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【ONE68】タイ×フィリピン──東南アジアの成長。ムエタイ=デェダムロン&レスリング=クリッサダに注目

ONE69【写真】デェダムロンとクリッサダ。今大会で要注目のタイ人MMAファイターだ (C)ONE

24日(土・同)にタイはバンコクのインパクト・アリーナで開催されるONE68「Iron Will」。今大会はONE世界バンタム級王者ビビアーノ・フェルナンデスにONE世界フェザー級&ライト級王者マーチン・ヌグエンが挑戦するメインに加え、ゲイリー・トノンのMMAデビュー戦、そして山田哲也がロシアン・パワー=ザイード・フセインと対戦するなど注目カードが揃っている。


(C)ONE

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東南アジア各国にナショナル・ヒーローを誕生させているONEらしく、20日(火・同)にご当地ファイター=シャノン・ウィラチャイ、リカ・イシゲ、デェダムロン・ソーアミュアイシルチョーク、クリッサダ・コンスリチャイの4名がオープン・ワークアウトを行っている。

ウィラチャイとイシゲは山田と同じタイガームエタイ所属で、現地でのバリューは相当なモノだが、両者とも正念場を迎えている。対して、デェダムロンとクリッサダは格闘家としての実績がウィラチャイ&イシゲの人気モノとは一味違う。

Dejadamrongデェダムロンはルンピニー3階級制覇からMMA転向を果たし、柔術の習得にも励んだ結果、一度はONEストロー級の頂点に立っている。しかし、一昨年5月に内藤のび太にその座を譲り渡すと、その後は2勝2敗と壁にぶつかっているのが現状だ。

それでも「敗北から学ぶことは多い。ただレコードを伸ばすために戦うのではなく、国際的なステージで戦い続けるという私の意志が、本物であることを証明する」と公開練習の場でデェダムロンは語っている。

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そんなデェダムロンと対戦するジェレミー・ミアドは6勝2敗のフィリピン人ファイターで、ONEと契約後は2連敗中と、彼もまた崖っぷちの状態でサークル・ケージ初勝利を目指す。デェダムロン戦に対し、「フィジカルの強さを活かして、寝技で仕留めることができれば最高だ」と意気込みを語っているミアド。

テイクダウンから寝技は常にデェダムロンの弱点と捉えられているからこそ、MMAファイターとして柔術ゲーム、あるいはスクランブルで凌ぎムエタイで勝利を手にすることで失地回復を果たしたいデェダムロンだ。

Kritsada一方のクリッサダは山田長政が毒殺されたナコーンシータンマラート在住で、タイのレスリング界を代表するレスラーだ。国内で13のタイトルを獲得し、2010年のアジア・ゲームスでは準決勝で優勝した長谷川常平に敗れたものの、グレコローマンレスリング55キロ級で8位となっている。
この大会にしてもタイからの出場選手はクリッサダ以外にもう1人だけで、初戦を突破したのは彼のみ。このことからもクリッサダがタイを代表するレスラーであることが伺える。

タイのグレコレスラーとは、ピンと来ないがMMAでの試合を見る限り、グレコだけでなくフリーの要素も取り入れていることが分かる。それでも、そこはタイ人だ。がぶって相手をコントロールしポジションを奪うと、無慈悲なほどの勢いでエルボーを叩きこむ。

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そんなクリッサダに対するのは、ロビン・カタランだ。彼もミアド同様にフィリピン人選手で、クリッサダが昨年12月のタイ大会でエルボーでTKOしたラビン・カタランの実弟だ。

カタラン・ファイティング・システムをリードする長兄レネを筆頭にラビン、ルエル、ロビンのカタラン4兄弟はフィリピンでは著名なファイト・ファミリー。ラビンはビサヤ諸島のパナイ島、イロイロという生まれ故郷に残り、ロビンは兄レネとともにメトロマニラでジムを構える。

今回の試合はロビンにとって、兄の敵討ちという試合になるが、「個人的なことは関係ない。良いビジネスチャンスだ」とクールな捉え方をしている。一方のクリッサダは「簡単な相手ではないことは分かっているけど、勝てるだけのことはやってきた。この試合を次に繋げたい」とオープン・ワークアウトの席で話した。

再起を掛けるデェダムロン、ステップアップを狙うクリッサダ。タイのムエタイとレスリングのトップファイター=MMAのトップに対し、ミアドとカタランが噛ませ犬として終わらず、噛みつくことができるのか。東南アジアの成長まで、いまやアンテナを張る必要性がある。

■ ONE68対戦カード

<ONE世界バンタム級 (※65.8キロ)選手権試合/5分5R>
[王者]ビビアーノ・フェルナンデス(ブラジル)
[挑戦者]マーチン・ウェン(豪州)

<ストロー級(※56・7キロ)/5分3R>
デェダムロン・ソーアミュアイシルチョーク(タイ)
ジェレミー・ミアド(フィリピン)

<ライト級(※77.1キロ)/3分5R>
シャノン・ウィラチャイ(タイ)
ラフール・ラジュ(インド)

<ライト級(※77.1キロ)/5分3R>
ザイード・フセイン・アサラナリエフ(トルコ)
山田哲也(日本)

<フェザー級(※70.3キロ)/5分3R>
ワカー・ウマー(パキスタン)
チャオ・チーカン(中国)

<ライト級(※77.1キロ)/5分3R>
ゲイリー・トノン(米国)
リカルド・コーミナル(フィリピン)

<ストロー級(※56・7キロ)/5分3R>
クリッサダ・コンスリチャイ(タイ)
ロビン・カタラン(フィリピン)

<ライトヘビー級(※120.2キロ)/5分3R>
アラン・ンガラニ(香港)
アリウンボルド・トロチェル(モンゴル)

<ミドル級(※93.0キロ)/5分3R>
ジェイク・バトラー(米国)
ジルベウト・ガルバォン(ブラジル)

<バンタム級(※65.81キロ)/5分3R>
ヒシャム・サムス(マレーシア)
ツー・ノット(インドネシア)

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