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【ONE62】アスクレンと対戦、青木真也─03─「夫婦間の理解? お前ごときに俺が理解できるわけない」

Shinya Aoki in Singapore【写真】リトルインディアの青木真也。シンガポールではジムを離れると、ほぼ一人で生活している(C)SHINYA AOKI

24日(金・現地時間)、シンガポールはカランのシンガポール・インドアスタジアムで行われるONE62でベン・アスクレンの持つ世界ウェルター級王座に挑戦する青木真也インタビューの後編。

アスクレン戦前に日本を離れるのは、家族と離れるためと言い切った青木。家族にすら理解を求めたい、いや分かられてたまるかという常人離れした想いが彼の根底には存在した。

そして、その想いはアスクレンを一刺しすることに通じている。

<青木真也インタビューPart.01はコチラから>
<青木真也インタビューPart.02はコチラから>


──このような大きな試練に立ち向かう時ほど、家族の支えが必要になる。それが普通の感覚かと。

「家族にすら、邪魔をするなって思ってしまうんです。僕の世界の中に入って欲しくない」

──それは修羅の思考だ。

「いや、そういうことではなくて『理解されてたまるか』と思っているんです」

──夫婦間の理解も必要ない?

「夫婦間での理解? お前ごときに俺が理解できるわけないだろうと(笑)。そう思っている」

──青木選手がそう思うのは自由ではありますが……。でも、夫婦だからこそ分かって欲しいと思うのは、常人の考えなのでしょうね。

「だって、分かるわけないでしょう。分かってたまえるか、ですよ。なんていうのか、今回はね、苦しい試合になります。控室とかでも、凄くナーバスになると思う。だからセコンドを北岡(悟)さんに頼まなかったというのはあります」

──それはどういうことでしょうか。

「見られたくないんです。そういうところを北岡さんに見られたくないから。だから宇野(薫)さんに頼んだんですけど」

──宇野選手なら見せても良い?

「宇野さんだと良い意味で距離間があるので、構わないですかね。ホント、1年振りの試合ということもあって、自分をコントロールできないようになるかもしれない。勝負に対しても、そこまでの全ての事柄に対しても」

──ハイ。

「なので、そういう意味で、かなり自分の世界に入り込むことになるかとかと思います」

──青木選手のなかでイヴォルブは家族でした。チャトリを始め、試合後は20人ほどのイヴォルブのメンバーが青木選手の控室を訪れるような。今回は日本の家族や北岡選手とも距離をとるとなると、イヴォルブとの距離はどうなるのでしょうか。

「イヴォルブのことは凄く好きですよ。でも、アスクレンもイヴォルブなので。僕だけ世話になるわけにはいかない。そこは整理したい。チャトリはそれでも良くしてくれるのですが、今回は僕の方が甘えたくない。

イヴォルブから出場する選手は皆が赤コーナーなんです。そして、僕の試合はアスクレンが赤コーナーだから、チームで僕だけ青コーナーになるんです。つまり、与えられた環境で戦うだけなんですよ」

──セコンドも宇野選手だけということでしょうか。

「いや、誰か手伝ってくれる子を1人か2人はお願いしようと思います。ただ、イヴォルブMMAを割るわけにはいかないですからね。皆ね、僕に良くしてくれるけど、今回は距離間を保って戦います」

──それが逆に青木選手のバランス感覚なのかもしれないですね。

「かも知れないです。僕は日本人で、イヴォルブはブラジル人とタイ人、シンガポール人やら米国人の大所帯ですからね」

──ただ、アスクレン自身がそこまでイヴォルブを想っているようには思えないですし、今回の試合に関して青木選手ほど想うところがあるようにも感じられないのが正直なところです。

「アイツは舐めているでしょうね」

──それこそ以前にイヴォルブの練習で手を合わせたことはありますよね?

2010年6月17日、Bellator22 におけるホーンバックル戦。シーズン02ウェルター級T決勝戦として行われた(C)KEITH MILLS

2010年6月17日、Bellator22 におけるホーンバックル戦。シーズン02ウェルター級T決勝戦として行われた(C)KEITH MILLS

「ありますよ。すごく強かったです。僕とすればアイツとダン・ホーンバックルとの試合みたいにしようかと」

──あの試合は私の印象では結果的にアスクレンの圧勝でしたが、実は2度ほど下にもなっているんですよね。かなりガチャガチャした動きのなかで。

「引き込んで、引っかけている」

──当時のアスクレンは上から殴られるかもしれないようなポジションにいて、フォークスタイルのロールで上を取り返すようなことが今より多かったです。

「亀になってロールとかね。なんだろうなぁ、俺と〇〇さんが仲良ければ良かったですねぇ(笑)」

──さすがにそこは伏字にさせてもらいます(笑)。アスクレンはそういうMMAをサーフィンでもしているような感覚で戦っています。恐怖とかまるで感じていない体で。

「育ってきた環境が違うんでしょうね。ただ勝負ですからね、無事に戻って来られる試合になれば良いとは思っていません。僕自身にも対しても、回りに対してもクチャってやられるようなことがあってはならない。そういう意地は見せたいと思います」

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