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【ONE63】ベン・アスクレンと対戦、青木真也─02─「レスリングの攻防を頑張らない」

Aoki in Evolve MMA【写真】アレックス・シウバ、デェダムロン・ソーアミュアイシルチョーク、サゲッダーオ・ペットパヤータイ、レアンドロ・イッサ、そして──あのソン・ガヨンの顔が見えるイヴォルブでのトレーニングメンバー(C)SHINYA AOKI

24日(金・現地時間)、シンガポールはカランのシンガポール・インドアスタジアムで行われるONE63でベン・アスクレンの持つ世界ウェルター級王座に挑戦する青木真也インタビューの中編。

体重差があるだけでなく、一階級上でまぎれもなく世界のトップであるアスクレンの持つ武器は、ONEルールで戦ううえでとてつもなく危険だ。二重苦といえる悪条件を百も承知で受けた青木の真意、そしてどのような闘いを挑もうというのかを尋ねた。

<青木真也インタビューPart.01はコチラから>


──体重差を売りした見世物ではない。人を集めて、試合を見てもらうけどそういう類の見世物ではないと。

「この前、ROAD FCの藤田(和之)さんの試合を見させてもらって思ったのは……あの試合ができる、アレが許されるのって限られた人、数少ない人だと思うんです。そうなりたり、許されるようになるために頑張ってきた要素は多分にあります」

──藤田選手は勝ちに行っている。それが身近で試合を見せてもらって理解できました。勝てなくて悔しいと思っているし、申し訳ないと思っている。

「いつもそうですよ。基本は勝負で上に行こうとしています」

──そのうえで青木選手も、この試合が青木真也だから成立する試合だと捉えているはずですが、チャトリ(シットヨートン=ONEチャンピオンシップ・チェアマン&イヴォルブMMA代表)からアスクレン戦の連絡が来たとき、まずどう思いましたか。

「良いんじゃないって思いました」

──そんな風に思えるものですか。

「他人事なので(笑)」

──他人事?

「普段、生活している僕と試合をする僕は分けているので。やれば良いんじゃないって思いました」

──怖いと思うことは?

「それはオファーを貰った時にはあまりなかったです。それより会場の盛り上がり方という、そういうことに意識がいって。そっちがリアルにイメージできたんです。アスクレンと僕が闘っている画は、凄く良い画だと思いました。なので、実現したら面白いと返事をしました。

オファーに対して、自分というものを客観視できていますし、試合に対しても恐怖というのは感じなかったです。発表された時にインパクトがあるカードだなって。ただし、アスクレン戦というオファーが来るとは思いもしていなかったです(笑)」

──だろうと思います。

「コレをやらせてくれることは、自分にとって財産になります。ONEでやるべきことの集大成、意味のあることだと感じています」

──集大成ですか。

「なんだろう……これ以上あるのかっていうぐらいの気持ちでいます」

──確かに青木選手のONEでのポジションは微妙で。エドゥアルド・フォラヤンの持つ世界王座を取り返すために必死になる……ということはピンと来ていませんでした。ただし、マーチン・ヌグエンに王者になり、状況が変わりました。横田一則、マラット・ガフロフ、そしてフォラヤンをKOしてきたヌグエンとの試合は見てみたい。そこにはONEで新しいストーリーがあると思えました。

「もうこの試合が決まっていたので、今はそこを考えることはできないですが、そうやって期待してもらえる試合は戦っていきたいです。求められたことをやっていきたい。求められる限り、その試合を戦っていこうと思います。

チャトリはPRIDE的な世界観を持っているし、そこで今回はアスクレンに対し僕を必要としてくれた。その必要としてくれた気持ちに応えたいです」

──試合を戦う本人に今さら伝える言葉ではないでしょうが、本当に危険な試合になると思います。

「危険です。ハイ」

──青木の寝技×アスクレンのレスリング──なんて呑気な期待はできない。この顔合わせ、ユニファイドルールの方が危険ではないはずです。

(C)ONE

(C)ONE

「そうなんですよね。ONEのルールには四点ヒザがある」

──がぶられてヒザ、これは本当に危ない。戦術に関わって来ることなので試合前のインタビューでは話し辛いかと思いますが、このルールでアスクレン戦だからこそ、青木選手が何をすべきか、何をするのかが見えてきます。

「やりやすいですよ。レスリングの攻防を頑張らない。本当にそこを頑張らなければ良いんです。できる限り取ろうとしない。サブミッションを取ろうとせずに」

──ホイス・グレイシーのバーリトゥード、ヒクソンが大きな選手と戦った時、どうするのか。そういうところではないかと。

「本当にそうです。この試合を闘う、その期待には応えたいです。ただし、青木がどう戦うのかという部分まで、一方的な期待には……何だろう、結果は絶対に出ますからね。青木真也がどう戦うのか、期待してくれる人もいますが、そこはどのような結果になろうが、現実しかないんです」

──期待感が浪漫であるが、試合は現実。

「ハイ、勝負論しかないです。その結果を目の当たりにした時に『皆さん、どうしますか』という点には興味ありますよね」

──最近は業界のことを真剣に考えると善玉・青木真也の印象が強くなっていますが……。

「一般人の感覚を持っているようで、狂気だって持っていますからね。勝手に僕が常識人だとか、業界のことを考えているなんて思っていてもね。俺はサイコパスなんだってこと、ちゃんと覚えていた方が良いですよ(笑)」

──……。

「ハハハハ。どこまでいっても、僕は若林太郎の弟子なんです。あの人もサイコパス、人を刺せるから」

──でも、嘘がない。

「そうですね、若林さんは嘘がない。『僕はUFCは見ません』って宣言できる人だから」

──人を刺せる青木真也が、アスクレン戦に挑む。今回もシンガポールで調整をしていますが、練習メンバーを見てみると……正直、日本でやっていても良かったのではないかと思ってしまいました。

「あぁ、そこは凄く簡単な話です。パーソナルスペース、1人の時間が欲しいから、こっちにいるんです。ストレスなく試合を迎えたい。だから、今回の滞在期間は短いですし。

減量もないし、追い込み云々でもなく、1年を通しての練習量が普通の選手より僕の場合は全然多いですから。5Rぶっ通してミットを蹴ることができるスタミナは常にあります。練習や技術でなく、自分と向き合う時間、試合に臨む自分を作る時間が欲しいということです。

ハッキリ言うと家族、家庭からの解脱なんです」

<この項、続く>

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