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【Bu et Sports de combat】武術の叡智はMMAに通じる。武術の四大要素、先を取る─03─

Saruta vs Sawada【写真】昨年10月の澤田龍人×猿田洋祐、なぜ澤田は猿田の攻撃に圧されるようになったのか──を武術空手的見地で検証しする(C)MMAPLANET

MMAと武術は同列ではない。ただし、通じている部分が確実に存在している。ナイファンチン、クーサンクー、パッサイ、セイサンという型の稽古を行う意味と何か。

武術の四大要素──『観えている』状態、『先を取れている』状態、『間を制している』状態、『入れた』状態が存在し、無意識な状態で使える次元、レベルを高めるために型稽古が必要となってくる。

先を取れている状態と取れていない状態。同じ位置関係でも先が取れているとパンチが届く、先が取れていないとパンチは届かない。この状況はMMAにおけるテイクダウンの攻防にも当てはまる。

質量という格闘技を戦ううえで、存在すら意識しない言葉。質量を知ることでなく、質量が存在することで先が取れる、取れないことで導き出される結果が違ってくる。必要なのは結果であるが、その理を文字という伝達方法を持って取り上げたい。
<先を取る──Part.01はコチラから>
<先を取る──Part.02はコチラから>


──それは猿田選手が先を取っていたからですか。

「そうではないです。仕掛けです。そして、戦っている選手がそこを意識するのではなく、無意識下の意識というモノが存在しますが、これはまた別の機会に話しましょう。とにかく、選手の状況を俯瞰できるセコンドが把握しておかなければならないということなのです。

そして練習、稽古とは実戦を模して、気持ち良くするのではなく、絶対に勝ちたい気持ちをもってやり込むことも必要になってくるのです。そこまで自分を追い込み、律して真剣にできる人が勝っていけるのだと思います」

──MMAを戦ううえでは精神的な部分も影響する質量ですが、座った状態の人を持ち上げようとして、持ち上がらなかった時と持ち上がる時という例えを岩﨑さんは用いられていますよね。

「ハイ」

──あの状況は座っている人に精神的な影響はないと思われるのですが、岩﨑さんの言葉に反応し持ち上がったり、持ち上がらなかったりしてします。

「ハイ。同じ体重の人間を持ち上げる、移動させるのに質量が変わってくると動かし辛くなる。その一例ですね」

相手のテイクダウン狙いに対し、

相手のテイクダウン狙いに対し、

──それは神秘ですね、もう。

「いや。神秘ではないですよ(苦笑)。質量は確かに存在しているので」

──……。

後の先が取れてないカウンターのヒザ蹴りは

後の先が取れてないカウンターのヒザ蹴りは

「アインシュタインが一般相対性理論、質量を持った物体が存在すると時空に歪みができ、その物体が運動をすると時空の歪みが高速で伝わる。それを重力波というと唱えてから100年を経て、重力波が2016年1月に直接検出された。それも質量を解明できたからなんです。

反応の勝負になり、法則性が成り立たない

反応の勝負になり、法則性が成り立たない

質量によって、時間や空間が伸縮するという研究がなされ続けてきたわけです。もちろん、格闘技を戦う選手がそんなものを理解する必要はないですが」

後の先が取れていると、同じ距離でも

後の先が取れていると、同じ距離でも

──私もまるで意味が分からないので、話を武術とMMAに戻させていただきますね(笑)。後の先が取れた状況をMMAに落とし込むと、どのような事象が例えとして当てはまりますか。

テイクダウンは届かなくなり、

テイクダウンは届かなくなり、

「相手のテイクダウンに対し、スプロールする。これは防御という反応です。カウンターのヒザ蹴りを狙う。これも反撃という反応です。つまり、相手の攻撃に対して反応をしているので、この攻防はタイミング勝負になります。

法則性に則して、ヒザを当てることができる

法則性に則して、ヒザを当てることができる

ダブルレッグ、シングルレッグで体に触れられて、防御する。カウンターのヒザを狙う。それは仕掛けた方の態勢です。次に説明する間を制する状態──それができていない状態です。もちろん、MMAではこうなった時のために対応できる技術が必要ですが。

その一方で後の先が取れていると、相手のテイクダウンは先ほどの座った状態でのパンチと同じで、届かなくなります。つまり、懐に入れなくなるのです」

──テイクダウンに入れないということですね。

「ハイ。つまり、後の先が取れていると、テイクダウン狙いをスプロールするという攻防が必要なくなります。さらにその状態を作ることができるからこそ、カウンターのヒザが入るわけです。だらこそ、そこを目指して稽古を積む必要があるのです。

テイクダウン防御は必要ですし、それがないとMMAでは勝てないです。ただし、相手からテイクダウンを仕掛けられない状態にあることが、一番戦いやすいです。攻撃を仕掛けられないことは一番、それは明白なのだから目指しましょうと」

──では先の先が取れて、テイクダウンに入らせないという状況は創ることができるのでしょうか。

「グッドクエスチョンです(笑)。まず、先の先を取れるかどうかというのは、動作そのものの質によってきます。便宜上、先に動く方が先の先なので、テイクダウンを受ける状態になっていることで先の先はあり得ないのです。

後の先を取っていれば、テイクダウン狙いの相手へのヒザ蹴りが絶対に当たります。相手は先にテイクダウンを仕掛けても、届かなくなっているので」

<この項、続く

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