この星の格闘技を追いかける

【UFC82】ミドル級頂上決戦、PRIDEを懸けた戦い

 (C) ZUFFA最近では珍しく、ほぼ一カ月イベント間隔が開いたUFC。ラスベガスのスーパーイベントから恒例となりつつあるオハイオ州での大会となる。3月1日(土・現地時間)、コロンバスのネイションワイド・アリーナで開催されるUFC82「PRIDE OF A CHAMPION」。メインにはそのイベント名通り、PRIDEダブルクラウンのダン・ヘンダーソンが登場、UFC世界ミドル級王座アンデウソン・シウバに挑戦する。

【写真】3度目の王座防衛戦に挑むアンデウソン・シウバ (C) ZUFFA

昨年9月にUFCに復帰し、まずはライトヘビー級王座に挑戦したダン・ヘンだが、このときは一進一退の攻防ながら判定でランペイジ・ジャクソンに敗れている。ライトヘビー級とミドル級、両階級で結果を残しているダン・ヘンもフィジカルの面で考えると、当然ミドル級の方が持ち味を出せるに違いない。PRIDEを制したレスリング+ボクシングのMMAスタイルは、ケージでの戦いでより強みを発揮するはずだ。


3度目の王座防衛戦を迎えるアンデウソン・シウバ、昨年度北米MMAワールドのMVPに推挙されることも少なくないUFCミドル級の絶対王者。MMAの打撃を新たな段階に押し上げたといわれるムエタイ・スタイル、思い切りのよいヒザ攻撃はテイクダウンされても十分に寝技で勝利をつかむ力を有しているからこそ、可能になる。

ストレングスでいえばダン・ヘンが有利という声もあるが、アンデウソンの長いコンパス&リーチは要注意。十分に腰を倒した姿勢でも、ジャブにストレートのような威力を持たせてしまう。いかに両者が自分の距離を維持できるのか。そのあたりが勝敗を分けるポイントになりそうだ。

また、同大会には日本から岡見勇信が出場し、元ミドル級王者エヴァン・タナーと対戦する。UFC戦績5勝1敗と日本人ファイターとして、ダントツの戦績を誇る岡見。リッチ・フランクリン戦の敗北で一度は遠のいたタイトル挑戦へ、絶対に負けられない戦いとなる。

26日(火・同)に現地入りした岡見はリラックスし、試合開始を待っている。

「タナーは元王者で、もちろん偉大なファイター。ただし、彼が試合をしていなかった2年間でUFCはどんどん進化した。UFCで試合を続けてきた自分と、試合をしていなかったタナーの差は、彼がどんなに試合に勝ちたいと願ったところでどうにかできるものではない。タナーの時代は終わったことを証明する」と強気のコメントを現地で残している。

専門のフィジカル・トレーナーをつけ、パワーアップを図る岡見が、1年11ヶ月ぶりのオクタゴンとなる元王者に、この間のMMA界の急激なレベルアップを見せつけることができるか。参戦当初はやや層の薄かったミドル級だが、今となってはダン・ヘンを筆頭に、今回の対戦相手であるタナー、さらには前回大会で復帰を遂げたヒカルド・アルメイダなど、強豪揃いのクラスとなっただけに、ここは5勝の実績を6に伸ばし、王座挑戦をつかみたいところだ。

そのミドル級、TUFシーズン1で人気者になったクリス・レーベンも今大会に出場する。アンデウソンのUFC出場初戦の相手になりKO負け、その後はストライクフォースで絶対的な強さを見せつけたジョルジ・サンチャゴを下したものの、ジェイソン・マクドナルド&カリブ・スターンズに連敗。一時はUFCとの契約が更新されないという情報も流れたが、昨年9月のテリー・マーチン戦でKO勝ちし土俵際で生き残った。

今回の対戦相手アレッシオ・サカラは、1月19日の英国大会で勝利したばかり、ライトヘビー級からミドル級への転向で、その拳の強さがいよいよ際立つことが予想される厳しい相手だ。つねにタフファイトを要求するズッファ、人気者にもイージーな道は用意されないことを裏付けるマッチアップといえるだろう。

群雄割拠、世界で最も層が厚いウェルター級では無冠の帝王ジョン・フィッチが出場。本来であれば日本の郷野聡寛と対戦予定であったが、郷野の拳の手術により代役のクリス・ウィルソンと対戦することになった。4月19日に行われるセラ×GSP、ポスト・チャンピオンシップに挑む一番手として、評価を得るには難しい対戦相手になってしまったが、ここは豪快な勝利が要求される。

そのウェルター級では、同じくトップグループに位置するジョシュ・コスチェック、ディエゴ・サンチェスの両者も出場する。ディエゴに勝利したもののGSPに完敗を喫したコスチェックは、ダスティン・ハザレーと。ディエゴは、ジュカオン・カルネイロの代役デビッド・ビエルクヘーデンと対戦。約11ヶ月ぶりの登場となるアンドレイ・アルロフスキー×ジェイク・オブライエン戦と同様に、ノーPPVのプレリミナリーファイト出場と、ここでもズッファの厳しさがみられる。

そんな彼らをアンダーカードに追い込んだヒース・ヒーリング×チーク・コンゴのヘビー級戦。ミノタウロを追い込んだ男とミルコを下した男の一戦は、日本のファンの興味をよそに、勝者がファブリシオ・ベルドゥムと並び次期ヘビー級タイトルコンテンダーになる大切なファイトだ。

■全対戦カードは下記の通り

・UFC世界ミドル級タイトルマッチ/5分5R
【王者】アンデウソン・シウバ(ブラジル)
vs 【挑戦者】ダン・ヘンダーソン(アメリカ)

・ヘビー級/5分3R
ヒース・ヒーリング(アメリカ)
vs チーク・コンゴ(フランス)

・ミドル級/5分3R
アレッシオ・サカラ(イタリア)
vs クリス・レーベン(アメリカ)

・ミドル級/5分3R
岡見勇信(日本)
vs エヴァン・タナー(アメリカ)

・ウェルター級/5分3R
クリス・ウィルソン(アメリカ)
vs ジョン・フィッチ(アメリカ)

・ヘビー級/5分3R
アンドレイ・アルロフスキー(ベラルーシ)
vs ジェイク・オブライエン(アメリカ)

・ウェルター級/5分3R
ルイジ・フィオラバンティ(アメリカ)
vs ルーク・クモ(アメリカ)

・ウェルター級/5分3R
ダスティン・ハザレー(アメリカ)
vs ジョシュ・コスチェック(アメリカ)

・ウェルター級/5分3R
デビッド・ビエルクヘーデン(スウェーデン)
vs ディエゴ・サンチェス(アメリカ)

・ライト級/5分3R
ジョン・ハルバーソン(アメリカ)
vs ジョージ・グルジェル(アメリカ)

PR
PR

関連記事

Movie