【UFN117】暫定世界ミドル級王者ロバート・ウィティカー─02─「僕のバックグラウンドは剛柔流空手」
【写真】深イイ話をしてくれたロバート・ウィティカー。改めて足さばきをチェックしてみたい (C)MMAPLANET
23日(土)に行われたUFC Fight Night 117「Saint Preux vs Okami」のメディアデーに出席した現UFC暫定世界ミドル級王者ロバート・ウィティカーのインタビュー後編。
前編ではビスピン×GSP戦や次戦について質問が集中したが、ここからは絶妙の間合いとタイミングの取り方の秘密、そして豪州のMMA事情について話してくれた。
<ロバート・ウィティカー・インタビューPart.01はコチラから>
──本当に申し訳ない話なのですが、ウェルター級で戦っていた時、ウィティカー選手が世界王座に届くファイターになるとは想像ができなかったです。ミドル級に転向し、何が変わったのでしょうか。
「ウェルター級では大きすぎた。だから、減量の幅も凄く大きくて。結果、試合よりも減量の方に重きを置かないといけないような状況だったんだ。ミドル級ではより普通の状態で戦え、より試合のことを頭に置いて練習や技術の習得が可能になったのが大きいね」
──スイッチヒッターで距離間、角度、タイミングが素晴らしいという印象があります。何か特別に心掛けていることはありますか。
「スピードに注意を払っているよ。距離をコントロールするにもスピードが必要だ。そして距離をコントルールできることで、より速さが生きてくる。特に重要なのは対戦相手より速く動くことだよ。
近距離へ移動するとき、そこが特に速さが必要になってくる。この局面で多くの選手により速く動くこと。そして、多くの選手が、この動きのなかで僕を見失うんだ。
ストライカー相手にも打撃では負けないし、レスリングのバックグラウンドがある相手は僕を掴めることが難しい。レスラーの頭の中にある距離と、僕のレンジは全く違うからね」
──我々、東洋人は距離やタイミング、虚をつくという部分は武道から来ており、ボクシングやキックボクシングのような西洋のスポーツより優れていると考えがちなのですが、その辺りはどのように考えていますか。
「僕のバックグラウンドは剛柔流空手だからね(笑)。規律ある動き、タイミングの取り方やスピードは剛柔流空手から来ている部分が多い。
スタンスや攻撃の時の踏み込みにしても、フットワークにしても剛柔流がベースだよ。そういう動きが西洋のスポーツでは育めないかといえば……う~ん、難しい質問だね(笑)。
ただ、あらゆるコンバットスポーツにはMMAに通じる部分があるはずだ。キックボクシング、ボクシング、テコンドーにしてもMMAとの関係性がある。
全てのコンバットスポーツの要素が、少しずつ重なっている部分があり、MMAに応用できる。そして、それらのコンバットスポーツの要素を融合させると、もともとの特性とまるで違うモノができあがるんだ。それが今日のMMAのユニークなところで、一番の醍醐味なんだよ」
──そのような状況のなか、ウィティカー選手はシドニーを拠点に練習をしているのでしょうか。
「そうだよ」
──シドニーで練習していて、米国の選手についていくことはハードでないですか。
「僕の練習環境が悪くないことは、試合結果で明らかになっているんじゃないかな(笑)。シドニーにも良いコーチや良い選手が揃っているから、問題ないよ。そして、どんどんMMAは発展している。
正直、今の体制を築くのには時間を要した。結果、グレートなチームを作ることできたんだ。コーチはケージの中だけでなく、外でも僕をサポートしてくれている。そして、今の結果がある。全てが上手くいっているよ。
米国のメガジムで練習したいという考えも分かるよ。でも、僕には必要ない。現状に満足しているからね」
──それだけシドニーで充実した練習環境があるということは、ロバート・ウィティカー選手に続く選手が、豪州から育ってきそうですね。
「それが僕らの目論見さ(笑)。常に良くなっているからね。楽しみにしておいてほしい」
──豪州はMMA禁止国だったのが、遠い昔のように感じられます。
「州ごとにMMAの開催が認められてきたんだ。それは僕らファイターの活躍が貢献していると思う。つまり、僕らはMMAを残酷ショーではなくスポーツして認められるよう活動してきたんだ。
もうMMAは豪州では完全にスポーツにカテゴライズされている。そして、競技人口も右肩上がりで増える一方さ」