【Shooto】ニッポンのロンダ、論田愛空隆「工夫して積み重ねています」
【写真】愛空隆と書いて、アクリと読む。鮮烈な修斗初戦だった論田 (C)KAORI SUGAWARA
7月23日(日)、東京都文京区の後楽園ホールで開催されたプロフェッショナル修斗公式戦で榎本明を相手に、試合開始僅か10秒で打ち合いを制し、右フックでKO勝ちを収めた論田愛空隆。
一見してその涼し気な目の持主、そして特徴的な名前を持つ論田のこの日の勝利、MMA歴とこれからの目標を訊いた。
「ホッとしています。緊張もありましたし、やはり自分がやってきたこと、積み上げてきたことを試す場なので、試して結果が出てよかったという感じでホッとしています」
──今回の試合まではどのように準備を進めてきたのでしょうか。
「僕はあまりウェイトトレーニングをしてなかったのですが、ずっとクロスフィットに興味があったんです。調べてみたら通える範囲にジムがあったので、クロスフィットとかウェイトトレーニングをやり始めたのが自分の中で新しく増えた練習ですね。この試合と前の試合とではそこが違います
普通の筋トレは種目と『何を何回上げる』というのが決まっているんですが、クロスフィットでは『その日、何をやる』というのが決まっているんですよ。それが一箇所、どこかをやったら、すぐに次の場所を虐めるというか、トレーニングにも組み合わせがあります。心拍数も上がりますし、週に2回一時間ずつ、そういうトレーニングをやってきました」
──それ以外の練習は所属の心技館を中心に行なってきたのですか。
「そうですね。あとは柔術をやったり。柔術は青帯で、以前は大会にも時々出ていたんですけど、最近は全く大会に出ていないですね」
──ホームページを拝見したのですが、心技館はキッズを中心としたクラスが多いですね。
「そうですね。子供達には空手メインではないですけど、多めでやっていますね。練習環境としては心技館代表の遠藤(雄介)さんが相手の癖を見抜くというか、映像を見て相手の動きを解析し、お互いに意見を出し合っています。
『相手はこういう選手だからこう来るだろう』というのを色々考えて遠藤さんとシュミレーションし、出稽古に行って試してみるという感じですね。練習相手はあまり居ないですけど、工夫をして積み重ねています」
──出稽古はどちらに行かれているのですか。
「坂口道場に行くことがあります」
──心技館で格闘技を始めたのは、なぜですか。
「僕は長野出身で、大学に進学した時に神奈川に出てきました。その時は茅ヶ崎に住んでいたんですけど、卒業してから一年間、留学をして戻ってきてから座間に住むようになったからです。
実は先に柔術を始めて、MMAの練習がしたくて近所で探したのですが見つからなくて、ネットで検索すると、最初は他のジムがヒットしたんです。で、アポも取らずにそこを訪ねると、もう撤退していて、遠藤さんが居たんです。そういう感じで遠藤さんの下でMMAを始めました」
──留学先の米国でもMMAの練習をしていたと伺っています。
「ハイ、サンディエゴにあるアライアンスMMAに通っていました。月曜から土曜日まで朝の9時半とか10時半からプロ練があって、隔週で変わるんですけど、火・金か、水・金がスパーリングなので残りはドリルをやったりという感じでした。朝、ジムに行ってお昼過ぎから学校に行って、まだ体力があったら学校の後にもう一回ジムに行くような日々でした」
──ドミニク・クルーズたちに交じって練習していたのですから、それは凄いことですね。
「今もあの経験が、凄く活きています。まず、行く前と比べると確実に色んな意味でタフになりました。僕が行った時は伝手も何もなくて、しかも英語も出来ないという状態だったので、本当にずっとキョロキョロしてる感じでした。
プロ練に入れてもらおうと何度ヘッドコーチに言っても相手にしてもらえなかったんですけど、たまたま岡見勇信選手がトレーニングキャンプに来たんですよ。岡見選手とそこで知り合いました。それで岡見さんから言ってもらって、それからプロ練に参加させてもらえるようになりました。
この間、修斗に来日したダニー・マルチネスとか凄く良くしてくれました」
──ダニー・マルチネスの良い人振りは評判になっていますよね。ところで論田選手は、名前の印象からもハイブリットなのですか。
「ハイ。そうです。親父が付けてくれて意味があるんですけど、凄く恥ずかしいので言いたくないですが、『愛が空にたくさん』という意味らしいです」
──うわぁ、ロマンチックですね。ところで今回は修斗に初参戦でした。
「理由は特にないですが、僕の師匠の遠藤雄介さんが活躍していた場所に僕も立てて、嬉しく思っています。将来的にはやはり海外でやってみたいです……北米で。最終目標はUFCです」