【UFN116】難攻不落&専守防衛、11連勝中のブランチに対し、前王者ロックホールドは如何に戦うのか!!
【写真】ブランチの防御力、手堅いファイトにロックホールドは風穴を開けることができるか(C)WSOF & MMAPLANET
UFC JAPANで1週間、16日(土・現地時間)にペンシルバニア州ピッツバーグのPPGペインツ・アリーナでUFC Fight Night116「Rockhold vs Branch」が開催される。メインはルーク・ロックホールド×デヴィッド・ブランチのミドル級の一戦だ。
この試合は前UFC世界ミドル級王者ロックホールドにとって、昨年6月にマイケル・ビスピンにベルトを奪われて以来の実戦復帰となる。タイトルを失ってからロックホールドは、昨年11月にホナウド・ジャカレとトップコンテンダー対決を戦う予定だったが、自らのヒザの負傷でこの試合をキャンセルしている。
ビスピン戦の前にクリス・ワイドマン、リョート・マチダ、そしてビスピンとの初戦に勝利しているロックホールドが、ビスピン×GSPという路線を選択したUFCミドル級戦線で生き残りを賭けた試合。その相手は、ネームバリューだけいえばアップの試合と捉えられるかもしれないブランチだが、実のところは非常に嫌な相手だ。
戦績だけでも21勝3敗と、15勝3敗とロックホールドを上回るヘンゾ・グレイシーの黒帯はキャリア6勝0敗の2010年にUFC初出場を果たしている。しかし、この時は2勝2敗でリリースの憂き目に合い、さらにUFC復帰を目指してキャリアの再構築を始めた僅か2戦目で体重超過のアンソニー・ジョンソンに判定負けを喫した。
2012年、AJと同じようにWSOFと契約したブランチ。AJが2014年にオクタゴン復帰を果たしたのとは対照的に彼がUFCと再契約を果たしたのは今年に入ってから。そして5月に復帰後の初戦でクリシュトフ・ヨッコに判定勝ちを収めている。驚くべきは、ブランチはAJ戦の敗北以来WSOFで10戦無敗、先のUFCの勝利と合わせて現在11連勝中にある。
この勝利のなかにはパウロ・フィリョ、ジェシー・テイラー、ヴィニー・マガリャエスらに混ざり、岡見勇信も含まれている。WSOFでライトヘビー級とミドル級のベルトを同時に巻いていたブランチが、UFCへ戻るまでにこれだけの期間が要したのは、ヘンゾ門下生ということもあり契約条件が良かったことも予想されるが、やはりそのスタイルがUFCの好みでないこともあるだろう。
ブランチのスタイルは、いってみれば難攻不落。専守防衛にある。立ってはオーソのワイドスタンスで、左ジャブを伸ばし距離のコントロールに長けている。そして、抜群のタイミングでテイクダウンを奪うことも可能性。さらにヘンゾの黒帯だから寝技にも長けている。
ただし、その打撃はあくまでも受動態。パンチを被弾しないように自らの左ジャブと右ストレートを当てるというスタイルだ。テイクダウンも離れた距離から仕掛けることもできるにも関わらず、まずレンジが詰まった時にクリンチしてケージに押し込む。ここからの時間が長い。グラウンドになったらなってで、強固なポスチャーで相手の攻撃を遮断することが第一にある。
岡見をパウンドで破り、テイラーにダースチョークを極めたようにフィニッシュ力もあるブランチだが、とにかく手堅く戦う。この戦い方の裏には、彼に攻めないと危ないという意識を持たす対戦相手が少なかったことも関係している。
今回の試合はUFCのメインだ。好勝負をすることも、査定条件の一つになっている。それでもブランチが能動的に良い試合にするために動くことはまずないだろう。このような状況でロックホールドがメインイベンターとして役目を果たし、勝利を掴むにはサウスポーの構えから左側の蹴りを散らして、ブランチにプレッシャーを与えることは欠かせない。
ロックホールドの蹴りは距離を測るだけでなく脚、腹、そして頭部にダメージを与えることができる大砲だ。さらにブランチの左ジャブに被せる右フック、あるいは右ストレートに対するカウンターの呼び水にもなる。
ロックホールドが圧力を加えることでブランチが心折れすれば、一方的な勝利。ブランチが負けん気を見せ、そのポテンシャルを見せるようだとサウスポーに強い打撃、スクランブルを封じ込める抑え込みとフロントチョーク系のテクニックで、序列が存在しないミドル級で一躍タイトル・コンテンダーに飛躍することも十分にある。ブランチはそれだけの力は持っているファイターだが、果たして……。
■UFC116対戦カード
<ミドル級/5分5R>
ルーク・ロックホールド(米国)
デヴィッド・ブランチ(米国)
<ウェルター級/5分3R>
チアゴ・アウベス(ブラジル)
マイク・ペリー(米国)
<ミドル級/5分3R>
ヘクター・ロンバード(豪州)
アンソニー・スミス(米国)
<ライト級/5分3R>
グレゴール・ギレスピー(米国)
ジェイソン・ゴンザレス(米国)
<ウェルター級/5分3R>
カマル・ウスマン(米国)
セルジオ・モラエス(ブラジル)
<ヘビー級/5分3R>
ジャスティン・レデット(米国)
ズー・アンヤウー(米国)
<ライト級/5分3R>
オリヴィエ・オバメルシエ(カナダ)
トニー・マーチン(米国)
<ヘビー級/5分3R>
ダニエル・スピッツ(米国)
アンソニー・ハミルトン(米国)
<ミドル級/5分3R>
クリシュトフ・ヨッコ(ポーランド)
ユライア・ホール(米国)
<バンタム級/5分3R>
ルーク・サンダース(米国)
フィリッピ・アランテス(ブラジル)
<ライト級/5分3R>
ジルベウト・バーンズ(ブラジル)
ジェイソン・サッゴ(カナダ)