで、今はMMAのためにフェイラ・デ・サンタナに住んでいるけど柔術はずっと同じコーチの指導を受けているし、この試合にも同行してもらっているわ」
──グラップリングでアマンダ・ヌネスと2勝1敗、クラウジア・ガデーリャには柔術で2勝だそうですね。
「アマンダとは体格が違うから、戦ったのは無差別級ね。最初の試合は上から抑え込まれてアドバンテージで負けたけど、あとの2試合はスイープを決めて勝ったの。
ガデーリャとは最初は青帯の時に戦い、2度目はCBJJEのムンジアルの準決勝で戦い、スイープを2度決めて勝てたわ。このCBJJEのムンジアルが、私の柔術キャリアのなかで一番大きなトーナメントだった」
──CBJJEのムンジアルというのは、あまり日本には伝わってこないのですが、IBJJFのムンジアルに出場経験は?
「CBJJEの大会でもビア・メスキータ、ギャビ・ガルシアと戦ってきたし、スーパー・ハイレベルな選手が出ていて、凄くコンペティティブなトーナメントなのよ。
そしてね、私はIBJJFのムンジアルに出たことはないの。ロサンゼルスの大会に出るだけのお金はないし、スポンサーもいなかった。ブラジルには私のように力はあっても、IBJJFの世界大会に出られない柔術家がいるということを知って欲しいわ。
この状況が私をMMAにファイターにさせたのよ。ブラジルで一番になっても、柔術ではスポンサーも得ることができなかった。柔術は最高よ、一生ともにしていきたい。でも、生活を考えると、問題が多すぎるのも事実なの」
──柔術では生活ができないので、MMAを戦うようになり、明後日にはインヴィクタの世界戦です。
「それが運命だったのね。ミズキは12月にジャナイザ・モランジンと戦う予定だったけど、ケガをして欠場した。そのモランジンと私はタイトル戦を戦うはずだったのが、今度はモランジンが負傷し、ミズキと戦うことになった。彼女は凄くハイレベル・ファイターだから、戦うことができて凄く嬉しいわ」
──ジャンジローバ選手の柔術の強さは、12月の試合だけでも理解できました。ただし、打撃とレスリングに関しては、まだ私達はその実力の程を確認できていません。
「MMAを戦おうと決めた時から、全ての練習をしてきたわ。正直なことをいうと寝技に持ち込んで、柔術で勝てるから打撃を見せる機会がないのよ。でも、練習では柔術よりも打撃に重点を置いているの。
練習を減らしても柔術の力が、急激に落ちることはない。その分、打撃を強化してきた。機械的に試合では寝技に持ち込んで勝ってきたけど、私は打撃にも凄く自信を持っているわ」
──魅津希選手と打ち合いもじさない?
「勿論よ。ブラジルでベスト・ボクシングコーチの指導を受けて来たから。彼はシガノ(ドスサントス)やアンデウソン・シウバのコーチなのよ。ここまで十分過ぎるほど、殴られてきたわ(笑)。その成果もあって打撃でも全く問題なく、彼女と戦うことができるわよ」
──では女デミアン・マイアという異名は返上ですね(笑)。
「私はデミアン・マイアとは戦い方、そして自分の階級で一番の柔術家だとか、彼にとても似ている面があるの。だから、女デミアン・マイアだと言ったのよ(笑)。
でも私はデミアン・マイアじゃない。ヴィルナ・ジャンジローバとして、ミズキとの試合でも彼のようなハイレベルな試合を日本のMMAファンに見せることを保証する。私達の試合を楽しみにして欲しいわ」
■Invicta FC28計量結果
<Invicta世界ストロー級王座決定戦/5分5R>
魅津希: 113.9ポンド(51.66キロ)
ヴィルナ・ジャンジローバ: 115ポンド(52.16キロ)
<フライ級/5分3R>
ディアナ・ベネット: 127.9ポンド(58.01キロ)
カリーナ・ロドリゲス: 125.2 ポンド(56.78キロ)
<フライ級/5分3R>
ミラナ・ドゥディエヴァ: 125.9ポンド(57.1キロ)
クリスティーナ・マークス: 124.8ポンド(56.6キロ)
<ストロー級/5分3R>
パール・ゴンザレス: 115.4ポンド(52.34キロ)
カリ・ロビンズ: 115.3ポンド(52.29キロ)
<ストロー級/5分3R>
ミナ・グルサンダー: 105.8ポンド(47.99キロ)
フェルナンダ・プリシーラ: 105.9ポンド(48.03キロ)
<ストロー級/5分3R>
カール・シュワルツ: 115.6ポンド(52.43キロ)
ケイ・ハンセン: 115.3ポンド(52.29キロ)
<バンタム級/5分3R>
チェルシー・チャンドラー: 135.7ポンド(61.55キロ)
ケーリ・ケネソン: 135.7ポンド(61.55キロ)
<アトム級/5分3R>
ジュリアン・ディコージー: 106ポンド(48.08キロ)
レベッカ・ルヴィン: 104.9ポンド(47.58キロ)
<フライ級/5分3R>
トレーシー・コーテズ: 124.7ポンド(56.56キロ)
キャスリン・ニール: 125.5ポンド(56.92キロ)