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【ONE】長南亮とONE Championship「ONEの人間として、ONEを日本へ」

Ryo Chonan【写真】これまでにない海外ブランドの日本上陸、ONEと長南氏の手腕に期待したい(C)MMAPLANET

SNSでの発信を見て長南亮氏がONEと行動を共にし始めたことは、今年に入ってから明確になっていた。ただし、団体公式発表という形がない状況では、色々な憶測を呼ぶ。

そんなか8月5日のONE57=マカオ大会は安藤晃司、朴光哲、鈴木隼人と3人の日本人選手が出場。再び日本人の需要が増えてきそうな気配が感じられるONE──にあって、長南氏の働きとは何なのか。本人に直撃した。


──ONEと長南さん、いつ頃から綿密に連絡を取り合うようになったのでしょうか。

「昨年アジアMMAサミットに招待され、そこでONE Chapionshipと一緒にやっていかないか?と声をかけて頂き本格的に話をするようになったのは、今年になってからです」

──彼らは長南さんに何を求めているのでしょうか。

「日本格闘技市場の説明ですね。日本の興行形態、規模というのが分かっていないので私が間に入ってアシストする事により日本に関する事がスムーズに進めばと思っています。今も日本といえばPRIDEのイメージが持たれていて、スーパーアリーナでイベントを開催すれば協賛金が集まり、TV局が中継するように思われている部分もあります」

──まさに未だに……という感じがします。

「そういうイメージができてしまっているので、現状はそんな状況ではないという説明をまずしました。自分はジムで選手を育てて色んな大会に出させてもらって、出稽古でやってくる選手も多いです。だから、かなり情報通だと思いますし(笑)」

──つまりONEでは……。

「ハイ!アジア最大規模のイベントであるONEのチャトリ(シットヨートン)CEOは日本大会に興味を持ってくれているということです。ONEというイベントを、どこかに丸投げしてダメでした──とならないように。

正直、これまで海外のプロモーションが日本でイベントを開く時、情報のないまま状況を把握せずにイベントを開き失敗に終わった。そういう風にONEがならないために自分が現状を伝えているということですね」

──選手の紹介という部分では、この言葉だけを切り取ると色々な風に捉えられると思います。

「そうですね。どこに属しているのかとか、誰と練習しているとか、そういうことなくフラットな目で、より上で戦えそうな選手を彼らに推薦していきたい。自分が主催しているTTMの選手を推すなんてこともないですし。

要は修斗、パンクラス、DEEPのチャンピオンクラスがより大きなモノを手にして欲しい。もっと大きな舞台で戦い、より多い金額を稼ぐことができる手助けになれればと。

ただし、自分が推薦した選手が契約を果たしても、試合機会に恵まれないと責任を感じてしまいますから。なので現在は選手の紹介はせず既存の契約選手に試合を組んで欲しいと伝えているところです。

同様にこれから契約していく選手には、その内容を見直して試合機会がないのであれば、日本で試合をして良いような形にしていくことができればと思っています。

そうなればUFCとも差別化できますし、そこに魅力を感じる選手も出て来ると思います。ONEには日本人選手の経済状況、待遇というモノから話させてもらっています。だから、選手には試合が必要なんだと。ホントに東京で生きることの大変さから、説明しました(笑)」

──既にマネージメントを通してONEに出場している日本人選手がいるなかで、長南さんの目指していることはマネージメント業を営む人からは警戒されるのではないですか。

「そうなってしまうんですかね?(笑)。ただ、自分はウソ偽りなく自分のことでなく選手のことを想ってやっていることですし、それを説明しても理解してもらえないならしょうがないです。そもそも自分もジム経営で生計は立てていますし日本人選手がより活躍出来る機会があれば業界にとってプラスになると思ってやってるだけです」

──裏金貰ってとか、陰口をたたかれますよね。

「ビジネスだから裏金じゃないし。それにどの仕事だって、対価を得られる以上に働いていますからね(笑)。これを理解してくれない人は、MMA業界でやっていけなくなりますよ。誰かが損して、誰かが得するのではなく、皆が得するために動いているわけですからね。

ただ、まだ内藤のび太選手の試合が組まれない。色好い返事はもらったのに実現に至っていないので、まだまだやるべきことは多いです。のび太選手のあの試合をもっと多くの人に見てもらいたいと思っています。試合は組まれていませんが、のび太選手のONE関係者から評価は非常に高いですし」

──いや、一筋縄にいかない。何れにせよ、ONEに選手を出したいマネージャーのみならず、指導者や選手個人からも長南さんに売り込みが始まるかもしれないですね。

「それは全然構わないですよ。SNSでメッセージでもなんでも貰えると。自分が良いと思った選手は、推薦しますので。だからONEっていうイベントが、少し身近になったと捉えてもらえると。

自分がエスコートしても自分へのマネージメント料は発生しません。自分がONEの人間であるので間に誰かを介さなくてもダイレクトにONEで戦える。自分はONEの人間としてONEの元で仕事をします。それはONEが日本の格闘技界の中に入ってきたいという気持ちの表われなので。

だから、ONEは自分を通して出場するように、とかONEは自分のもの──とならない自分という人間が選ばれたのではないでしょうか? ONEとの関係に固執するわけじゃなく日本の選手側に立った意見も言えますし、同時にここまでやろうとしているONEに日本で成功してほしいと思っています」

──長南さんがそこまでONEへの想いが強くなった理由はどこにあるでしょうか。

「やはりチャトリCEOが信頼をおける人物だからですね。人間としてもそうだし、ビジネスマンとしての素養も絶大なモノがあります。描いているビジョンも大きく、何よりもクリーンです。今までにない形でONEに日本に来てもらい、定期的に続けられるようになってほしいです。

チャトリは有名企業と手を結び、ちゃんとやろうとしています。その分、時間は掛かるかもしれないですね」

──それだけ本気だということですね。では長南さんがONEに自信をもって送り込める──それはどのようなファイターになりますか。

「意欲のあるファイターですね。前提として、ちゃんと勝っている選手。ただマッチメイカーの希望は無敗の選手なんです。強い選手と戦って無敗だったら良いけど、誰と戦っているのかっていうのは見たいです。

逆に強い者同士戦って負け星がある選手の方が、無敗の選手より良いファイターということもある。そこをいかにマッチメイカーに分かってもらえるのか。

同様に団体の縛りを受けないでいたいという選手の考えも分かります。つまり、強ければ。そしてやってやるという威力が感じられる選手を推したいですね。まぁ、日本の主要団体で一番になれるだけの力がないと、海外で勝っていくことはできない。そういう選手が、日本とONEで並行して戦っていけるよう働きかけ続けます」

──色々とクリアしないといけない問題も山積みでしょうが、いつ頃ONE日本大会は開催できると考えていますか。

「今年中とかONEは希望をもっていましたが、来年の中旬までに──と、自分は思っています。あくまでも希望なのでしっかりと一歩一歩、土台を固めていきたいですね」

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